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ビジョンマネジメントとは、組織のビジョンをプロジェクトやメンバーと共有し、ビジョンに向かう意識を組織全体に浸透させることです。これによって、従業員個々の意思決定が組織のビジョンを反映したものになります。
この記事では、ビジョンマネジメントの目的やメリット、ビジョンを浸透させるためにはどのようにすればよいかなど、ビジョンマネジメントを行う際のポイントについて解説します。
ビジョンマネジメントとは
ビジョンマネジメントとは、ビジョンを実現するための組織マネジメントです。インナーブランディングの手法でもあり、経営者側からの意識づけがポイントとなる管理手法です。
ビジョンを実現するには経営者はもちろん従業員1人1人の行動がカギとなるため、その指針としてミッションが必要となります。組織全体にビジョンとミッションを浸透させ、個々のチームリーダーやメンバーがビジョンを見据えて行動・意思決定できるようにするための手段がビジョンマネジメントなのです。
期待通りの結果が上がれば高く評価して組織内で共有することで、ビジョンマネジメントの事例として浸透し、チームリーダーやメンバーのモチベーションも向上するでしょう。
ビジョナリーマネージャー
ビジョンマネジメントを担うキーパーソンを「ビジョナリーマネージャー」と呼ぶことがあります。英語では 、"Visionary Manager" のほかに"Visionary Leader"と呼ぶ場合もあります。
ビジョナリーマネージャーはビジョンを理解し、自身も理念を持ちミッションを遂行することで方向性を示してメンバーを統率することがその使命です。
ビジョンマネジメントの目的
ビジョンマネジメントの目的は、組織へのビジョンの共有・浸透です。
組織のビジョンを実現するために、チームリーダーやメンバーの行動を促すのが目的といってよいでしょう。
ビジョンマネジメント3つのメリット
経営者からの意識づけが成功した場合に、組織に与える良い影響がビジョンマネジメントのメリットと捉えられます。ここからは、ビジョンマネジメントのメリットについて3つに分けて解説します。
①意思決定の迅速化・組織の生産性向上
ビジョンが浸透し業務の担当者がビジョンを理解してミッションにしたがって意思決定を行う事が可能になれば、上司や上層部に方向性についての判断を委ねるというプロセスが不要になります。
その結果、担当レベルでの判断がなされて意思決定が迅速化し、組織の生産性が向上するというメリットが生まれます。単に業務フローが速く回るだけでなく、各セクションのリーダーは自身の業務により集中できるようになるでしょう。
②組織メンバーのモチベーション向上
ビジョンマネジメントによって組織にビジョンが浸透すると、メンバーはビジョンを見据えた行動をするようになります。日々の業務で生じた課題に対して、ビジョンやミッションに照らし合わせて意思決定ができるのです。
ビジョンを体現したメンバーが目的意識を持ち、組織のビジョンを自分ごととして捉えることでモチベーションが向上するのです。
③ステークホルダーからの信頼獲得
ビジョンマネジメントが成功すると、ステークホルダーからの信頼を獲得できます。
ビジョンマネジメントは、経営者やリーダーの意向を明確に示すものです。
明確になったビジョンに行動が伴うことで、組織やメンバーが活性化し目に見える成果につながります。結果的に販売などで顧客が接する現場のサービスの質が向上し、顧客の印象を良い方向に変えるでしょう。
営業や製造など、取引先と接する部署においても同様のことがいえます。経営方針によって、経営者がビジョンを重視することが投資家に伝われば、将来に対する投資家の期待は得やすいでしょう。
ビジョンマネジメントの実践3ステップ
ビジョンマネジメントの流れを整理すると、3つのステップに分けられます。ビジョンを示す段階、共有する段階、得られた成果を評価する段階です。それぞれについて、具体的な施策や行動を解説します。
①ビジョンを具体化する
ビジョンマネジメントにおいて、企業・組織のビジョンや経営方針は最初に押さえておくべき要素です。単純なビジョンだけではなく、現在に至るまでのストーリーを含めて理解する必要があります。
そして、企業を取り巻く外部環境の把握が必要です。市場におけるポジションや自社の優位性、社会状況や法制について確認し、将来的にそれらがどのように変化するかを予測しましょう。
その上でビジョンを言語化し、数値目標を定めます。
②ビジョンを共有する
ビジョンが明確になれば、経営者やリーダーの思いも含めて組織内で共有します。
近年は、たいていの企業が社内SNSや動画配信を利用してビジョンやプレゼンを発信し、メンバーがいつでも参照できる環境にあります。メンバーがビジョンを見据え、ミッションにしたがって行動することが、ビジョンを共有する目的です。
ビジョンを共有したのち、各セクションにおけるリーダーがメンバーとの対話や面談を行い具体的な個人目標を定め、目標達成のための実践を促します。
③成果を評価する
ビジョンを策定する際に定めた数値目標は、実績値と比較して容易に評価できます。たとえば「新しい市場に進出する」というような数値化しにくい目標でも、実施された事実やレベルを確認することで評価が可能です。
成果が見られた業務や取り組みは表彰や昇給などによってメンバーの評価を行うとともに、組織内に共有してほかのメンバーが具体的な評価のイメージを持てるようにします。
メンバーが成果を実感することでモチベーションが上がり、組織の生産性が高まります。
ビジョンマネジメント4つのポイント
ビジョンマネジメントによって成果を上げるためのポイントと、ポイントを具体化する際の注意点について解説します。
経営者やリーダーが、積極的・能動的にビジョンの浸透を図ることが重要です。
①ビジョンの意義を明確にする
組織のメンバーがビジョンを理解し自分ごととして捉えるためには、ビジョンに社会的意義が必要です。「なぜそれを目指すのか?」「社会やメンバーにとってどのような意味・価値があるのか?」という問いに対する答えを明確にしなければなりません。
掲げるビジョンには、企業・組織の存在意義や社会的価値、他社に対する優位性が反映されます。組織のメンバーが、理解・共感できるようなビジョンの意義を設定しましょう。
②ビジョンに沿った意思決定を促す
組織内の担当者やリーダーは、それぞれのレベルで判断できることがあります。どのレベルのメンバーも組織のビジョンを理解するとともに、自身や所属するチームのレベルにブレイクダウンしたビジョンを作成する必要があるでしょう。業務に即した分かりやすいビジョンがあれば、ビジョンに沿った意思決定はより迅速になります。
組織内の各レベルにおいてビジョンに沿った独自の意思決定ができることは、組織を柔軟にするでしょう。チーム間で連携する場合でも、リーダー同士、担当者同士のスムーズなコミュニケーションが可能になります。それぞれの権限が許すレベルで、連携した意思決定が可能になるのです。
③ビジョンを目指す行動を評価する
組織が掲げたビジョンを実現するために、ミッションがあります。ビジョンを見据えて、ミッションにしたがった行動がメンバーに求められます。
また、行動がなんらかの成果を生んだ場合に評価できる体制が必要です。メンバーは評価されることで、モチベーションを維持向上できます。成果を組織内で共有すれば、ほかのメンバーの行動にもよい影響を与えるでしょう。
④ビジョンに賛同しないメンバーへの対応
組織のすべてのメンバーが、ビジョンに賛同できるとは限りません。ビジョンを理解したり、リーダーの思いに共感したりすることが難しいメンバーが一定数存在するのは、むしろ自然なことだといえます。
組織のビジョンや存在意義が理解されていない場合には、丁寧に理解を促して共感・賛同してもらえるように働きかけます。その場合、ビジョンに社会的、普遍的価値があれば理解されやすいでしょう。
まとめ
ビジョンマネジメントはビジョンを組織に浸透させる目的があり、メンバーがビジョンやミッションを明確に理解してミッションを遂行することを促します。
メンバーをビジョンに向かわせ、組織全体の行動によるビジョンを早期に実現することが、ビジョンマネジメントの成果といえます。
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