中堅企業が実装すべき財務戦略
~グループ経営を推進する5つのテーマ~
- グループ経営

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本コラムは、ダイヤモンド社発行の「コーポレートファイナンス戦略」の第4章の抜粋記事です。
グループ経営の実現に必要な経営システムについて述べていく。TCGではホールディング経営のプラットフォームを通じて、5つのテーマを実装し経営のPDCAサイクルを回していくことがグループシナジー最大化のポイントであると提言している。
グループ経営で何より大切なのは、グループが向かう方向性(ベクトル)を合わせることである。そのために求められるのが、次の5つの機能を確立することである【図表4-3】。
(1)グループ理念体系
1つ目のテーマは「グループ理念体系」の確立である。事業会社がM&Aでグループインした場合はもちろんのこと、本社事業部からの分社化により設立された場合においても、各事業会社に経営理念やそれに近い考えはすでに設計されていることが多い。ここでのポイントは、グループ全体のアイデンティティーとしてパーパス、ミッション、ビジョン、バリュー(PMVV)というグループ理念の体系を明確にすることだ。グループシナジーの最大化を目指す以上、目標や価値観が共有されていることは当然であり、グループ理念の共有はグループ経営を目指すうえでの〝1丁目1番地〟である。
(2)グループ経営企画
2つ目のテーマは「グループ経営企画」の実装である。単一企業においても経営企画機能を設置する企業は増えているが、グループ経営においてはより経営企画機能の重要性が増してくる。経営企画機能の目的は、グループに横串を通して戦略を推進させていくことにある。具体的にはグループビジョンのマネジメント、事業ポートフォリオ(資源配分)の決定、グループ事業計画(予算)の策定、グループブランディングの運用といったルールを設計し、仕組みを構築することである。
(3)グループガバナンス
3つ目のテーマは「グループガバナンス」の設計である。ガバナンスという言葉の意味は統治や管理を行うことであり、グループガバナンスの機能は規定・ルール設計や意思決定プロセスの整理、権限と責任の明確化によってコンプライアンス(法令順守)やリスクマネジメント(危機管理)に対処していくことである。具体的には、HDCとグループ企業(事業会社)のどちらにどこまでの責任と権限を持たせるのか、その意思決定プロセスをどうするのか、会議体も含めて設計する。それ以外にも、事業会社の監査制度なども含めたグループ諸規定の整備が必要である。
(4)グループマネジメント
4つ目のテーマは、グループ全体を管理・評価する「グループマネジメント」機能である。具体的には、事業会社の業績向上を実現するマネジメントシステム、すなわちグループ管理会計システムやグループ業績マネジメント、グループ人材マネジメント、グループ資金運用管理システム(CMS)などの構築である。その際には、どの部分をどこまでシステムによって仕組み化するかも見据えた設計が不可欠だ。
(5)シェアードサービス
5つ目は、共通オペレーションの集中処理を実現する「シェアードサービス」機能の設計である。グループ全体におけるオペレーション業務(間接業務)の集中化と効率化が目的だが、当然、事業会社で実施したほうがよい業務もあり、一概にすべてを集中化する必要はない。どこまでの業務をHDCが引き受けるかを判断する。一般的には財務会計、債権回収管理、労務管理、給料関係、ITインフラなどをHDCに集中化することが多い。
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