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中堅企業が次の成長フェーズに進むためには、「中期経営計画」の策定が欠かせません。そしてその中核を担うのが「アクションプラン」です。本コラムでは、中期経営計画におけるアクションプランの役割や策定のポイントについて解説します。
中期経営計画におけるアクションプランの役割
中期経営計画とは、企業が3〜5年という期間を見据えて、目指すべき姿と達成に向けた道筋を示すものです。その実現に向けた具体的な行動指針として重要なのが「アクションプラン」です。アクションプランは以下のような役割を果たします。
①計画の実行力を高める
具体的な施策がアクションプランでまとめられ、タスクが明確になることで、事業戦略や経営戦略が現場レベルで実行されやすくなります。実行力を上げるための見える化が肝となります。
②進捗管理の基盤を構築
四半期ごとなど、定期的なモニタリングと評価を行う指針となります。毎月のレビューは過剰なマネジメントになりますが、四半期ごとにレビューを行うことで、緊急度は低いが重要度の高い中期経営計画が正しく実行されるようになります。
③全社的な共通理解を醸成
アクションプラン策定の下、全社戦略としてプランが見える化されているため、部門単独のプランはもちろんのこと、部署横断的な取り組みを可能にし、組織全体の目線を揃えます。
中期経営計画におけるアクションプランの必要性
中期経営計画は一般的には3~5年間で「登る山」を決め、そのための事業戦略と経営戦略を時間軸と併せて計画に落とし込むものです。アクションプランはその計画をより具現化してものであり、アクション(実行)できるものである必要があります。また、アクション(実行)するのは組織であり人であるため、「人が推進する」ことを前提に、下記のことを押さえながら策定する必要があります。
①目標達成の確度を上げる
「やるべきこと」を具体化し、担当部門や個々のタスクに落とし込むことで、目標達成への道筋が明確になります。
②変化に柔軟に対応する
四半期ごとなど短いスパンで進捗を確認し、必要に応じて軌道修正を行う仕組みを作れます。
③実行可能なプランを描く
アクションプランを作成するプロセスで、計画の現実性が担保されます。担当者のレベルに合わせたプランを描かなくてはなりません。
アクションプラン策定の基本ステップ
中期経営計画におけるアクションプラン策定の基本ステップは、下記のとおりです。
①目標・戦略の明確化
中期経営計画で掲げた目標・戦略を具体化します(例:売上成長率〇%、市場シェア〇%拡大)。ここで重要なことは、パーパス・ミッション・ビジョンとの繋がりを見せる事です。「何のための」アクションプランなのかが見えなければ推進力は弱まってしまいます。
②施策の洗い出し
各目標を達成するための具体的な施策を抽出し、各組織の役割ごとに振り分けていきます。ここで重要なことは、施策の重複や漏れがないかを正しくチェックし、MECEであることを確認してください。そのうえで優先順位を設定します。
③KPI(重要業績評価指標)の設定
進捗を測るための指標を決め、定期的に確認できる体制を整えます。四半期ごとにレビューがしやすいようなKPIを考え、自部門の組織も、他部門の組織から見ても、進捗がわかるKPIが望ましいです。
④担当者とスケジュールの設定
部門ごとの施策に関して、誰が、いつまでに、何を行うのかを明確にします。
⑤全社への共有と実行
期初に行うキックオフミーティングを用いて、アクションプランを社内で共有し、全社員が理解・共感した上で実行に移します。このキックオフミーティングでは、何のためのプランなのかを正しく伝えることのみに注力してください。ここでボタンが掛け違えてしまうと、後からの修正が難しくなります。
アクションプラン策定のポイント
アクションプラン策定の際に押さえるべきポイントは下記のとおりです。
①テーマごとに推進リーダーを決める
中期経営計画におけるアクションプランは、単純なタスクとして扱うだけでは、推進が遅れることが多いです。必ず、そのテーマごとの推進リーダーを決めて、推進における責任者を明確にしてください。
②四半期ごとのゴール設定を行う
四半期ごとに進捗管理を行うためにも、四半期ごとのゴール設定が必要です。可能であればKPIの数値目標を以てゴール設定が出来ればベストですが、「○○が終わった状態」というタスクの終了をゴールにおいても問題ありません。
③柔軟性を持たせる
プラン設計時にベストな計画を立てる必要はなく、走りながら軌道修正をする姿勢が大事です。変化の激しい経営環境に対応するためにも、定期的に見直し可能な仕組みを取り入れます。
アクションプラン策定における注意点とリスク管理
アクションプランを策定する際には、以下のリスクと対策を意識することが重要です。
①過剰な目標設定
実現不可能な目標は現場の士気を下げる原因となります。現実的で段階的な目標を設定しましょう。
②役割分担の曖昧さ
誰が責任者か、どの部門が関与するのかを明確に定めることで、実行力を担保できます。
③進捗管理の欠如
四半期ごとなど短期的な進捗管理の仕組みを取り入れ、遅延が発生した場合の対応策が練られる体制を取りましょう。
まとめ
中期経営計画におけるアクションプランは、企業の未来を描く「設計図」であり、その実行を支える「道標」です。
特にアフターコロナの時代、計画の実現力を高めるために、現場目線を取り入れた現実的なアクションプランが重要です。
ぜひ、今回ご紹介したポイントを参考に、貴社の中期経営計画をさらに強化してください。アクションプランの策定に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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