COLUMN

2026.07.30

事業戦略を成功に導くフレームワークの検討ステップとポイント

目次

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事業戦略を成功に導くフレームワークの検討ステップとポイント

要約

不確実性が高い時代、企業は「環境適応業」として外部変化に合わせて、資源配分を変え続けることが求められます。そのために戦略は不可欠ですが、中小企業では未策定が約4割と多く、理由は「どう作ればよいかわからない」が目立ちます。タナベコンサルティングのフレームワーク「知・選・行」を用いることで、成果につながる戦略を設計することができます。事業戦略を検討する上で、「知・選・行」を活用した検討方法を説明します。

戦略の必要性と策定状況

戦略の定義と必要性

人口構造、技術革新、価値観の変化、原材料高騰、規制変更など、外部環境は常に変化しており、企業が持続的に成長するには、環境変化を捉えて資源配分を変えていく必要があります。タナベコンサルティングでは企業経営における戦略を「勝てる場の発見と勝てる条件整備であり、ライバルの弱点に自社の長所をぶつけること」と定義していますが、経営理念を起点に、経営戦略・事業戦略を設計し、組織を通じて実行することが欠かせません。

戦略策定の状況

タナベコンサルティングの調査では、中期経営計画を「策定している」と回答した企業は、大企業92.3%、中堅企業87.5%と高水準ですが、中小企業は62.8%にとどまっています。

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企業規模別|中期経営計画の策定状況

出典:「長期ビジョン・中期経営計画に関する企業アンケート調査レポート(2025年10月)」

作らない企業の理由

未策定の理由は「策定する組織・メンバーが社内に存在しない」が最多で、「今まで策定したことがない」「どのように策定すればよいかわからない」も多く、体制とノウハウ不足が課題です。

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企業規模別|中期経営計画を策定していない理由

出典:「長期ビジョン・中期経営計画に関する企業アンケート調査レポート(2025年10月)」

事業戦略を成功に導くフレームワーク

成功する戦略とは、資料の出来ではなく、現場で実行され成果が出る戦略です。変化に即応し、素早く選び、やり切ることが重要です。だからこそ、「正しい分析」だけでなく、「変化に合わせて素早く選び、実行する」ことができる戦略が必要となります。変化に合わせて、素早く選び、実行する効果的な戦略を策定するにはタナベコンサルティングが提唱する独自の戦略サイクル「知・選・行」のフレームワークが有効です。

知:知る

「知」は現状を正しく把握し、問題の本質を捉えることです。

選:選ぶ

価値判断基準を明確にし、やることと同時にやらないことを決めます。

行:行動する

重点領域に資源を集中し、実行して突破口を作るとともに結果から学びます。

「知・選・行」のフレームワーク

「知:知る」ための3つのステップ

知るためのステップは「事実の整理と選択」→「事実分析」→「本質追求」の3段階となります。

事実の整理と選択

事実整理は「いつ、どこで、誰が」で大きく整理することで、見落としが無くなります。これに加えて「何を」「なぜ」「どのように」「いくらで」という5W2Hで確認することが基本となります。
次に整理した事実から、わが社の戦略検討に必要な捉えるべき事実を選択していきます。そのためには「4つの眼」と「3つの感覚」が必要となります。4つの眼とは歴史の流れ、先進地域・企業の実態、第一人者の知見から、社会と市場の方向性を洞察する「未来を見る眼」、顧客の価値観や購買行動を捉え、デジタルとリアル双方の視点でニーズの本質を見抜く「マーケットを見る眼」、ベンチマーク企業と比較し、業界を超えた競争環境の変化を捉える「ライバルを見る眼」、最大の弱点と最大の長所、適正規模を把握し、強みを連結して競争力を高めるための「己を見る眼」です。
3つの感覚とはヒト・モノ・カネ・情報などを均衡させ、数値であるべき姿と現状を比較する「バランス感覚」、外部・内部の変化を素早く察知し、適応してやり方を変える「環境変化に敏感な感覚」、経験・情報・知識を一点に結び付け、総合力として経営判断に活かす「統合感覚」のことを指します。
これらの「4つの眼」と「3つの感覚」によって、事実が起きた要因(背景)を掴むことができ、今後の予測がしやすくなります。

事実分析

表面をなでるだけの中途半端な分析は、何回やっても、いくら時間をかけても、エッセンス(本質)は引き出せないため、事実分析には時間と労力が掛かります。分析をするためにはあらかじめ「モデル化」「パターン化」しておき、過去の事実から成功・不成功の要因を明らかにすることで学びに変えます。「フォーム化(様式化)」も重要で、事実整理と選択、分析が同時に簡単にできるようなフォーマットを用意することが求められます。

本質追求

本質追求は分析した事実について、プライオリティーをつけて整理していきます。その次に大局的に見て「成長のトリガー(引き金)は何か」「環境から見た機会は何か」「決定的・致命的リスク変化は何か」「いかにファーストコール(顧客に1番に呼ばれる)を実現するか」の4点について具体的に掘り下げていきます。具体化する際は徹底討議のうえで結論を出し、しっかりと実行・推進できるレベルまで理解していくことが必要となります。

「知:知る」ための3つのステップ

「選:選ぶ」ための3つのポイント

「選」は限られた資源をどこに集中するかを決めることであり、重要なのは「やること」と同時に「やらないこと」を決めることです。そのためには企業の考え方と行動の基準を示す価値判断基準を明確化する必要があります。

存在価値を押さえる

創業の原点、社是、社訓、経営理念など、「これまで大切にしてきた使命」や「自社はなぜ存在するのか」という存在価値を正しく押さえます。企業の存在価値は「もし自社がなくなれば世の中はどんな点で困るのか」に企業の原点があると言われ、それこそが存在意義になります。

数値で判断する

経営理念やミッションを実現するためには中長期的に到達すべき目標数値を設定し、その達成に向けて組織全体で取り組む必要があります。この過程で、現在の数値と目標数値とのギャップがどの程度かを確認し、その差異を埋めるための戦略を構築し、実行していくことが必要となります。

持続可能性を考える

企業の社会貢献に対する世論の期待は非常に高まっており、持続可能性を考慮しない、言及しない企業は、顧客や就活生から見向きもされなくなりつつあります。「社会貢献事業は収益が出ない」「環境に優しいビジネスはコストがかかる」と考えること自体が経営リスクになり得ることを理解する必要があります。サステナビリティの潮流を踏まえ、重要課題(マテリアリティ)を特定し事業と結び付けます。

「選:選ぶ」ための3つのポイント

「行:行動する」上でのポイント

現場で実行される戦略には、①顧客価値が明確、②やること・やらないことが整理済み、③誰がいつまでに何をするかが具体化されている、という共通点があります。重点領域に集中して実行することで突破口が開け、現場の学びが次の「知」に戻る循環が生まれます。

「行:行動する」上でのポイント

まとめ

事業戦略の価値は「策定」ではなく「実行と成果」にあります。外部環境の変化を捉え、資源配分を変えるために、「知・選・行」のサイクルと具体的な検討ステップを活用することが有効です。まずは事実を正しく把握し、価値判断基準を持って選び、実行を深める。この流れを回し続けることが、戦略を機能させる最短ルートになります。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング
チーフコンサルタント

倉掛 太一

大手総合不動産管理会社にて、マンション大規模改修工事の施工管理、技術部門の事業企画、改修工事のブランディング推進等を経て、当社に入社。複雑な事象こそ、分かりやすく解決することを信条とする。前職での不動産管理、建物改修、リフォーム経験を強みに住宅・建設業界を中心としたクライアントの経営課題に向き合う。

倉掛 太一

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タナベコンサルティンググループは
「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
志を掲げた1957年の創業以来、
69年間で大企業から中堅企業まで約200業種、
22,100社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。

企業を救い、元気にする。
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コンサルティング実績

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