COLUMN

2024.10.22

新規事業のアイデア例ご紹介!
アイデアを生み出す思考法とは

目次

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新規事業のアイデア例ご紹介!アイデアを生み出す思考法とは

新規事業を検討する上で、「どの分野・どんなテーマの事業を展開するか」を決めることがファーストステップです。
事業アイデアを生み出すにはどのような考え方が必要なのでしょうか。

新規事業アイデアの考え方とは?

(1)「流行り言葉」は禁句にする

事業アイデアを出すときに、よくやってしまいがちなのは、イメージのないままに「流行り言葉」を重ねてしまうことです。
例えばIT企業でいえば、「AI活用」や「DX」、「ビッグデータ」、「IoT」、「NFT」、「メタバース」などが挙げられます。他業種なら、「SDGs」「地方創生」「高齢化社会」「グローバル」などが思い浮かぶでしょう。
このような流行り言葉を、なんとなく良さそうだけどよくわからない流行り言葉で事業テーマを設定してしまうと、結局は何をするかよく見えないまま、迷走することは確実です。
このような事業アイデアに対しては、「地方創生」で何をするのか、「ビッグデータを掛け合わせることで何が実現できるのか」という疑問を持ち、事業を具体化することがポイントです。

(2)アイデアより「思考法」が重要

タナベコンサルティングがこれまで新規事業開発を支援してきた中で、「固有技術×成長マーケット」の領域における新規事業開発をベストプラクティスとして発見しました。
これは、既存事業として既に持っている自社の強みに成長マーケットを掛け合わせるというものです。
自社の強みというと、今の製品の機能や技術力に注目しがちですが、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない資産である「知的資産」も重要なポイントです。
強みのない会社は存在しません。まずは自社の強みを棚卸することが重要です。参考として、新規事業に成功した事業例をご紹介します。

図1
新規事業に成功した事業例

※横にスクロールします。

業種・業界 モデル 新規事業 事業特徴(定量・定性)
IT業 顧客ソリューション型 タレントテック事業 俳優等の肖像コンテンツによるブランディング・プロモーション支援をとおして、中小企業の認知度アップや企業価値向上を推進し、セールス・マーケティング市場の拡大を図る
家電メーカー 水平展開型 携帯端末事業 (5G スマートフォン開発及び販売)参入 京セラ株式会社が製造を担当。国内通信事業者としてはソフトバンク株式会社のみ
不動産業 ニッチガリバー型 納骨堂永代使用権の販売 及び管理運営事業 瑞華院が納骨堂を運営、同社は連結子会社が販売及び管理業務を担当
質屋業 プラットフォーム型 ❶高級バッグのシェアリングサービス事業
❷BtoBオンラインオークション事業
❶高級バッグのシェアリングサービス事業既存の仕入れチャネルを活用
❷BtoB オンラインオークション事業プラットフォームの立ち上げ
学習塾 事業シナジー創出型 学校法人向け旅行宿泊事業 2018年にパス・トラベル株式会社をM&A
学校法人の各種旅行ニーズなどに応える企画・手配などに取り組む
飲食業 社内ベンチャー型 スープストックトーキョー 三菱商事の社内ベンチャーとして始まった事業。
「女性がひとりでも安心してゆっくりと食事ができるファーストフード」というコンセプトで事業化
家具メーカー 顧客ソリューション型 ❶「ソロワークブースCocoDesk」の供給
❷医療現場へのワイヤレス充電カート販売
❶技術・製造力を生かした高付加価値製品による市場優位性
❷既存チャネルの活用
飲食業 水平展開型 冷凍食品の自動販売機 元々製造していた冷凍食品の活用
コロナ禍下での巣ごもり需要に対応
IT業界 ネットワーク型 介護業務効率化や安全性向上を支援する「介護丸ごとIT!」の取り組み 介護事業者向けに提供している見守りサービスを複数メーカーのセンサーで、モニタリングできるよう機能拡張
フィットネスジム 顧客LTV向上型 シナプソロジーを活用した認知機能の低下予防事業 施設向けの独自運動プログラム開発力とジム拠点を活かした営業体制を強みに、体だけでなく脳を鍛えるプログラムを開発
加齢に伴い脱会していく会員の囲い込みを図る
機械・設備商社 サステナブル型 裁断くず・再不良在庫を再生したレディースブランド 同社が扱う縫製工場で出る裁断くず、不良在庫を再生した「ノー・ウエイスト」を軸に、サステイナブルな素材を使用したレディストータルブランド「めぐりめぐる」を立ち上げ
土木・建設 垂直展開型 クリニック開業コンサルティング クリニックの開業を志すクライアントに対し、土地選定~設計、医療機器の選定、建設に至るまでトータルサポート

出所:タナベコンサルティング作成

新規事業アイデアの考え方とは?

成功する新規事業アイデアで重要なのは

(1)たくさんのアイデアから始める

新規事業のファーストステップでは、まず色々な事業アイデアを考えることが重要です。出てきたアイデアを評価し、優先順位の高いものを事業テーマとして選ぶことが成功率を高めるポイントとなります。
ゼロから新規事業を起案する場合、少なくとも100個程度は新規事業のアイデアを出すべきです。その100個の事業アイデアのうち、磨けば光る「ダイヤの原石」のようなアイデアはせいぜい2~3個程度です。アイデアのほとんどは「石」ですが石を掘り起こさないと玉が混じることはありません。
最初の事業アイデアは玉石混交でかまいません。楽しく、自由な発想で事業アイデアをたくさん出していきましょう。

事業アイデアが浮かんだらフォーマットにまとめましょう。「誰に・何を・どのように」提供するかについて、まずは仮でもよいので文字に起こすことが重要です。書いてみると、新たなイメージもでてくるものです。
記述方法は「記入フォーマット」をご活用ください。また、この記入項目で一番大事なのは、なぜそれを提案するかという「参入理由」です。顧客から求められていたり、自身がぜひとも取り組みたいアイデアなら、実現性が高くなるため、きちんと書き込みましょう。
こうしてアイデアを記述し、具体的なイメージを共有することで、アイデアが連鎖して出てくることも多いです。そのため、「ちょっと今一つかな」と思ったアイデアも、なるべく捨てずに残しておきましょう。
こうしたアイデアは新規事業を具体化する中で、大幅に変わることが多いです。あくまでも出発点として考えることをオススメします。

図2
記入フォーマット

※横にスクロールします。

番号 事業コンセプト 事業概要 参入理由 ターゲット 提供価値 提供方法 今後の検討課題
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10

出所:タナベコンサルティング作成

(2)事業アイデアを評価する

出てきた事業アイデアを「外部環境」「内部環境」それぞれのポイントで評価を行い選別することで、新規事業の成功可能性が高まります。
事業アイデアを評価する上での8つのポイントをご紹介します。

■外部環境
①市場規模:参入市場は十分な規模があり魅力的であるか
②市場成長性:毎期成長しており将来的にも成長を見込むことができるか
③競争環境:競合プレイヤーによる寡占度は高くないか
④社会性:持続的成長を見込むことができる社会的意義が高い事業であるか

■内部環境
⑤優位性:差別化された事業内容であり、参入障壁が高いか
⑥収益性:安定した収益構造であり、高い収益性を見込むことができるか
⑦経営資源の活用:既存事業の強みを活かした事業であり、事業間のシナジーを創出できるか
⑧難易度:実行段階において早期の立ち上げが可能か

外部環境では、市場の規模が十分あるかという点が重要です。独自性や魅力が高い事業であっても、市場規模が小さい場合はその中でシェアを取ったとしても売上の確保が期待できません。目安として、1,000億円以上の市場規模がある事業を狙った方が良いでしょう。新規事業では、企業が作りたいモノや、企業の方針に合致するモノなどを重視しながら製品の開発・提供を行う「プロダクトアウト」の考え方ではなく、市場(顧客)の立場に寄り添いながら、市場が必要とするモノを提供する「プロダクトイン」の考え方が必要となります。
内部環境では、競合他社の参入がしづらい優位性があるかという点や、本業のもうけを示す営業利益ベースで収益を確保できるかという、収益性観点での評価が特に重要となります。

成功する新規事業アイデアで重要なのは

まとめ

まずはアイデアを出してみる

新規事業開発は、「格好良い」「キラキラしてそう」というイメージがありますが、成功させるためには多くのアイデアを出した上で評価をし、改善を繰り返していく、地味で泥臭い仕事です。
新規事業を成功させる上で、アイデア1本勝負ではなく「自社固有の強みと成長マーケットを掛け合わせる点」と、たくさんのアイデアを出した上で評価を行い、常に考え続ける姿勢が重要です。
人口が減少し既存産業が停滞していく日本企業において、新規事業を立ち上げる動きは企業存続に不可欠です。
新規事業への取り組みは、つらく不安定だったとしても、既存事業の中では絶対に得られない経験が多くあります。
本コラムが自社の新規事業開発をスタートさせるきっかけになりましたら幸いです。

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