COLUMN

2022.04.28

SDGsと自社の取り組みを紐づけるポイント

今多くの企業が、現状の事業活動とSDGsの17の目標との「紐づけ」を行い、その貢献度の情報開示まで進めています。「紐づけ」はSDGsに取り組む上で重要なステップのため、充分に検証する必要があります。

なぜ自社の取り組みを紐づける必要があるのか

SDGsの方向性との一致を確認できる

SDGsと聞くと、自社と関係ないのではと疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。しかしそんなことはありません。企業とは元来、世の中の困りごとを解決するために存在しているものです。今一度、経営理念に立ち返り、そこにどのような想いが込められているか考えてみてください。自社の事業と社会、環境、エネルギーなどの外部環境との関わりのなかで、必ずSDGsと結びつくものがあるはずです。SDGsへの取り組みを検討する上で、自社の活動と切り離して考えるのではなく、そもそも自社が目指している方向と一致しているのだという実感を得るためにも、SDGsと自社の取り組みを紐づけて考えることは重要なのです。ではどのように紐づけていけば良いか、考える上で役立つフレームをご紹介します。

なぜ自社の取り組みを紐づける必要があるのか

紐づけで役立つフレーム「SDGsマッピング」

まずは自社の取り組み内容を全て洗い出してみる

SDGsマッピングとは、自社の現状の活動内容を全て棚卸し、それらがSDGsの17のゴール、169のターゲットに対し、どう関係しているのか整理を行うことです。このフレームを活用することで、紐づけが考えやすくなります。SDGsマッピングの最初のステップは、自社の活動内容の洗い出しです。例えばサプライチェーンやバリューチェーンに沿って考えてみることで、より広い視点で事業活動における洗い出しができますが、その他活動(社内制度や社会貢献活動など)についても漏れが無いように気を付けましょう。取り組みの大小問わず洗い出し、出てきた内容は、ホワイトボードや模造紙に付箋で貼り出してみましょう。

洗い出した取り組み内容と関係するSDGsの目標を紐づける

充分に活動内容の棚卸について検討ができたら、SDGsとの紐づけを行います。17のゴールの枠を設け、書き出した内容がどれに関係しているか振り分けます。ここでのポイントは、17のそれぞれの壮大なゴールに直接紐づいているかどうかで考えないことです。169のターゲットまで視点を広げると、よりイメージがつきます。例えば、事業が環境や社会に与える影響から考えてみるということにフォーカスしてみても、SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」やSDGs目標8「働きがいも経済成長も」という目標には、「環境」や「社会」に与える影響というものが関連するため、イメージがつきにくいかもしれません。一方で、ターゲットのレベルまで絞ってみていくと、 SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」 の内のターゲット7a「2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。」など具体的に記載がされており、事業や社内制度とSDGsを結びつけるイメージが鮮明になります。環境省の『SDGs活用ガイド』には「SDGsとの紐付け早見表」というものもありますので、参考にしてみると良いかもしれません。この紐づけを通して、気づかなかったSDGsへの貢献が見えてきます。

実は軽視されがち?共通の理解を持つことの重要性

共通理解なくして、正しい紐づけなし

SDGsへ取り組むにあたり、社員一人ひとりが共通の理解を持つことが何よりも重要です。SDGsマッピングが中々うまくいかない企業の多くはここに原因があるのではないでしょうか。SDGsとは壮大なテーマであり、地域や文化、国民性によって定義も異なります。「自社が定義するSDGs」について共通理解がなければ、マッピング等の議論も解釈のすれ違いが生じてしまいます。タナベコンサルティングでご支援を行う際も、必ず講義から始め、"的を外さない" SDGsの実装をお約束しております。興味ある方は事例と共に情報交換をさせていただければ幸いです。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング
エグゼクティブパートナー

井上 裕介

大型リゾート・旅館にてホテル・スキー場・飲食店舗を運営し、新規企画開発・人材育成・業務改善・収益改革などに従事後、当社へ入社。現場経験を生かした戦略設計や中期ビジョン策定、新規事業戦略策定、SDGs策定支援など幅広く活躍している。

井上 裕介

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