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なぜ製造業に中期経営計画が必要なのか?
中堅企業以上で3~5年の中期経営計画を策定している企業は約9割。一方、中小企業で策定している企業は約6割。これはタナベコンサルティングが毎年実施している企業アンケートの結果です。企業規模が大きくなるにつれて策定割合は上がっていきます。先行き不透明な時代だと言われますが、そんな時代だからこそ中期で経営計画を策定しようという企業が多くあります。ちなみに10年以上先の長期ビジョンを策定している企業は中堅企業で3割強、中小企業で2割弱となっています。
中小・中堅製造業が中期経営計画に掲げているテーマについてみていきます。
成長投資について、製造業がもっとも注視しているのは「人材の採用・育成・活躍推進」「研究開発(R&D)を通じた技術力の向上」の2テーマとなっています。また、研究開発投資における主な狙いとして8割以上の企業が「新製品・新技術の創出」と回答しています。技術基盤を生かした製品開発や既存製品の質的向上に重点を置く傾向が見られます。

中期経営計画策定の流れ
中期経営計画の策定において検討ステップや検討フレームが他社と比較して自社はどうなのか気になるところではないでしょうか。主には、現中期経営計画の振り返りを含めた現状分析から始まり、10年先の長期のビジョンを設定しそこからのバックキャスティング(逆算思考)で最初の3~5年の重点テーマを描きます。要員計画や業績計画に落とし込み、各年度ごとに実施することをまとめたロードマップに落とし込みます。一つ一つ着眼点を見ていきましょう。
フェーズ1.現状分析
まずは現(前)中期経営計画の振り返りから始めます。うまくいった点は何か、うまくいかなかった点は何か。そこから次期中期経営計画へ反映すべき内容は何か。この振り返りは非常に重要になりますので詳細に分析します。現状分析フェーズは振り返りだけで十分かというとそうではありません。現(前)中期経営計画では捉えられていなかった内部環境や外部環境の変化というものに目を向ける必要があります。環境は刻々と変化します。企業は環境適応業でありますので、的確に環境変化をとらえ適応していく施策を検討することが重要です。内部環境・外部環境ともに現在・未来と視点を移しながら自社にとってのリスクと機会を整理していきます。
フェーズ2.長期ビジョンからのバックキャスティング
次に、10年先の長期ビジョンを改めて検討します。現状策定しているものは再度見直しを行います。大局着眼で自社が目指す先を明文化します。この長期ビジョンの策定は非常に大切になりますのでぜひ妥協せずに取り組んでください。そこからバックキャスティング(逆算思考)で実施すべきことを落とし込みます。その初めの3~5年の計画が次期の中期経営計画となります。環境変化に対する大きな投資は現在の中期経営計画の延長線上では検討できません。変化の大きな環境に適応していくためにもビジョンの策定とバックキャスティングでの中期重点テーマの策定を行ってください。
フェーズ3.要員計画と業績計画
定量面では要員計画と業績計画の策定がメインとなります。重点テーマをどのような体制で実施するのか。その結果として売上・利益をどのように作り上げていくのか。という定量計画になります。重点テーマは定性的なものが多い傾向があり、その時点では皆さん賛成でも、定量的に明確にしていくと様々な課題が明確になります。そこから逃げずに設計しきるリーダーシップが重要になります。
フェーズ4.3~5年のロードマップ
ここまで検討してきたものを全体のロードマップとしてまとめ上げます。不整合がないか、やりたい計画になっているかの全体像を確認します。全社員の協力で実現する経営計画ですので全社員がやりたいと思えるものでなければいけません。全社の計画から部門の計画へ、そこから個人の計画へ落とし込んだ際に全社員が我が事として取り組める魅力ある計画にしましょう。

製造業における中期経営計画を成功に導く3つのポイント
製造業が中期経営計画を策定する際に現状のトレンドも加味すると検討しなければいけない3つの大きなポイントがあります。
1.DXを前提とした人材ポートフォリオの設計
2.オーガニック・インオーガニックでの成長戦略の検討
3.事業ポートフォリオと収益構造の設計
の3点になります。
一つずつポイントを見ていきましょう。
DXを前提とした人材ポートフォリオの設計
少子高齢化もあり国内人口自体は減少していきます。高年齢化や採用困難などの課題をお持ちの企業も多いと思います。一つの解決策としてDXを検討や推進されておられる企業も多いと思います。AIの活用、ロボットの活用、システムを活用した生産性の向上などデジタルを活用した対策は様々あります。その活用を前提としたうえで人材のポートフォリオを組むことが重要になります。人材ポートフォリオとは、どういった人材がいつのタイミングで何人必要かということを計画したものになります。「どういった人材」が必要かということを明確に定義し設計することがポイントとなります。その人材ポートフォリオを目指すための採用・育成・活躍計画を組んでいくことになります。
オーガニック・インオーガニックでの成長戦略の検討
既存事業の成長をオーガニックで実現するのか、M&Aなどを活用しインオーガニックでどこまで成長を見込むのか、この検討は重要です。M&Aをしないにしてもしないということを意思決定するための検討はすべきです。自社のバリューチェーンにおいて強化すべきポイントはどこか、そこを強化するには自社で取り組むかM&Aやアライアンス等も検討するのかという着眼で計画を策定してください。
事業ポートフォリオと収益構造の設計
事業ポートフォリオを検討するにあたって、まずは自社の事業をどのようなSBU(Strategic Business Unit)に分けるべきなのかを検討することから始めます。将来を見据えて設計することが重要です。OEMがメインの企業であれば自社ブランド事業に取り組むのか、スポット型とベース型で事業を分けたときの構成比率や国内と海外の構成比率などをどうするのかということは明確に決めなければいけません。収益構造をどのように変化させていくか、売上を上げるのか、利益率を上げるのかといった収益構造の設計とも連動させる必要があります。事業ポートフォリオと収益構造の設計は中期経営計画において重要な戦略マターです。

まとめ
中期経営計画は不要だという声もあります。しかし、これまで記載した内容を網羅した中期経営計画は製造業が持続的に成長していくための道しるべとして必要だと考えます。製造業は国内GDPの約2割を占める基幹産業であり、未来の日本を支えるポテンシャルを秘めています。いまこそ製造業の全ての企業が 新たな中長期の成長戦略を描き、明るい未来づくり に取り組んでいきましょう。
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