COLUMN

2023.06.26

プラスチックマテリアルリサイクル事業を通して
サステナブルな社会の実現へ貢献

企業概要

坂東 伸剛氏 「プラスチックリサイクルを通して、限りある資源を次世代へ繋ぐ」というコーポレートメッセージのもと、リサイクル材の買い取りやプラスチック材料の製造・販売を通じて、プラスチックのマテリアルリサイクルを行っている。

2021年に「資源循環事業を通して、持続可能な社会を実現させる」を経営理念に掲げるアカルタスホールディングスグループに加入。プラスチックマテリアルリサイクル事業の拡大を通して、サステナブルな社会の実現へ貢献する。

同社は、プラスチック原料の製造を行っている「美濃化学工業株式会社」とプラスチック素材の輸出入および卸売事業を展開する「株式会社スカイコーポレーション」の統合によって設立された。製販一体の体制を構築することにより、プラスチックマテリアルリサイクル事業におけるシナジーを最大化し、更なる事業拡大を可能とする。

坂東 伸剛氏 美濃化学スカイコーポレーション株式会社
代表取締役社長
坂東 伸剛氏
藤巻具体的な事業内容はどのようなことを行っておられますか?

坂東日本各地の樹脂メーカーあるいは加工業者から使用できない、または使用できなくなった"廃プラ"と呼ばれるものを買い取りします。
岐阜県美濃市の本社工場や各地の保管倉庫へ集約し、長年の経験・蓄積した技術・情報をもとに種類ごとに管理し、粉砕やリペレット加工を行い、新たに生まれ変わったプラスチックリサイクル原料を国内外へ販売しています。

藤巻合併にあたり、コーポレートアイデンティティー(CI)をご一緒に策定しました。策定時のエピソードをお聞かせください。

坂東会社の存在意義を改めて考える機会となり、どのように表現したらよいのか、どのように考えていくのが良いのかを整理することに苦労しました。
最も重要視したことは、将来にわたって社員やその家族の生活を守り、みんなの幸福を目指していくこと。そのうえで、会社が長期的に発展していくためには、各社員の仕事上のスキルや人間的な成長が不可欠であり、仕事を通じて社員が成長し、同時に会社も成長し続けることで、顧客をはじめとする社会から必要とされる存在であり続けられるのではないか、と言う考えに至りました。

巻野 隆宏 タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部 エグゼクティブパートナー
巻野 隆宏
巻野社員を大切にする考え方が大変良く伝わってきます。
お取り扱いされている、再生プラスチック原料とバージンプラスチックについてお教えください。

坂東バージンプラスチックとは、新たに石油などの化石燃料から生産されるプラスチック原料のことを指します。バージンプラスチックは、再生プラスチックに比べて製造コストが高く、環境に対する負荷が大きくなる可能性があります。しかし、バージンプラスチックには高い品質や機能性があるため、一部の製品(例えば安全や医療に関わる分野など)には欠かせないものとなっています。

一方、再生プラスチック原料とは、廃棄物や使用済みプラスチック製品を再利用して製造されるプラスチック原料のことを指します。再生プラスチックは、地球上の廃棄物を削減し、循環型社会の実現に貢献することができます。また、再生プラスチックの使用によって、バージンプラスチックの生産を減らすことができ、石油資源の節約にもつながります。

最近では、環境問題の重要性が高まる中で、再生プラスチックの需要が増加しています。ただし、再生プラスチックはバージンプラスチックと比べて品質が劣る場合があるため、使用用途や品質要件に応じて使い分けることが求められます。また、再生プラスチックの製造においても、高品質で安定した原料供給や、製造プロセスの改善などが課題となっています。

今までは、バージン材が高いから安い再生材を作るという発想でしたが、この先は単純な価格比較ではなくなっていくと推測されます。

例えば、近年、エコ商品(環境配慮型商品)が一般的に使用されるようになりました。エコ商品はそれぞれ定められた基準があり、その基準を満たすエコ材を使わないとエコ商品として販売できません。官公庁への入札制限にも使用されており、政府が支援している背景もあることから、費用が高くついても再生材を必要とされる潮流があります。この流れが社会全体に広がってくると、再生材を求める企業も増えていくと思います。

藤巻消費者の捉え方が変わってきているのですね。
環境面を考えたときに、バージンプラスチックは再生プラスチックに置き換わるのでしょうか。

坂東バージンプラスチックから再生プラスチックに100%置き換わることはないでしょう。理由として、再生プラスチック100%の素材では、日本の厳しい基準を満たすことが難しいという側面があります。国の規制も含めてもっと整備が必要です。整備が進み、再生材の使用量が増えていくと環境負荷は軽減されていくと思います。

加えて、再生材は回収段階でのエネルギーが発生します。例えばペットボトルについても、分別して、ラベルをはがして、キャップを外して、中身を洗って...と。完全に100%リサイクルは不可能であり、幾分かの再生できないものが生まれてしまう。
廃棄するのではなく循環させることは良いことですが、課題もまだまだあります。

藤巻 桂太 タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部 チーフコンサルタント
藤巻 桂太
巻野エネルギーの消費も含めて、本当に環境にいい形を作っていく必要がありますね。
例えば、我々消費者の廃棄の方法も少し工夫するだけで、その後のリサイクル工程に係るエネルギーが削減されますね。大きなエネルギーをかけずともリサイクル可能な状態を作るために、出来ることから実践していく必要がありますね。

坂東そうですね。廃棄方法について教育も含め、意識の醸成が必要です。

藤巻そのほか課題はどのようなことが挙げられますか。

坂東分別・回収が大きな課題になりますね。

ポリプロピレン・ポリエチレン・ポリスチレンなどは、一般家庭での分別が難しいです。その上、工場では種類が格段に増えるため、種類ごとの分別が完璧になされないこともあります。加えて、簡単・安価なプラスチック製品は海外で製造されるようになり、日本国内で製造する製品は複雑なものが多いため、分別が大きな課題となっています。 また、回収に関しても軽くてかさばるものが多いため、運搬コストがかかります。

巻野循環型社会の仕組みづくりを整備する。そして廃棄するのではなく、資源にするために、全員で一緒に取り組んでいく必要がありますね。
社内でのSDGsに対する取り組みはどのようなことを実施されていますか。

坂東ダイバーシティに関するところが多いですね。
1. 退職された方の経験・能力・人脈などを活かすベテラン人材を雇用しています。
2. 正社員や業務委託など、働き方を選択できます。
3. 女性活躍の観点から、女性の経営幹部が活躍しています。
4. 年齢・職歴・国籍に関係なく同一労働同一賃金の達成に取り組んでおり、多国籍のメンバーが活躍しています。
5. 有給休暇・残業を1分単位で申請が可能です。
6. ハラスメントの早期発見・是正のための社内通報制度を整備しています。
7. 会社が負担して健康診断を実施しています。

日本では当たり前のことでも、世界で見ると当たり前じゃないこともあります。
労働環境、福利厚生などは日本企業の誇れるポイントになっています。

CO2削減に向けた取り組みも実施しています。
1. グループ企業を活かしたマテリアルリサイクルへの取り組み
2. トラック輸送のモーダルシフト
これは費用も安価になり、環境負荷の低減も出来て非常に取り入れやすいですね

藤巻今後の展望についてお聞かせください。

坂東脱プラといえども、この世からプラスチックがなくなることはありません。 そうなるとプラスチックのマテルリアルリサイクルも無くなることはありません。

企業においては、サプライチェーンの強靭化によって、マテリアルリサイクルの取り組みが活発になっています。循環型経済の構築に向けて、管理された再生材の価値はどんどん上がり、今後もマテリアルリサイクルは促進されていくでしょう。

私たちは国内での再生事業に加えて、海外との輸出入も行っておりますので、日本からの輸出だけでなく、海外でリサイクルされた原料を輸入することで、一定品質の再生材を安定的に供給し続けることができます。今後、サーキュラーエコノミーに基づくビジネスモデルが普及していく中でマテリアルリサイクルの仕組みの橋渡しのような存在になりたいと考えております。

プラスチックマテリアルリサイクル事業を通してサステナブルな社会の実現へ貢献

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