COLUMN

2025.02.25

中期経営計画で2025年にアップデートすべきこと

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中期経営計画で2025年にアップデートすべきこと

中期経営計画の重要性

企業経営のあり方と言っても、その内容は各社各様であろうが、その本質は共通しています。その中でも重要なことは「経営意識」と「管理意識」の違いです。その違いが明確でなければ、経営者がすべきこと、幹部がすべきこと、その他社員がすべきことが混同し、結果として組織経営は成り立たなくなります。経営者は「経営意識」、幹部社員は「管理意識」を確立する必要があります。組織経営の本質は「トップの基本路線に則って、組織力(チーム力)を発揮して企業業績をあげること」に尽きます。まずは「経営意識」について、整理すれば以下の3点です。

(1)トップの理念、ビジョンを提示し、浸透させること(企業目的の確立)
(2)企業を取り巻く環境変化の現在、未来予測を行い示すこと(変化対応)
(3)企業目的に応じた組織編成づくり(先に目的ありき)

加えて「管理意識」について、整理すれば以下の3点です。

(1)企業目的に応じて線路(業績ストーリー)を引くこと(ストーリーづくり)
(2)常に基本線路から脱線していないか、タイムリーに人・モノ・金・情報をチェックすること(日々のチェック体制)
(3)そして脱線していれば即、修正すること(タイムリーな対応
)

いずれにしても、「企業目的」があって「マネジメント」が存在するのです。先にマネジメントがあるのではありません。その意味でも「トップのビジョン・理念」が明確でない状況では「適正なマネジメント」は無し得ないものです。基本的な内容をないがしろにして応用力は育たないものです。まずは、自社を総点検して見ることをお勧めします。

上記の観点からしても、中期経営計画を策定することは、企業経営において極めて意義の大きいことであり、必要不可欠なのです。

中期経営計画の重要性

中期経営計画の見直しは必要だろうか

企業を取り巻く経営環境に大きな変化が無い状況においては、中期経営計画の見直しを行うことは、あまり一般的ではなく得策ではありません。
なぜなら、想定した未来の実行内容と実際に行ったことに乖離があることが要因で計画が達成できなかった、と判断するのが順当だと言えます。ただし、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナウィルス、ロシアの侵略戦争行為など、事前に想定することが難しい事象が発生したときは別です。

結論でいえば、企業を取り巻く経営環境が想定内の状況変化であれば、中期経営計画を固定方式に通し、打った手の良し悪しを判断し、軌道修正を行うのがセオリーです。ただし、過去の経験値を遥かに超える経営環境の変化があれば、中期経営計画を策定した前提条件を精査して、中期経営計画を見直すことが必要となります。加えて、企業を取り巻く経営環境の変化による悪影響をできる限り最小にする方法を検討実施すべきでしょう。

企業の属している業界によっては、変化を追い風に上方修正することも考えられます。例えば、新型コロナウィルスのようなパンデミックの長期化により、巣籠マーケットが発生することで、需要が急増したこともありました。いずれにしても、中期経営計画の固定方式を前提として、修正するのはイレギュラーと捉えるのが原則です。

中期経営計画の見直しは必要だろうか

2025年に向けてアップデートすべき項目とは

既存事業のマーケット状況を把握し、3年から5年先を見据えた予測を立てることは非常に重要です。「いつまでも安泰と思うな、自社のマーケットと存在意義」を考えるために、あるフィルムメーカーの事例を紹介します。

約10年前、書店で販売されているコミックはフィルムでラミネートされていました。これは立ち読み防止と劣化防止のためでしたが、書店の数と売り場面積が急激に減少し始めました。同時に、スマホやタブレットで電子書籍を読むことが一般化し、フィルムメーカーにとってマーケットが急速に縮小する状況が生まれました。
そこで、このメーカーは新たな市場として急成長が予想された通販業界へ進出しました。しかし、通販業界は先発企業が幅を利かせるレッドオーシャンでした。そこで、書店マーケットで培った技術を活かし、小スペースでも使える小型装置を開発。これは既存企業の大型装置とは異なり、小型で小スペースに対応する逆張りの戦略でした。その結果、12億円あった書店マーケットは三分の一に縮小するも、全社の売上高は約30億円に成長しました。

この事例から学ぶべきことは、経営環境の変化の著しい現在、既存マーケットを冷静に分析し、少なからず陰りが予想されるのであれば、自社なりのフロンティア戦略を構築して、新分野、新製品の事業計画を中期経営計画に織り込むことが重要ということです。なぜならば、中期経営計画は、成長戦略を描くのが基本であり、10%以上の高成長性と売上高経常利益率10%以上を達成することが目指すべき姿だからです。いずれにしても、企業を取り巻く経営環境の変化は常套であり、2025年に向けたフロンティア戦略がアップデートすべき項目と申し上げたいと思います。

2025年に向けてアップデートすべき項目とは

著者

タナベコンサルティング
ゼネラルパートナー 沖縄支社
副支社長

大嶺 正行

沖縄支社長、東北支社長を経て、コンサルティング・セミナー・各種講演の第一線でプレーイングマネジャーとして活躍している。成長戦略をベースとし、多種多様なビジネスモデルに精通し、各業界・領域を熟知。企業の課題に応じて最適なビジネスモデル改革を支援しクライアントから厚い信頼を得ている。

大嶺 正行

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