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2026.07.30

営業戦略におけるターゲティングとは

営業戦略の成否を左右するターゲティングの本質と、効果的なターゲット選定の進め方を解説します。

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営業戦略におけるターゲティングとは

ターゲティングとは

営業戦略において「ターゲティング」とは、自社が注力すべき顧客や市場を意図的に絞り込む活動を指します。すべての企業や顧客に対して一様にアプローチするのではなく、自社の強みや提供価値が最も発揮できる「勝てる場」を選び出すことが、その本質です。
マーケティング領域では、市場全体を属性や特性で分類する「セグメンテーション」、分類された市場の中から自社が注力する対象を選ぶ「ターゲティング」、そして競合との差別化の方向性を定める「ポジショニング」という三段階で市場戦略を立案する「STP分析」という考え方が広く知られています。営業戦略におけるターゲティングは、このプロセスの中核に位置し、自社が誰に対してどのような価値を提供するのかを明確にする重要な工程です。
営業組織が保有できる顧客数や、担当者が一定期間内に対応できる商談件数には、必ず上限があります。また、製品・サービスの特性上、すべての顧客に対して同等の価値を提供できるとは限りません。対象の絞り込みなく幅広くアプローチを続けた場合、成約に至らない商談が積み重なり、組織全体の生産性が低下しやすくなります。ターゲティングはこうした非効率を防ぎ、限られた経営資源を成果につながる活動へ集中させるための、「勝てる場の条件整備」です。

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ターゲティングの目的と必要性

ターゲティングの目的と必要性

ターゲティングの第一の目的は、営業資源(人・時間・コスト)の集中投下です。どの顧客にアプローチするかを明確にしないまま活動を続けると、各担当者が独自の基準で動くことになり、組織として統一した成果を出しにくくなります。対象顧客を絞り込むことで、誰に・何を・どのように届けるかという軸が定まり、チーム全体の行動が揃いやすくなります。
第二の目的は、顧客理解の精度を高めることです。アプローチ対象が広範囲に及ぶと、個々の顧客ニーズを深く把握することは難しくなります。一方、対象を絞ることで、特定の業種・規模・課題パターンへの理解が蓄積され、提案の質が向上します。顧客が「自社の状況をよく理解している」と感じる提案ができるようになると、信頼関係の構築にもつながりやすくなります。
第三の目的は、受注確度の向上です。自社の製品・サービスとの親和性が高い顧客に絞ってアプローチすることで、商談が成約に結びつく割合が高まります。商談の絶対数を増やすことよりも、受注につながる商談の比率を高めることが、営業組織全体の生産性を向上させる上で効果的です。
さらに、ターゲティングは営業戦略の継続的な改善にも貢献します。どの顧客層で成果が出ているかを定期的に確認・分析することで、実績をもとにターゲットの精度を段階的に高めていくサイクルが生まれます。こうした積み重ねが、営業組織の競争力を持続的に高める基盤となります。

ターゲット選定の進め方

ターゲット選定の進め方

ターゲット選定を実務で進める際には、以下のステップを踏むことが有効です。

ステップ1:自社を取り巻く市場と環境を理解する

現状の自社を取り巻く市場と環境を理解することが第一ステップです。分析のポイントは、①市場を知る、②自社を知る、③顧客を知る、④ライバルを知る、という4つの視点から現状を捉えることにあります。自社が属する市場を押さえ、自社のビジネスモデルや事業ポートフォリオを分析し、顧客やライバルについて知る。これらの関係が成長戦略を左右する大きな要素となります。

ステップ2:自社の真の顧客と真の価値、ライバルの弱みを知る

事業は、自社の提供する強み・持ち味と、それを受け入れるマーケットがあって成り立ちます。その2つを一致させることが事業戦略の構築です。したがって、自社の「真の顧客」と自社が提供する「真の価値」を確認しなければなりません。

・真の顧客...... 自社の顧客は誰か?経営資源の限られている中堅・中小企業は、すべての顧客に対応することが困難です。よって、自社の価値を理解してくれる顧
客に絞ることが必要です。
・真の価値...... 自社の提供する本質的価値は何か?商品(製品・サービス)そのものの機能や特性ではなく、商品が顧客にもたらす効用や便益のことです。

真の顧客が求める価値と、自社が提供する真の価値との接点が事業の原点となります。
ただし、市場にはライバルが存在することがほとんどです。したがって、戦略展開においてはライバルを知ること、特に弱みをつかむというアプローチが欠かせません。真の顧客と真の価値を明確化しても、ライバルと同じ土俵で、同じやり方で戦うと泥沼化します。
戦略とは、相手の弱みに自社の強みをぶつけることです。そのためには、ライバルの弱みをしっかりとつかむことが重要になります。

ステップ3:顧客価値と提供価値の一致

自社の提供する価値がどんなに素晴らしいものであっても、顧客がそれを価値として求めていなければ意味がありません。また、顧客が求めていることであっても、すでにライバルがその価値を提供しているのであれば、価格競争に陥ります。したがって、顧客が求めており、ライバルが提供していない価値を見つけ出す必要があります。しかし、自社がまったくできないことを提供しようとしても無理があります。これらを踏まえると、次の3点がポイントになります。

①真の顧客が求めている価値は何か
②真の顧客に対してライバルが実行していること・していないことは何か
③真の顧客に対して自社の強みを発揮できることは何か

真の顧客が求めており、ライバルが提供していないコトを、自社の強みを生かした新たな価値として創造していくことが、最も顧客価値を最大化させる戦略と言えます。

ステップ4:ターゲット顧客の具体的な定義

自社の真の顧客、真の価値を定義づけできたら、実際にアプローチする顧客の条件を具体化します。業種・規模・地域・課題特性などを組み合わせ、営業担当者が判断に迷わない水準まで落とし込むことが大切です。

ステップ5:検証と定期的な見直し

設定したターゲットが実際の営業活動で機能しているかを定期的に確認し、必要に応じて見直します。仮説として設定したターゲットを実績データで検証・更新するサイクルを回すことが、選定精度の継続的な向上につながります。

検証と定期的な見直し

まとめ

営業戦略におけるターゲティングは、限られた営業資源を成果につなげるための根幹となる考え方です。対象を絞らずに幅広くアプローチを続けると、一件ずつの商談の質が下がり、組織全体の生産性が低下しやすくなります。ターゲットを明確にすることで、営業活動の方向性が定まり、チームとして統一した行動が取れるようになります。
また、ターゲティングは一度決めれば終わりではなく、実績データをもとに継続的に見直すことで精度が高まるものです。市場環境や自社の強みの変化に合わせて、定期的にターゲットを再検討する姿勢が、営業組織の競争力の維持・向上につながります。
中堅企業において営業戦略を見直す際には、まずターゲティングの定義と選定プロセスを組織として整備することから始めることをお勧めします。個々の営業担当者の感覚や経験に依存した活動から脱却し、誰が担当しても同じ基準で顧客にアプローチできる再現性の高い営業プロセスを構築することが、組織全体の底上げにつながります。
さらに、ターゲットが明確になることで、アプローチ方法・提案内容・フォロー頻度といった営業活動の設計も整合性を持って行えるようになります。ターゲティングは個々の戦術を束ねる営業戦略全体の軸であり、この基盤を固めることが体制強化の第一歩です。まずは自社の真の価値を起点とした勝てる場の選定に、ぜひ取り組みを始めてみてください。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング
コンサルタント

鳴海 啓太

ノベルティ・SPツールの法人営業を経験し、その後、創業100年を越える京都の老舗菓子製造メーカーで生産管理・商品企画・店舗企画・法人営業に従事。幅広い業務経験を強みとし、顧客目線を大切にしながら、クライアントサクセスに向けて妥協のない取り組みを続けている。

鳴海 啓太

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