中堅企業が実装すべき財務戦略
~ホールディング経営を
機能させるステップ~
- ホールディング経営

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本コラムは、ダイヤモンド社発行の「コーポレートファイナンス戦略」の第3章の抜粋記事です。
「ホールディング経営は、いっときの流行ではないのか」と経営者から質問を受けることがある。日本ではよく外来語のビジネス用語がはやり言葉のように飛び交い、いつの間にか消えていくことが多い。「ホールディング」という名称も、そんなバズワード(定義や意味が曖昧なまま使われるキャッチフレーズやキーワード)になりつつあることも確かである。だが、前述したように、ホールディング経営のスタイルはこれからの時代の成長に必要なものであり、恒久的な経営体制となり得るものである。
ホールディング経営を機能させるためには、「機能デザイン」、「組織デザイン」、「収益デザイン」という3つのステップで設計・具体化を進める必要がある。
(1)機能デザイン
HDCに持たせる機能・役割を設計するステップである。具体的には、グループ理念、グループ経営企画機能、グループガバナンス機能、グループマネジメント機能、シェアードサービスセンター(グループ各社の間接業務を集中運用する組織)という5つの機能を自社にどのように実装するかを検討する必要がある。そのためには、各機能を業務レベルに落とし込み、果たすべき役割を具体化することが大切だ。例えば、グループ経営企画機能であれば、「グループビジョンと中期経営計画の策定」や「グループブランディング戦略の立案」、「新規事業開発」などが挙げられるだろう。また、シェアードサービス機能であれば、総務・人事・経理業務をHDCに集約して代行すべき業務範囲の特定を進める必要がある。
このように、HDCが担うグループ本社機能をより具体的に設計することが最初のステップである。(図表3-3)
(2)組織デザイン
グループ本社機能を担う組織を具体化するステップである。何をやるかを決めただけで、誰がやるのかを決めないと、何も事が進まないのは自明である。機能を実装するためには、必ずそれを実行する組織や社員が必要となる。経営企画機能を実行する「グループ経営企画室」、シェアードサービスを実行する「グループ管理本部(総務部、人事部、経理部などを統括)」をHDC内の組織として設計し、決めたグループ本社機能を誰が果たすのかを明確にする。よくあるケースとして、人的リソース不足(機能を果たせるスタッフがいない)により、機能を実現できないという問題に直面することがある。この場合は、スタッフの充実と併せて段階的に機能を実装させていくステップを踏む必要がある。
(3)収益デザイン
HDCと事業会社の収益構造を設計するステップである。HDCはグループのコストセンターとしての役割を担うが、当然ながら赤字を続けるわけにもいかない。傘下の事業会社を通じて、ランニングコストに見合う収益源を確保する必要がある。具体的な収益源としては、経営指導料(子会社の経営管理料)、業務受託料(間接業務を代行するシェアードサービス料)、不動産賃貸料(親会社所有の不動産を利用する子会社からの家賃)、配当金(子会社から受領する株式配当金)という4つが挙げられる。もっとも、HDCがこれらの収益を多く集めるほど、逆に子会社は利益を吸い上げられることになる。HDCと事業会社の収益構造のバランスを取りながら設計を進める必要がある。
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