COLUMN

2023.01.23

SDGs推進を社内浸透させるには?

現在、世界ではSDGsに関する動きがめざましく、本腰を入れてSDGsに取り組む企業が増えています。しかし、いざSDGs推進部が立ち上がり、社内で取り組みを進めていくも、何から取り掛かっていけばよいか、社内へ取り組みを浸透させるにはどうすればよいのかと悩んでいるSDGs担当者は少なくありません。今回は取り組みの社内浸透にお悩みの担当者様が参考になる、取り組み事例をお示しいたします。

SDGs推進が進まない理由

SDGsに対する理解・知識不足

SDGsの取り組みが社内で浸透しない大きな要因として、SDGsに対する理解・知識不足が挙げられます。
SDGsは2015年から採択されたため歴史も浅く、17のゴールと169ものターゲットで構成されているため、非常に幅が広く、一朝一夕に理解できるものではありません。
そのため、社員の方々、担当者の方も理解することは容易ではなく、施策として実行できるまで理解できていない。ということが推進の壁となります。

企業として取り組んでいく上で、取り組みが理解され、共感されることは大きなポイントであるため、SDGsについての研修やワーク等、理解を深めてもらう機会を取り入れ、まずは社員のSDGsへの理解度を高めることが大切です。
SDGsについて理解しないまま取り組みを推進してしまうと、何のために、何を行って良いのか分からない状態に陥り、多くの時間とお金を無駄にしてしまうリスクがあります。

現場の共感が得られていないトップダウンの推進

企業のSDGs推進担当者の悩みで多くみられるのが、SDGsを推進しようという企業トップや担当者とその他の社員の間で取り組みに対する認識違いや差があるという現状です。そういった現状の中で、社員から寄せられる意見は以下のような意見です。

「SDGsの取り組みは推進部の取り組みであるため、自分達には関係ない取り組みである」
「SDGsの事業を進めていくと言っても、具体的に何をどうすれば良いかが分からない」
「研修等を取り入れてみるものの、浸透できず、浸透度合いも分からない」

このような意見があがる原因として、SDGs推進を決定した側のとにかく取り組みを推進しなければならないという目的意識ばかりが先行してしまい、社員と十分なコミュニケーションをとることができていないことがあげられます。
目的意識ばかりが先立つと社員に具体的な理念・行動を浸透できないために、一人ひとりが取り組みに共感することなく、取り組みへの理解・モチベーションの差が開いていくことになります。

このような状況にしないために、社員一人ひとりにSDGs推進への理解を深めてもらい、取り組みに共感してもらうことで、主体的な姿勢を浸透させていくことが重要になります。

SDGs推進のための取り組み

取り組む上でのポイント

1.自分事として捉えられる工夫を行う
推進を浸透させる側の過ちとして、何をどう学んでもらうかというところに焦点が当てられることが多くありますが、なぜ自分が学ぶ必要があるのかということを理解してもらうことが重要です。
他人事だと考えていることについて時間を費やすことは難しいですが、SDGs推進を自分事として捉え、学ぶ意味を確立させることができると自発的な学びも期待することができます。

SDGsの取り組みは特に持続性のある取り組みにするということが重要であるため、社内の共感を得て長く取り組みを進めていきましょう。そのためにも、それぞれの普段の業務の中でSDGsとの繋がりを感じてもらうことやグッズ等でSDGsを身近な存在に感じてもらうことがポイントとなります。

2.若手社員の意見を取り入れる
SDGsを社内に浸透させるには、多面的に物事を見られる社員を増やすことが近道となります。
特に、その後取り組みを引っ張っていくのは若手社員が中心となっていくため、立ち上げの段階から若手社員の意見を取り入れることが重要です。自分たちが積極的に関わった事業であれば、その後も主体的に活動していきやすくなります。

また、若手社員の活躍が経営層を突き上げるという影響もあるため、SDGs推進をきっかけに彼らの動きを活性化することで、社内に良い刺激を与えることもできます。

取り組み事例5選

1.SDGs研修
企業にSDGsが求められる理由を正しく理解することが、社内浸透の一丁目一番地となります。
SDGs研修を実施することで、社員がSDGsについて一定の理解ができ、今後の取り組みがスムーズになります。

講義だけではなく、討議フォーマットをもとにディスカッションを行うことで、自分の言葉でSDGsについて語ることができるようになるとその後も自身の事業との繋がりを考えられたり、今まで気づいていなかった視点で取り組めるようになります。

また、近年ではオンラインでの研修内容も充実し、離れた場所、大人数という条件での開催も比較的開催しやすくなっています。普段の業務が忙しく、研修時間が取りづらいというお悩みをお持ちの企業様もオンデマンドで配信することで時間の制限なく研修を実施することが可能となります。研修内容も講義・ワークという形式だけでなく、カードゲームでのワークショップやアイデアコンテストを開催することで、楽しみながら、自分事としてとらえやすい研修形式も増えています。

【参照】SDGs研修
https://www.tanabekeiei.co.jp/vision/service/sdgs/training.html


2.SDGs朝礼
三承工業株式会社(建設業)では、社内浸透への働きかけとして、個々のSDGsへのアクションを推進するために導入されました。
17の目標にあてはめて自身のできる行動等を毎朝発表する機会を設けることで、意識改革につながります。

【参照】三承工業株式会社 SDGs REPORT
https://base.sunshow.jp/SDGs_REPORT_2019.pdf?20190527


3.社外向けのSDGsレポート作成
社外レポートを作成し、ステークホルダーにSDGs活動を認知してもらうことで、営業先等で自社のSDGs推進に関わる話がしやすい環境をつくります。
そうすることで、SDGs推進を自分事として捉えてもらいにくい傾向にある、現場の方々にも業務との繋がりを感じてもらいやすくなります。説明のためにSDGsについて深い理解が求められるため、より主体的に理解を深める環境をつくることができます。

4.SDGsを身近に感じるグッズの普及
SDGsを身近に感じてもらうことが重要であるため、SDGsのロゴが入ったグッズを普及することで、意識してもらいやすくします。
普段目にする機会の多い、名刺やカレンダー、バッジなどのグッズを使用してもらうことで、社内外でSDGsについてコミュニケーションが生まれるきっかけをつくり、社員の方々に身近に感じてもらうことができます。

5.eラーニング
eラーニングは社員数・時間・場所を気にすることなく学習が可能となるため、複数拠点であったり、普段の業務が忙しく、集合研修等が難しい状況でも学習して頂きやすい環境を整えることができます。

最後に

現在積極的に取り組む企業が増えたSDGs推進ですが、まずは「SDGsと企業の結びつき」を理解してもらうことが一歩目です。経営理念と紐づけ、SDGsに取り組む必要性、実現したいビジョンを推進する担当者様がトップと連携をとり、繰り返し発信することが要と言えます。
その上で、研修やワーク等を導入して社員一人ひとりのSDGs推進に対する理解を深めて、日々の業務の中でSDGsを身近に感じてもらい、より共感しやすい環境をつくることで持続性をもった取り組みになります。
当コラムでお示ししました取り組みをぜひ行っていただき、SDGs活動に貢献いただきたいと考えます。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
コンサルタント

植杉 友哉

成長戦略をベースとした中長期ビジョン策定と実行支援、各企業の実情を踏まえたオリジナルの人事制度構築支援、ひとづくりを戦略的・計画的・体系的な視点から支援する社内教育制度構築など多くのコンサルティングに参画している。顧客と誠実に向き合い、寄り添うコンサルティングの実践を信条としている。

植杉 友哉

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「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
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