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2025.02.25

新規事業における投資判断の基準とは?
策定ポイントから最新トレンドをご紹介!

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新規事業における投資判断の基準とは?策定ポイントから最新トレンドをご紹介!

会社を拡大させていくうえで、企業の身の丈に合った経営をコツコツと継続して安定性のある経営スタイルを貫いていくことは一つの手段です。また現状に満足することなく、既存事業に積極的に投資を行うことや新たなビジネス・事業に挑戦することは企業を拡大する手段です。
今回は新規事業を開発し推進する際に必要となる投資判断の基準について紹介します。

新規事業の投資判断の必要性

新規事業の立ち上げは、企業の成長と競争力の維持において重要な役割を果たします。投資は資本を投じることで将来的に収益を獲得できる行為の一つであり、新規事業を始めるにあたって重要なファクターとなります。

しかし、新規事業には投資に対して十分なリターンが得られないことや、事業成長までに要する時間の長さからすぐに収益を得ることが困難といった高いリスクが伴うため、大胆かつ慎重な投資判断が求められます。

新規事業を立ち上げ、成長させるための投資判断は既存事業でのリソースと切り離し、限定されたリソースを最適に配分し、企業の持続可能な成長を実現するための重要なプロセスです。適切な投資判断を行うことにより、企業はリスクを最小限に抑えながら最大のリターンを得ることができます。

新規事業の投資判断の必要性

新規事業への投資判断が事業成功に与える影響

新規事業への投資判断は、事業の成功に直接的な影響を与えます。リスクを正当に評価し企業に見合うリターンを見込める事業へ適切な投資判断を行い、資源が効率的に活用されることで事業の成功に近づき、高いリターンを獲得することができます。
また明確な投資判断は投資家や従業員などのステークホルダーに対する信頼を構築することができ、事業への支援を得やすくなることで新規事業の成功確率が高まります。
一方で、誤った判断はリソースの無駄遣いにつながり、市場での失敗につながる危険性があります。投資判断は新規事業への事業の方向性を決定し、成功の確率を高めるための重要なステップです。

新規事業への投資判断が事業成功に与える影響

新規事業の投資判断基準の主要要素・ポイント

新規事業の投資判断基準は多岐にわたる要素を考慮する必要があります。その中でも主要要素となる5つを紹介します。

(1)参入する市場規模と成長性、ライバル企業の動向

市場の大きさによって収益性が大きく左右されます。そのため新規事業を行う場合、目標とする売上・収益に対してどのくらいの市場規模なのか、新規事業として参入する市場が今後将来的に成長する見込みがある市場なのかを事前に分析し評価することが必要です。そして参入する業界のライバルとなりうる企業状況を分析し、自社の競争力や市場占有率を考慮し、どのような差別化戦略を取れるかを熟考したうえで投資判断をする必要があります。

新規事業の投資は市場の変化への対応が必要不可欠です。ライバル企業の動向や最新トレンドを押さえるために市場調査を一度行ったら終了ということではなく、定期的・継続的に市場調査を実施することが必要です。

(2)投資回収

新規事業プロジェクトにどのくらいの期間でどれくらいの売上・利益を上げていくのかを明確にする必要があります。加えてその目標を達成するためにどれくらいの資金が必要でどのくらいの期間で回収していくかをバックキャスティングで算出します。既存事業の事業計画、投資計画等を検討したうえで新規事業プロジェクトへ投資する金額、回収期間の計画を設計することが必要です。

(3)事業とのシナジー

新規事業はなぜ自社がやらなければいけないのか、その事業を行う意義や意図を明確にする必要があります。新規事業と企業の経営理念やミッション、ビジョンと大きな差異をなくすことでシナジー効果を発揮し、既存事業の成長を加速させる期待ができます。

(4)社内リソースの検証

新規事業計画を実行・推進していくにあたって人的リソースや物的リソースを揃えることが重要です。新規事業におけるサプライチェーン上で必要なリソースを社内で賄えるのか、他社と連携する必要があるのか整理する必要があります。また新規事業を実行していくフェーズにおいても人材、資金、設備、技術などの自社が保有するリソースを考慮することで、新規事業にリソースを割くべきか、撤退すべきかの判断ができます。

(5)撤退基準

新規事業を進行するにあたって撤退基準を事前に設定することが必要です。新規事業は成長見込みがあれば更なる資金を投入し、一方で成長見込みがない事業であれば撤退する潔さが必要となります。新規事業はストップをかけることや辞める決断をすることが難しいとされており、あらかじめ事業を撤退するライン・基準を設定することが重要となります。
実際に新規事業撤退基準として大手アパレル会社では「3年以内に投資回収できない場合は即撤退」といった方針を掲げていたり、大手サービス業では「単年赤字で即時撤退する」といった方針を掲げていたりと、収益性・投資回収期間の見込みの観点で撤退基準を設けている企業が多いです。

新規事業の投資判断基準の主要要素・ポイント

新規事業の投資判断基準の最新トレンド

新規事業の投資判断基準として「社会貢献」が最新トレンドです。
ESG経営が注目されている中で顧客の環境に対する意識は高まり、社会貢献に積極的な企業を支持する傾向があります。エネルギー効率の向上や排出物の削減と適切な処理、環境に配慮した製品の提供など環境負荷を低減できるかどうかが一つの指標となります。また地域文化や環境保護の支援など社会に対してどのように責任を果たし地域社会や社会的問題へ貢献できるかどうかといった社会的影響の評価も一つの指標と言えます。

事例として建築事業を行う地方の中小企業では地元で社会問題化している空き家の古民家に注目し、空き家のリノベーションや古民家の古木を利用した家具の製造販売を行うことで地域社会の課題に取り組んでいます。古木を利活用した施工は地方だけでなく首都圏からの受注も増加し、大手コーヒーチェーンやホテルで導入され、ブランディングに成功しました。 このように環境負荷の低減や社会的影響の評価、社会課題の解決といった「社会貢献」は現代ビジネスにおいて非常に重要な指標と言えます。

本コラムでは新規事業を推進するにあたっての投資判断基準の要素・ポイントについて紹介しました。今回紹介したポイント判断基準以外にも多くの判断基準があります。大切なことは着実な外部環境・内部環境を調査分析し、そのうえで新規事業に対する明確な数値・基準を設定することです。本コラムが新規事業における投資判断基準の一つの視点として参考にしていただければ幸いです。

新規事業の投資判断基準の最新トレンド

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
アソシエイト

土井 悠暉

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