COLUMN

2023.06.21

IT業界×SDGs~関係性と取り組み事例~

我が国が目指す未来社会Society 5.0。サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムによって開かれる社会構想がSDGsに通じることから多くのIT関連企業が取り組んでいます。

IT業界におけるSDGs

Society 5.0で実現する持続可能な社会

Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノが繋がり、多様な知識や様々な情報が共有され、新たな価値を生み出すことによって、課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に利用することが出来るようになります。さらにロボットや自動走行車などの技術が発達すると考えられています。
これらの技術革新が進むことによって、少子高齢化・都市部への人口集中による地域社会の過疎化、貧富の格差などの課題解決が期待できると考えられています。
IT業界の技術的進歩がSociety5.0の実現には必要不可欠であり、IT技術の成長こそが持続可能な社会達成への重要な要素であると言えます。

出典:内閣府ホームページ

IT企業におけるSDGsの取り組み

前述のSociety5.0の活動を中心にIT関連企業においてもさまざまなSDGsへの貢献活動が行われています。それらの活動は、IT関連企業が自社で行うだけでなく、IT企業がソリューションとして提供することにより、その製品・ソリューションを利用することでSDGsへ貢献することも実現しています。大きくは下記の3つのカテゴリに分類することができます。

(1)IoT・新技術による新たな持続可能な事業の実現

IoTやITに関わる新技術は新たな事業を生み出しています。その中には、気候変動や飢餓への対策になる事業も多く生み出されています。このような取り組みによる持続可能な事業の実現により、SDGsへ貢献する企業が多くあります。

(2)システム化・クラウド化による省資源・省エネルギー

IT技術の進化により、紙などによりアナログな処理をされてきていた作業がすべてデジタル化することにより、省資源ができるようになってきました。また、インターネットの高速化により、従来高機能なサーバーマシンが必要であったシステムがクラウド化され、PC不要となり、省エネルギー化できるようになっています。このような省資源・省エネルギーによりSDGsへ貢献できるソリューション・製品が増加しています。

(3)自動化・アウトソース化による生産性向上・働きがいの向上

IT・AI・ロボット技術の進化により、多くの作業が自動化できるようになっています。また、自動化だけでなく、インターネットを通したアウトソース化も盛んにおこなわれており、従来人手が必要であった作業も自社で行う必要がなくなってきています。このことにより、生産性が向上すると同時に、余剰になった人的リソースを付加価値の高い作業に充てることで、働く人の働きがいの向上にも貢献しています。

IT企業におけるSDGsの取り組み

IT業界でのSDGs事例

(1)IoT・新技術による新たな持続可能な事業の実現

ビッグデータ分析による収穫量の最大化 日本電気株式会社(NEC)・株式会社カゴメ

日本電気株式会社は、株式会社カゴメとの共同事業でデータ分析に基づいた、収穫の最大化を図る農作物の収穫システム(NEC農業ICTソリューション)を開発し運営している。衛星、ドローン及びセンサーを使い、気象や土壌データを収集・分析することで農作物の収穫量増加、栽培効率化を実現しました。気候変動・温暖化・砂漠化が問題になる中、データ分析による農業の進化は、持続可能な社会の実現に必要になっていくことが予想されます。

出典:https://jpn.nec.com/ad/onlinetv/bigdata_kagome.html

飲食店舗のフードロスをなくすアプリ 株式会社コークッキング

株式会社コ―クッキングが運営する「TABETE」アプリは、飲食店舗・小売店・宿泊施設と連携し、フードロスを大幅に削減するシステムです。飲食店舗などで「売れ残った」「余った」食材が発生した際に、アプリ登録者に連絡が行き、その登録者が購入することでロスを発生させない仕組みです。販売はアプリ登録者のみとなるため、店舗の運営には影響せず、ブランドの棄損なども発生しないシステムとなっています。

出典:https://lp.tabete.me/index

(2)システム化・クラウド化による省資源・省エネルギー

ストレージ・システムをクラウド化するソリューション 株式会社NTTコミュニケーション

株式会社NTTコミュニケーションは、さまざまなストレージ・システムをクラウド化するソリューションを提供している。ワークフローシステムでは、従来紙で運用されていた承認業務などをデジタル化することにより、省資源化している。また、サーバーなどのストレージもプライベートクラウドの中で運用することにより、電力を多く使用するサーバーマシンやネットワーク機器を削減することができる。また、災害対策であるBCPの観点においても、重要性が増しています。

出典:https://www.ntt.com/business/solutions/cloud-based-ict-infrastructure/cloud-auto-operation.html

(3)自動化・アウトソース化による生産性向上・働きがいの向上

AIの活用による人材不足の解決 SCSK株式会社

SCSK株式会社が開発したSNN(SCSK Neural Network service)はAI活用・実装・運用までを一貫して支援するサービスです。画像認識やセンサーデータ解析、その他のベースモデルを複数準備しており、お客様のデータやノウハウを追加学習することで、お客様独自で、お客様の業務に即したAIモデルを構築・成長させることができます。
これを導入したクライアントはAIを用いたFAQ回答システムにより、コールセンターへの問い合わせを削減しています。労働力不足の解決だけでなく、サービス品質の強化も実現しています。

出典:https://www.scsk.jp/sp/snn/

IT業界でのSDGs事例

IT業界におけるSDGsの達成に向けて

上記で述べたようにIT業界の技術的進歩がSociety5.0の実現には必要不可欠であり、Society5.0構想の実現自体がIT業界のおけるSDGsの達成であると言えます。
また、現代社会では、IT技術によって顧客や働く人のライフスタイルに好影響を与える「DX化」の機運も高まっています。SDGsとITの相性は、社会情勢を考えても良好であると考えられます。
取り組み事例は多岐に渡りますが、まずは自社の事業領域と関連付けて優先テーマを設定し、以降の実装フェーズに繋げて行きましょう。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング
エグゼクティブパートナー

井上 裕介

大型リゾート・旅館にてホテル・スキー場・飲食店舗を運営し、新規企画開発・人材育成・業務改善・収益改革などに従事後、当社へ入社。現場経験を生かした戦略設計や中期ビジョン策定、新規事業戦略策定、SDGs策定支援など幅広く活躍している。

井上 裕介

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