PRはブランディング戦略と密接な関係にあります。すべてのコミュニケーションはブランディング戦略に基づくためです。「ブランドの一貫性」があるコミュニケーションによってブランドを「正しく魅力的に伝える」ことができます。
「ブランディング」と「PR」の考え方
ブランディングとは、ブランドに対して、消費者(顧客)が抱く、イメージや共感性を高め、他社との差別化や付加価値を高める活動
PR=Public Relations(パブリックリレーションズ)とは、企業がステークホルダーと良好な関係を築くための活動および考え方
世の中の情報量が爆発的に増え、さらにメディアの多様化と生活様式の変化によって情報収集の仕方が変化してきたいま、改めてPRという考え方が注目されてきています。
タナベコンサルティングでは、「プレスリリースの発信」や「パブリシティの獲得」といった従来のPR活動の主軸となっていたものにとどまらず、広告やセールスプロモーションを含めた、コミュニケーションすべてをPRと考えています。ブランディングが未着手の場合、まずはブランド確立から始めることが必要となります。
コミュニケーション設計に必要となるメディア戦略は昨今「PaidMedia」「EarnedMedia」「OwnedMedia」のトリプルメディアに「SharedMedia」を加えた『PESOモデル』によってたてられています。
PRと広告・宣伝、どちらも目的は、「企業理念、ビジョン、ミッションの実現に向けた企業価値の向上」にありますが、PR(「Earned」「Shared」)は第三者評価であり、広告・宣伝(「Paid」「Owned」)は自らの発信に違いがあります。企業が情報をコントロールできなくなっている中で、情報を広くステークホルダーに届けていくためには、「いかに第三者に情報を広めてもらうか」といった観点で、「広告・宣伝」を使って情報発信をしていくことが重要になってきています。
「ブランド」と「PR」の関係性
報道価値とは、メディアに報じる価値があるかどうか?
メディアに報じられる3つの効果(ABC効果)
(1)アテンションーAttention
TV、新聞、Webメディア、インフルエンサーが取り上げてくれることで、多くの人に「企業、商品、サービス」の気づきを与えることができます。
(2)ブランディングーBranding
第3者が記事掲載、評価されたこと自体が「ブランド価値」を上げることになります。報道されたことは、HP、SNS、営業機会などで発信できます。
(3)コストーCost
広告費をかけての販促、営業をするのではなく、メディア・記者の「記事にしたい」に応えることで、受け手は、コンテンツ(記事、番組内容)に興味関心を持ち、持続的な(受け手の記憶に残る)効果となります。※広告宣伝費、営業費のコストダウンにつながります。
※PRのトレンド「報道連鎖」
通常、マスメディアは、他のメディアで報道されたことを追いかけていきます。この性質を利用して、「報道が報道を呼ぶー報道連鎖」を意図的に仕掛けていく「情報伝播設計」が重要です。
メディアが欲しい情報とは何か
PRにおける重要な3つのキーワードは、「ヒト」「モノ」「コト」
そこに、①新規性 ②意外性 ③社会性 ④データ ⑤季節性 ⑥物語性などの報道価値を生む要素を組み合わせます。
組み合わせる要素の中で、イメージの難しい②~⑤について説明します。
②意外性(逆張り)
カテゴリーが180度違うものを組み合わせる方法で、PR会社もよく提案してくる企画で、効果が高く見込めます。※朝―夜、高級―リーズナブル、動―静、事業・商品・サービスの逆キーワードなど
③社会性
ミクロ・マクロの社会課題・問題を可視化し、危険性の訴求や人を啓発することで、社会的な目を向けてもらう方法。良く報道されるニュース、自社の業界ニュースに目を向け、自社、事業と結びつけて考えます。※例:地域経済、少子高齢化、価格高騰、過疎化、教育関連など
④データ
調査データの発信は、広報/PR戦略の定番施策となります。業界を代表するような調査データはメディアにとっては、ネタの宝庫となります。リサーチできるように、オウンドメディアに公開し、検索にかかるようにする。また、毎年発信、〇〇調べなど、時間をかけて、メディアからデータ活用の問い合わせを活かし、メディアリレーションを構築していきます。
⑤季節性(シーズナル)
自社、商品、サービスに季節に合わせたトピックスを盛り込みます。対象となる日、オンシーズンの数か月~2週間前には、情報を発信し、季節の行事や季節を連想させることで、報道価値が上がります。※正月、成人式、節分、バレンタインデー、夏休み、ハロウィン、クリスマスなど
「報道連鎖」を生み出す
戦略的な情報伝播設計により、アーンドメディア領域を最大限活用
その上で、マスメディアのリサーチ元である「Webと専門誌」にまずは露出を高めていきます。
1.PR体制の構築
(1)メディアリストの作成
自社独自のメディアデータベースから、ターゲットと親和性の高いメディアをWEB、新聞、雑誌、TVそれぞれで選定し、オリジナルのメディアリスト作成
(2)報道分析、企画立案
自社と関連する社会課題やトレンド、季節性、業界ネタなど、こまめにキャッチし分析、そこに合わせたPR企画を立案し、報道価値を創出
(3)年間広報計画/カレンダー策定
広報/PR年間スケジュール作成、広報/PR KPI設定も持続的な効果を生みます。
2.PR実装、改善、定着
(1)定期的なメディアアプローチに広報ツールを活用
①プレスリリースの定期的な配信
②ニュースレターの定期的な配信
③テレビ企画書
④プロフィールシート
(2)メディアとの接点づくり・リレーション構築に向けメディアプロモート×体験機会の創出
①記者発表/体験会/プレスツアー/出張授業など体験型企画実施
プレスリリースのみでは書くことの出来ない深い記事露出を狙う。高い報道価値を付加することが可能。
②メディアアプローチによる取材露出の獲得
メディアに対して行う「情報」の営業活動。メディア特性を捉え丁寧に報道価値を伝え、取材露出につなげる。
③「記事になる前から」のモニタリング、「出てきた記事」のクリッピング。
※人的にも時間的にもコストがかかりがちなので、外部リソースの活用も有効。
自社の報道価値を高め、持続的に発信し続け、報道が報道を呼ぶ報道連鎖を起こす「ブランド力を高めるためのPR」を企画、実装することで、企業の価値向上につなげていただきたい。