BRAND INSIGHT 事例・コラム

日本のBtoB企業が成長するには、
「ブランディング」が必須

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BtoBビジネスにおける「企業ブランディング」の重要性が増しています。

BtoBビジネスは、BtoCビジネスと比べて、ブランディングが重視されてきませんでした。それは以下のようにビジネスの範囲が限られることが多い点と、ブランディングはBtoC企業のような大衆消費材を扱う企業が行うものだという誤解からきていると思われます。

・いつも決まった顧客と取引しているため、ブランディングは求めていない・求められていないと思っている
・現状の取引先に営業を続けている限り、十分に取引が行われており、必要性を感じていない
・ブランディングは必要と感じているが、売上・利益といった即効性が高い施策を優先したい

過去、日本のBtoB企業は「川上の企業の求めるものを納めればよい」という生産数や品質管理を重視した商売を続けていた企業が多く、また購入者側も購買意思決定においては、商品の機能性や価格が重視され、ブランド価値は重視されてこなかった背景があります。

特にブランディングは売上に直結しないため、流通・小売企業が行うべきという考えが多くを占めているように思います。

企業ブランディングが重要な背景と目的

特に、コロナ禍以降は先行きが見通せず、予測が困難な時代となり、ビジネス環境は変わりました。

・収益力の低下:
価格競争の激化や仕入れ原価の上昇などにより、付加価値が取れず、収益性が悪化していく。

・組織の弱体化:
採用難や離職率の増加などにより、事業を支える人材が確保できず、組織の活力も上がらない。

・顧客数の減少:
既存客のリピート率が低下し、新規客も思うように増えない。結果的に顧客数が減少する。

販売形態もECやネットチャネルが増え、ダイレクトマーケティングがより求められるようになりました。上記のような競争力・収益力強化、組織体制・人材採用・育成強化、顧客との関係強化という課題を解決するためにも、企業に関わるすべての関係者やステークホルダーに「ブランド価値」を伝えて共感を得る「企業ブランディング」は必要不可欠なものとなっています。自社の存在価値をいかにアピールして伝えていくかが問われています。

「企業ブランディング」におけるブランド価値とは

企業ブランディングは、広告宣伝やプロモーションに限った展開ではなく、営業企画・マーケティング部門などの一部の部署による活動でもありません。会社のブランドとして、顧客の信頼を得るための全社的・中長期的な取り組みです。

企業におけるブランド価値は、顧客の心にイメージとして蓄積された信頼・価値であり、その企業やブランドに対して持つ信頼・好感度、そしてそのブランドに対して支払う意思のある価値のことです。これは、単に知名度や認知度だけではなく、品質・サービス・企業理念などが消費者から共感や信頼を得ているかを評価したもので、ブランド価値が高いほど顧客ロイヤルティ・リピート購入・新規顧客獲得に繋がります。

ブランド価値は、企業の長期的な成長や持続可能な利益を確保するために重要な指標であり、競合他社との差別化、価格競争を回避する、従業員のモチベーション向上など、様々なメリットをもたらします。

ブランド価値を構成する要素と高めるポイント

ブランド価値を構成する要素は以下の3点です。

・顧客価値:
顧客にとってのメリットや価値を指します。

・資産価値:
ブランドが持つ有形・無形の資産(ロゴ、名前、デザイン、評判など)を指します。

・社内価値:
社員がブランドに共感し、誇りを持つことを指します。

そしてそのブランド価値を高めるためのポイントは以下の4点です。

・顧客のニーズを理解する:
顧客が何を求めているかを把握し、それに応じた価値を提供することが重要です。

・顧客との信頼関係を構築する:
顧客に対して透明性のある情報開示や、誠実な対応などを心がけることで、信頼関係を築き、ロイヤルティを高めることができます。

・ブランドイメージを統一する:
企業の活動全体でブランドイメージを統一し、一貫性のあるメッセージを発信することで、顧客に強い印象を与え、信頼性を高めます。

・ブランドエクイティを構築する:
ブランドの認知度・品質・ロイヤルティ・ブランドイメージなどを高めることで、ブランドエクイティを構築し、ブランド価値を高めます。

ブランド価値は、一朝一夕で構築できるものではなく、企業が長期的な視点と戦略を持って、ブランドの構築に努める必要があります。

BtoBブランディングのメリット:自社を選んでほしい人に、競争をせずに選んでもらえる

新規顧客の獲得や販路の拡大は、売上に直結します。そして、この役割を果たすのが企業ブランディングです。

新しい顧客となりうる企業が取引先を探す場合、価格も品質も同じ競合他社がいたとしたら、何を判断材料にするでしょうか。それは、企業の信頼感と安心感です。もし通販サイトで同じ商品を同じ金額で販売している店舗が複数あった場合、多くの人は「どちらの企業が安心だろうか?」を調べるのではないでしょうか。BtoB企業の場合も同じことが言えるのです。

自社独自の価値を見つけ、それを顧客となりうるターゲットに届けて、自社を選んでもらう。これによって顧客との関係性は向上し、指名買いされることも増え、価格競争の場で戦うことも少なくなるメリットがあります。

逆にブランディングができていないと、価格競争に巻き込まれ、価格を下げることで利益が減り、利益が減ることで人材確保や商品開発の余力がなくなり、競争力が更に低下する...という負のスパイラルに陥るリスクはよく知られていることです。

リクルートにも影響があるというメリット

BtoBのブランディングが有効なもう1つの大きな理由は、採用面の課題解決にあります。特にコロナ禍以降、将来・先行きが不透明で予測が困難な時代において特に重要視されています。

過去はCMにでてくる大手企業や公務員が親世代も支持するため、選ばれる企業でした。しかし現代の求職者は企業のスペックで判断するだけではなく、今の時代の変化に対応していけるのか?そのための決断や揺るぎない意思や想いがあるのか?といった点を見ています。

また、Z世代やミレニアル世代といった若手の求職者は、以前よりも「安定性」や「成長性」、そして「働きがい」を重視する傾向にあります。具体的には、良好な給与と福利厚生、安定した職場環境、柔軟な働き方、そして企業文化や価値観との合致が重要視されています。また、最近では、社会貢献や環境問題への取り組みを積極的に行う「ソーシャルインパクト」や「環境配慮」なども注目されています。

そういった求職者に共感いただける内容をいかに届けるのかが、ブランディングなのです。

BtoBブランディングの始め方

いざ「ブランディングを始めよう」と決めたとしても、何をすべきかわからないという企業は少なくありません。

わかりやすい始め方としては、顧客との接点のモデルチェンジから行うべきです。例えばですが、ホームページのリニューアルやSNSの活用からスタートしてはいかがでしょうか。その際に、自社を振り返り、伝えたい内容を整理していけば、ブランディングしたい内容や必要性がより鮮明に見えてくると思います。

少しずつでもブランディングを進めていくことが、BtoBブランディングであり、勝ち残れる企業への第1歩です。ぜひ、BtoBブランディングで選ばれる企業を目指しましょう。

AUTHOR著者

タナベコンサルティング
ブランド&PRコンサルティング事業部
ゼネラルパートナー

安永 信司

クライアントの販促を支援する部門で活躍。企業成長に向けたさまざまな提案で、クライアントの販促・プロモーションを支援。「お客さま視点でのコンサルティング」を信条とし、ひた向きな取り組み姿勢に厚い信頼が寄せられている。

安永 信司
ブランディングに関する相談会

DOCUMENTブランディング・PR関連資料

CONSULTATION 相談会

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タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という志を掲げた1957年の創業以来68年間で大企業から中堅企業まで約200業種、17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。企業を救い、元気にする。私たちが皆さまに提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

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