COLUMN

2024.02.09

住宅業界の未来を切り拓く中期経営計画策定ポイント

住宅業界の未来を切り拓く中期経営計画策定ポイント

住宅業界は絶えず変革の波にさらされています。新技術の導入や市場競争の激化、環境への配慮など、多くの要因が業界に影響を与えています。この予測が難しい状況の中で、企業は中期経営計画を策定し、将来に向けたビジョンを描く必要があります。

住宅業界の変革と中期経営計画の必要性

住宅業界の現状と課題

近年の住宅業界は複雑化しており、市場動向の急激な変動により柔軟なビジネスモデルの対応が必要とされています。特に建材価格の上昇やサプライチェーンの不確実性が収益性に影響を及ぼしています。また、職人不足とスキルの低下も業界全体で共通する問題ですが、これらの課題に対処するためには、リーダーシップの強化や新たなビジネスモデルの構築が必要です。それと同時に、社会的なニーズにより全ての企業が責任ある行動を求められています。再生可能エネルギーの活用や省エネを意識した住宅建築など、サステナビリティへの対応が不可欠とされています。これらの課題を中長期的に解決するために、中期経営計画を策定する企業が増加しています。

中期経営計画は、中長期的な視点で策定します。変化の激しい環境下で自社はどのように適応していけばよいのか、市場で勝つ条件とは何かを見出し、方向性を定めるものです。中期的な視点を持つことで、短期的な課題だけでなく、長期的な展望にも焦点を当てることができます。これにより、持続可能なビジネスモデルの構築や新たな市場の開拓など、将来の成長の基盤を築くことができます。中期経営計画は単なる計画書ではなく、組織全体の行動指針となり、変革を促進する役割を果たします。

住宅業界の変革と中期経営計画の必要性

住宅市場の最新トレンド

技術の進化と住宅業界の未来

住宅市場の最新トレンドを理解することは、事業競争力を維持する上で不可欠となります。コロナ禍では、リモートワークの普及から通勤の必要性が低下し、都心部ではなく郊外で広い家に住みたいというニーズが高まりました。注文住宅では、以前にも増して書斎の必要性が高まりました。さらには、自宅で過ごす時間が増えたことで、プライベートな空間を求める動きも強まっています。また、デジタル技術の進化により、生活の利便性やエネルギー効率を向上させる方向に市場が進んでいます。このように、住宅業界は技術の進化によって大きな変革を遂げています。AIを活用した設計や工程の最適化が進み、現場施工の生産性が向上しています。また、IoTの普及によりスマートホームが実現し、生活をより便利でエネルギー効率の高いものへと変革を起こしています。これらのテクノロジーを活用することで、今までにない付加価値を提供できるように発展しています。

中期経営計画の立案プロセス

ステークホルダーとの連携

住宅業界において中期経営計画を策定する際、自社独自の要因や課題に焦点を当てることが重要です。住宅需要の変動や建材価格の不安定性などの業界特有の要素を環境分析に取り入れ、SWOT分析を通じて自社の強みや弱みを具体的に明示します。中期的な目標設定では、住宅市場の将来予測や新たな住宅ニーズの調査を基に、自社のポジショニングや差別化戦略を検討します。この過程で、住宅のデジタル化やサステナビリティへの取り組みも具体的なプランに組み込む必要があります。
住宅業界では、顧客・施工業者・住設メーカー・地域社会など、多岐にわたるステークホルダーが存在します。ステークホルダーとの連携を強化するためには、住宅購入者や地元住民とのコミュニケーションを通じて期待や要望を把握し、それを中期経営計画に反映させることが重要です。また、サプライヤーと戦略的な協力関係を築くことで、中期的な目標達成に向けたリソースの最適化を図ります。住宅業界における中期経営計画を策定するうえでは、透明性のあるコミュニケーションとステークホルダー参加型のプロセスが重要となります。

住宅業界で中期経営計画を実行・推進する際に、業界特有の課題が存在します。例えば、建材価格の急激な変動による予算の制約や市場の需要変化へ柔軟に対応することが挙げられます。この際、リアルタイムな市場データのモニタリングや、建材調達の多様化などの対策が求められます。住設やプレカットなどを一社購買されている中小企業では、サプライヤーの見直しから入ることも優先順位の高い施策となります。また、事業面だけでなく、組織における課題も存在します。従業員とのコミュニケーションを強化し、変革への理解を促進するトレーニングや教育プログラムを行うことで、中期経営計画を正しく浸透させる必要があります。

中期経営計画の立案プロセス

未来の住宅業界の可能性

中期経営計画の柔軟性と適応性の重要性

住宅業界の未来予測では、中期経営計画の柔軟性と適応性が重要な要素です。市場が急激な変化を迎える中で、最新トレンドや新技術の導入へ迅速に適応することが求められます。柔軟性を高めるためには、アジャイルな計画の立案や組織文化の変革をどのように進めるかを示す必要があります。また、変化に対する組織全体の意識とリーダーシップの役割にも焦点を当てるべきです。今後、住宅業界では、異なる産業との連携や協業が重要となります。「建築×テクノロジー」の連携により、スマートホームの開発やデジタル技術の導入が促進されることも見込まれています。実際に、3Dプリンター住宅も普及が加速しています。また、エネルギー関連企業との協業により、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上が進むと予測されています。これらを達成するためには、未来を切り拓くための柔軟性と適応性を兼ね備えた中期経営計画が必要です。

前述の通り、住宅業界の未来は大きな可能性を秘めています。技術の進化や環境への意識の高まりは、住宅のデザイン・エネルギー効率・生活の質に関して、前例のない進化をもたらします。各社が中期経営計画を策定し、中長期的な視点で課題を解決し続け、新たな付加価値を発揮すれば、住宅業界はさらに発展します。皆様が中長期的な目線で計画を策定し、住宅業界の発展に貢献いただくことを願っています。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
チーフマネジャー

藤巻 桂太

大手ハウスメーカーと建築資材メーカーにて営業を経験後、当社へ入社。誠実・真摯であることをコンサルティング信条とし、中長期ビジョン構築支援コンサルティングをはじめ、営業会議の推進・技術伝承の実行推進支援など、幅広いコンサルティングに携わる。また、建築業界の経験を活かし、住まいと暮らし・ライフスタイルの優良企業のビジネスモデルに精通している。

藤巻 桂太

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