COLUMN

2025.02.25

新規事業開発におけるロードマップ設計とは

目次

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新規事業開発におけるロードマップ設計とは

いざ、新規事業開発を社内で進めることになった際、多くの企業が最初に課題となるのが「どのように進めていけばよいか分からない」ということではないでしょうか。新規事業を進めるにあたり、どのような流れで進めていくべきかを本コラムでは「新規事業開発のロードマップ設計」のポイントを紹介します。

新規事業開発におけるロードマップ設計の3STEP

(1)事業コンセプト設計から事業計画書策定

新規事業開発のロードマップには3つのSTEPがあります。
STEP1:事業コンセプト設計、STEP2:事業計画書策定、STEP3テストマーケティング、そしてローンチです。
それぞれのSTEPを理解し、ロードマップを設計することが重要です。

①STEP1:事業コンセプト設計

このステップでは「なぜ、新規事業開発をするのか」という目的を明確にすることです。その際、重要となる視点は自社の長期的なビジョン(ありたい姿)の実現です。事業開発をする目的は長期ビジョンや中期経営計画の達成にとって重要な位置づけになるからです。逆を返すと長期ビジョンや中期経営計画に沿っていない目的で事業開発を進めるとほとんどのケースで目的が不明確になり、失敗することに繋がります。「なぜ、自社は事業開発をするのか」という目的を明確にしましょう。目的のパターンとしては3つに大別されます。①既存事業の成長鈍化のリカバー➁企業規模拡大における新たな収益の柱の創造③長期ビジョン実現における新たな価値創造の必要性です。

➁STEP2:事業計画書策定

事業計画書とは会社にとっての投資判断材料となるものです。事業計画書の内容により会社として事業化するかを決断する重要なステップになります。また、金融機関などから融資を受ける上でも必要な資料となります。
タナベコンサルティングでは新規事業開発の10メソッドに沿って事業計画を作成することを推奨しています。

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事業コンセプト設計から事業計画書策定

出所:タナベコンサルティング作成

重要なことは事業計画書で投資判断をする材料が十分であるかということと、またそれと同様に撤退基準をあらかじめ決めることです。投資の意思決定と同じように撤退の意思決定は経営判断をするために必要不可欠です。

(2)テストマーケティングとローンチ

事業計画書が作成され、社内で無事承認されれば次はテストマーケティングです。このステップで重要なことはいきなり巨額な投資をしないということです。新規事業が必ず成功するわけではありません。故に初期からの巨額な投資はご法度となります。新規事業の鉄則は「スモールスタート」であり、テストマーケティングの結果を踏まえ徐々に拡大(投資)判断することです。そして、素早い意思決定です。新規事業はタイミングが重要です。事業拡大の好機を逃すことがないように投資の意思決定フローを事前に整備することをお勧めします。
テストマーケティングを経て、いざローンチとなります。ローンチまでの期間は出来る限り短いほうが良いです。外部環境の変化は早く、事業計画途中に他社が同様の事業をローンチすることもよく発生します。そのためにも前述した通り、スモールスタートが必要となります。巨額の投資をする場合当然ながら意思決定に時間を要します。そして、ローンチ後は事業を推進する事業責任者のリーダーシップとマネジメントが問われます。事業に対する強い思いを持ったリーダーがメンバーを先導し、役員や経営陣に対して、進捗報告や投資決議を取ることも多くあります。よって、リーダーには「事業に対する熱意」と「プレゼンテーション力」が求められます。

各3STEPポイントとは

(1)新規事業を成功に導くための各ステップごとの着眼点① 事業コンセプト設計・事業計画書作成

事業コンセプト設計のポイントは、まず顧客ニーズを明確にし、ターゲット市場のペインポイントを理解することです。次に、競合との差別化要因を特定し、独自の価値提案を考えます。最後に、収益化方法やコスト構造を含むビジネスモデルを設計し、持続可能な運営を目指します。これにより、実現可能な新規事業を構築できます。
新規事業計画書作成のポイントは、まず市場分析を行い、ターゲット顧客や競合を明確にすることです。次に、事業のビジョンやミッションを定義し、具体的な戦略を策定します。収益モデルやコスト構造を詳細に示し、資金調達計画も含めます。最後に、実行スケジュールやKPIを設定し、進捗管理の方法を明記することで、実現可能な計画を構築します。

(2)新規事業を成功に導くための各ステップごとの着眼点➁ テストマーケティング・ローンチ後

新規事業開発におけるテストマーケティングのポイントは、まず小規模な市場で製品やサービスを試験的に提供し、顧客の反応を収集することです。次に、フィードバックを基に改善点を特定し、製品やマーケティング戦略を調整します。また、競合分析を行い、差別化要因を強化することも重要です。最後に、テスト結果をもとに本格展開の可否を判断し、リスクを最小限に抑えた戦略を策定します。
新規事業開発におけるローンチ後のポイントは、まず顧客からのフィードバックを積極的に収集し、製品やサービスの改善に活かすことです。次に、マーケティング戦略を見直し、効果的なプロモーションを行い、認知度を高めます。また、KPIを設定し、業績を定期的に評価して必要な調整を行います。さらに、顧客との関係構築を重視し、リピート率や顧客満足度を向上させる施策を講じることが重要です。

各3STEPポイントとは

さいごに

新規事業開発おけるロードマップ設計のまとめ

(1)新規事業開発には3STEPがある

①事業コンセプト設計(新規事業開発をする目的の明確化)
➁事業計画書策定(投資判断資料と撤退判断資料)
③テストマーケティング(事業をスケールさせるかどうかを判断する)

(2)新規事業開発の各STEPのポイント

①事業コンセプト
事業開発するための目的は自社のありたい姿の実現

➁事業計画書策定
投資判断材料になることと同様に撤退判断基準を先に定めておく

③テストマーケティング
スモールスタート、高速PDCA、早い意思決定

④ローンチ後
事業のスケールするタイミングを見逃さない、スピード感のある投資判断フローの整備

新規事業におけるロードマップとは新規事業を開発するで必須となります。新たな事業が開発されることで新たな価値を生み出し、会社と社会がより良くなる事業の開発をしていきましょう。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
チーフマネジャー

上原 伸也

アパレル製造小売業で販売・店舗マネジメント、大手旅行情報サービス業で営業・マーケティング業務に従事後、当社へ入社。「地域企業を元気にし、地域経済を活性化させる」を信念に、事業戦略構築、新規事業開発、SDGs経営統合を得意分野とし活躍中。顧客の改善活動をワガゴトとして取り組む真摯な姿勢でのコンサルティング展開で、クライアントから高い信頼を得ている。

上原 伸也

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