~教育改革が働き方改革を実現する~
人手不足の時代に高生産性を実現する
教育のあるべき姿について

事例 2025.04.22
HRDXマネジメントDX 人材育成生産性向上 イノベーション教育業務効率
~教育改革が働き方改革を実現する~人手不足の時代に高生産性を実現する教育のあるべき姿について

~教育改革が働き方改革を実現する~ 人手不足の時代に高生産性を実現する教育のあるべき姿について

POINT本事例のポイント
  1. 加速する人手不足と働き方改革&デジタル化推進の難航
  2. 行うべき教育施策について
  3. "教育改革"を通じ、改善を遂げた企業の事例

既に皆様もご存じの通り、企業を取り巻く外部環境は急速に・絶え間なく変化しており、「不安定で・予測不可能な・厳しい」経営環境に直面しています。この状況は設備工事業界(建設業界)においても同様であり、業界内における重点課題としては特に「(1)加速する人手不足(離職率増加&採用競争激化)、(2)働き方改革&デジタル化推進の難航」が挙げられます。業界全体の持続的な成長に対し大きな影響を及ぼすこれらの課題に関して、各社の状況に合わせ「どのように対峙し・いかに解決すべきであるか」を明確にし、早急に対策を講じることが不可欠です。
これらの潮流を踏まえ、今後の設備工事業において必要とされるポイントについてご説明すると共に、直面する重点課題に対する改善施策の1つとして成功している"教育改革"の事例をご紹介させていただきます。

1. 外部環境の潮流とその対策について

(1)加速する人手不足(離職率増加&採用競争激化)

日本全体での少子高齢化(生産年齢人口の減少)が進む中、設備工事業界も例外ではありません。熟練工の高齢化が進む一方で、新たな人材の確保が難しくなっており、特に、若年層の労働力が不足しているのが実情です。この人手不足は、工事の遅延や品質の低下を招く要因となり、企業の競争力を損なう危険性をはらんでいます。
また、人手不足の影響を受け、採用活動も厳しさを増しています。特に、若年層の採用が難航していることから、企業は「いかに若手から選ばれるか」、すなわち若手社員にとってより魅力的な職場環境を提供する必要があります。近年の若年層の就職先志望動機を見たところ「より優れた成長環境」を求める声が多いことから、魅力的な職場環境とは、ハード面(設備や立地、インテリアなど)も重要ですが、ソフト面(各種制度や福利厚生)、そして特に教育や研修制度の充実が不可欠であることが伺えます。
つまり、加速する人手不足という課題に対応するためには、「①生産性の向上(=若手社員の早期育成環境の整備)、②定着率&採用数の増加(=社員に選ばれる企業になるための各種制度の見直し)」が重要であり、①②いずれにおいても「教育体系(育成環境)の最適化」が欠かせないことがわかります。

25卒 内定者意識調査

ALL DIFFERENT株式会社 ラーニング総合研究所作成「25卒 内定者意識調査」より

(2)働き方改革&デジタル化推進の難航

働き方改革は、労働環境の改善を目指すものであり、社員の定着・確保はもちろんのこと、業界の生産性向上にも寄与します。実際、柔軟な働き方の実践(フレックスタイム制度やテレワークの導入)は、従業員のワークライフバランスを向上させ、結果として業務の効率化を促進することが調査結果などでも明らかにされています。しかし、これらの新しい働き方に適応するためには、従業員の意識改革やスキルの向上、制度やルールなどの仕組みづくりが不可欠であり、制度だけを導入しても「勤務時間は短くなるが成果が伴っていないため、業績・成果が悪化してしまう(もしくは、それを避けるために特定の誰かにそのしわ寄せがいく)」という悪しき結果を招いてしまうリスクもあります。2025年問題に直面し、働き方改革に着手せざるを得ない環境となったため、これまでとは異なる働き方を実践する企業も増えていますが、場当たり的な対策では「真の働き方改革」を行うことはできず、その成果も十分に期待することはできません。
また、働き方改革に寄与する分野の1つにデジタル化の推進も上げられますが、部分的な業務効率化を実現する「ツール・システム導入」にとどまっており、抜本的な改革には繋げることができていない企業が多い傾向にあります。そもそも、デジタル化には3つの種類(デジタイゼーション・デジタライゼーション・デジタルトランスフォーメーション)がありますが、その目的と意味があやふやなまま、ツール・システムありきで「デジタル推進をしているように見える」状況も見受けられます。

以下の①~④のステップに準じてデジタル化を進めることが全社最適なデジタル化推進であり、抜本的な働き方改革へと繋がっていきます。
①DXビジョンの設計(=ゴール地点の策定):わが社はデジタル化の推進により何を実現するのかを明確にし、
②DXビジョンに基づき、わが社の現状の課題と、目指す姿のギャップを明確にし、
③優先順位を定めた上で段階的にデジタル化を推進(=あるべき姿に近づき)していく
④デジタル化の推進と合わせて、推進できるDX人材を絶えず輩出する仕組みを作る

ここでの注意点は、すべてをデジタル化することが正しいというわけではないということです。
DXビジョン(ゴールの設計)に基づき、現状認識&優先順位を定めた結果、デジタル・アナログどちらで行うことが最も成果が得られるかを整理した上で対応することが重要です。

2.教育改革なくして生産性向上なし~行うべき教育施策について~

直面する課題に対応すべく、根本的な課題解決に向け"学び方を変革する"

前述の通り、直面する重点課題「①加速する人手不足」「②働き方改革&デジタル化推進の難航」の解決に向けてカギとなるのは、「生産性の向上、若手社員の早期育成、採用強化に向け選ばれた職場づくり、ビジョンに基づくDX推進とDX人材育成」となりますが、いずれにおいても欠かせないのが教育改革、すなわち"教育体系の最適化"です。

これまで会社を支えてきた熟練工の方々が培ったノウハウを次の世代に「教え、継承」しなければ生産性の向上および若手社員の早期育成を図ることはできず、採用強化に向けても「成長できる環境づくり」を行わなければ持続的に選ばれる企業になることはできません。また、教育においても従来通りの教育をただ踏襲するのではなく、最先端の技術も活用しつつ「いかに効率的に・効果的に育成する」ことができるか、すなわち教育改革の実践が肝になります。

教育改革なくして生産性向上なし~行うべき教育施策について~

3.事例:K社/教育改革を起点として「人材の早期育成・安定確保・定着率向上+生産性向上」を実現

直面する課題に対し、真因の解決に向け"教育改革"を通じ、改善を遂げた企業の事例をご紹介します。

建設業界に従事するK社では、業界の特性上「人手不足(離職率の増加と採用数の減少)」の課題に直面していましたが、改善に向けた施策を講じることができないまま、じりじりと成長鈍化・業績悪化の危機に直面していました。 同社は経営陣はじめ各セグメントの幹部陣とも協議を重ねた結果、人手不足の真因として主に以下の2点に帰結しました。

①離職率の増加:"背中を見て学べ"の文化が強すぎる
働き方改革が進み作業時間が短縮する中で現場教育メインの現状では十分なスキルアップを図れないまま作業に従事。その結果、ミスも増加し、働きがい・働きやすさは低下し、離職の道をたどってしまうため、抜本的な教育改革が不可欠と判断

②採用数の減少:社員から選ばれる環境が整備できていない
上記①に記載の通り、社員が会社を選ぶ際には「働きがい、働きやすさ」が重要であり、そして「働きがい・働きやすさ」を醸成するのは「できることが増えること=教育環境の充実度と効果性」であるため、教育環境の整備こそが根本的な課題の解決になると判断

これらをもとに取り組んだことは以下の①~④になります。
①人事戦略・人財ビジョンの策定:どのような人財を求めるのか「あるべき姿と人事戦略(方向性)」を策定
②各階層・役職・部門ごとの評価制度&スキルマップの再整備:求めるスキル(基準)を明確化
③スキルマップに基づく教育コンテンツの作成:リアル(集合型研修やロールプレイング)とデジタル(動画コンテンツやオンラインディスカッションなど)の軸で最適なコンテンツを設計し随時現場へ導入
④現場での運用開始&ブランディングの実施:現場で運用する中で"教育体系のブラッシュアップ"を図り、わが社オリジナルの教育環境を整備。また、運用と合わせて社内外へのブランディングを図ることで、定着率の向上と採用強化施策として活用

このようにして、業界で直面する重点課題に対し、時間をかけながらも"学び方改革"を通じて根本的な改善を図ったことで、現在は地域でも採用ランキングトップクラス・業績も増収増益を達成するリードカンパニーへと発展を遂げることができました。

4.まとめ

前述の通り、設備工事業界においては人手不足やDX推進、働き方改革、採用の難航といった重要課題に直面していますが、解決に向けた重点施策の1つとして、教育施策の充実が挙げられます。現場の担当者任せで解決できるテーマの重量ではなく、経営課題として捉え全社としての方針に基づき推進していくことが不可欠です。
今回ご紹介したポイントおよび事例を参考に、ぜひ自社にとって最適な"学び方改革"を行い、直面する課題に対応いただければと思います。

AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
チーフマネジャー
國末 悠太

「いかなる時もクライアントと共に」をモットーに、クライアントに寄り添ったコンサルティングを展開。「戦略構築(川上)×マーケティングDX(川中・川下)」を得意としており、体系的な経営支援を実施。クライアントの成長をサポートすることが地域社会に貢献するという考えのもと、使命感を持って活動中。

國末 悠太
COMPANY会社情報
業種
建設業
売上高
100~300億円
従業員数
500~1000名
データ利活用ナレッジ

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