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2025.12.25

中期経営計画の期間は何年が最適？成功する策定のポイントを紹介

中期経営計画

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企業が持続的な成長を目指す上で、中期経営計画（以下、中計）は会社のビジョンを達成するためのマイルストーンとして、重要な指針となります。しかし、その期間を何年に設定するべきか、そもそも計画として策定をすべきなのか、悩まれる経営者の方は少なくありません。本コラムでは、中計の期間設定の最適解を探りつつ、成功する策定のポイントを解説します。

中期経営計画の期間はどのくらいが理想か？

中計の期間は、一般的に3年～5年とされています。しかし、企業の業種や市場環境、経営課題によって最適な期間は異なります。

(1)3年の中期経営計画の特徴

3年という期間が、中計では一般的にイメージされる期間ではないでしょうか。短期的な目標と長期的なビジョンの中間に位置し、現実的な計画を立てやすい点が特徴です。特に、変化の激しい業界や市場環境においては、3年という期間が適しているとされており、例えば、IT業界やスタートアップ企業では、技術革新や市場の変化が速いため、3年程度の計画が現実的です。

(2)5年の中期経営計画の特徴

一方で5年の中計は、より長期的な視点での成長戦略を描くのに適しています。製造業やインフラ関連の企業など、事業サイクルが長い業界では、5年で計画を立て、計画に沿った戦術・戦闘に落とし込みを図ります。特に、大規模な設備投資や研究開発を伴う事業においては、5年という期間が必要になるケースが多いと考えられます。

(3)期間設定のポイント

中期経営計画の期間を設定する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

①業界特性：市場の変化スピードや競争環境を考慮する。
②経営課題：解決すべき課題のスケールや時間軸を見極める。
③柔軟性：計画期間中に見直しや修正が可能な仕組みを整える。

中期経営計画の期間はどのくらいが理想か？

中期経営計画のメリットとデメリット

中期経営計画を策定することには多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。これらを理解した上で、計画を活用することが重要です。

(1)メリット

①経営の方向性を明確化できる

中計を策定することで、企業全体の目標や戦略が明確になり、社員一人ひとりが同じ方向を向いて行動できるようになり、また、目標に対する成果も図れるようになります。

②資源配分の最適化

中計は、限られたリソース（人材、資金、時間など）をどのように配分するかを計画する指標にもなり、経営資源活用の最適化に寄与します。

③ステークホルダーへの信頼向上

中計を公表することは、株主や取引先などのステークホルダーに対して、企業の成長戦略を示すことになり、信頼を得ることに繋がります。

(2)デメリット

①不確実性のリスク

中期的な計画を立てても、外部環境の変化や予測不能な事態（例：パンデミックや経済危機）によって計画が実現しないリスクがあります。特に、昨今VUCA(物事の不確実性が高く、将来の予想が困難な状況を示す言葉)の時代ともいわれ、不確実性が増しており、以前と比較して計画が実現しないリスクは高まっています。

②計画倒れの可能性

計画を立てることに注力しすぎて、根拠・実行を伴わない「機銃の空論」「数字合わせ」の計画で、"計画倒れ"になるケースも少なくありません。

③柔軟性の欠如

計画に固執しすぎると、環境変化に対応できず、最適な行動に移せなくなります。

中期経営計画のメリットとデメリット

中期経営計画の策定プロセス

中期経営計画を成功させるためには、適切なプロセスを踏むことが重要です。以下に、一般的な策定プロセスを示します。

(1)現状分析『知る』

まず、企業の内部環境（強み・弱み）と外部環境（機会・脅威）を分析します。SWOT分析やPEST分析(※政治的・経済的・社会的・技術的の4つの側面での動向を押さえる分析手法)などのフレームワークを活用すると効果的です。

(2)ビジョンと目標の設定

次に、企業としての中長期的なビジョン(5～10年)を明確にし、ビジョンを実現するための具体目標を設定します。目標は、SMART（具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限）の5つの要素を満たしていることが推奨されます。

(3)戦略の策定『選ぶ』

目標達成に向けた戦略を策定します。その際、競争優位性を確立するために、差別化戦略やコストリーダーシップ戦略などを検討します。また、戦略を立てる際には、3つの"る"(市場を切る・捨てる・絞る)を選ぶことが重要です。これらを踏まえ、自社のポジショニングを明確にしていきます。

(4)具体的アクションプランの作成

戦略を具体的な行動計画に落とし込みます。各部門・チームにおける役割の分担やスケジュールの明確化が重要です。5W2Hを明確にして行動に繋がる計画にします。

(5)モニタリングと評価『行動する』

計画の進捗を定期的にモニタリングし、必要に応じて修正を行います。可能であれば、目標数値達成の為のKPI（重要業績評価指標）を設定し、進捗を数値で把握することが効果的です。

中期経営計画の策定プロセス

中期経営計画の見直しと更新の重要性

中計は策定したら終わりではありません。計画期間中の見直しや更新が企業の持続的成長のためには不可欠なステップです。

(1)見直しのタイミング

①外部環境の変化：市場環境や競争状況が大きく変化した場合。
②内部環境の変化：組織体制や経営資源に大きな変化があった場合。
③目標達成の状況：計画の進捗が大幅に遅れている、または目標を早期に達成した場合。

(1)見直しのポイント

①計画の前提条件が変わっていないかを確認します。
②新たな課題・機会を反映させます。
③ステークホルダーとのコミュニケーションを図り、計画の修正内容を共有します。

中期経営計画の見直しと更新の重要性

成功する中期経営計画の特徴

成功する中期経営計画には、いくつかの共通点があります。

(1)現実的かつ挑戦的な目標設定

計画が現実的であることはもちろんですが、企業成長を促す挑戦的な目標であることも重要です。

(2)柔軟性の確保

計画に柔軟性を持たせ、環境変化に対応できる仕組みを整えることが成功の鍵です。

(3)全社的なコミットメント

中計の成功には、経営陣だけでなく、全社員が計画にコミットすることが必要不可欠です。計画の意義や目標を全社的に共有し、社員のモチベーションを高めることが重要です。

(4)定期的なモニタリング

計画の進捗を定期的にモニタリングし、必要に応じて修正を行うことで、計画の実効性を高めます。

成功する中期経営計画の特徴

まとめ

中計の期間は、企業の業種や市場環境や経営課題によって異なりますが、3年～5年が一般的です。計画を成功させるためには、自社のビジョンを明確化し、現状分析からわが社の現状を『知る』、その上で、自社の事業と戦う場所を『選ぶ』戦略を策定し、実行段階まで一貫性を持たせながら丁寧に進めていく必要があります。そして実行の過程では、状況の変化に応じて、柔軟に対応できる体制を整えていくことが重要です。
また、計画の見直しや更新を適切に行うことで、変化する環境に対応しながら、持続的な成長を実現することができます。
タナベコンサルティングの調査によると、中計を成功させる企業は、計画の策定だけでなく、実行と見直しのプロセスを重視していることが分かっています。
ぜひ、自社に合った中計を策定し、持続的な成長を実現いたしましょう。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー＆ドメインコンサルティング
チーフマネジャー

丹波翔太

産業機械・工作機械を扱う専門商社にて、大手の自動車メーカー・ハウスメーカーを中心にソリューション営業を経験し当社に入社。「お客様に寄り添う」を信条とし、課題を共に考え、最適解を見つけ、価値を共創するコンサルティングを展開する。法人顧客向け既存深耕型営業・新規事業構築のノウハウを活かし、営業力強化・新規事業戦略を推進する伴走者としてコンサルティングを行っている。

丹波翔太