成功事例から学ぶ!営業効率化の効果的な手法とは
~見込み顧客獲得における営業効率化~

コラム 2023.09.26
データ活用
成功事例から学ぶ!営業効率化の効果的な手法とは~見込み顧客獲得における営業効率化~
目次

営業の活動は企業にとって収益基盤を築く上での非常に重要な活動であり、企業にとって欠かせない役割を担っています。
営業効率化とは企業において営業活動にかかる時間や、工程のロスを削減して効率化させることを指します。営業活動を効率化させることにより、商談やアプローチにかける時間を増やし、売上や利益の向上へ結びつけることができます。
本稿では営業活動の効率化について成功事例を交えながら手法やポイントを解説していきます。

営業の効率化が注目される背景

①人手不足

少子高齢化によって労働力人口が減り続けることは、企業にとって避けては通れない問題となっています。
株式会社帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)」(注1)によると、正社員の人手不足と感じている企業の割合は51.4%となっており、コロナ禍以降においても高い水準となっております。
さらに、人件費増加などコスト負担の上昇を引き起こし、企業業績への悪影響も懸念されます。今後も人手不足の問題が劇的に改善されるとは考えにくいため、企業は限られた経営資源の中で効率的に業務を進めなければ生き残れなくなります。特に営業活動においては売上に直結するため、限られた人員で効率化する事が非常に重要です。
注1) https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230502.html

②購買行動の変化

従来までの営業活動は、顧客が営業担当者と接点を持ち、興味を持ったうえで情報収集、商品の選定、比較、購入するプロセスをたどってから、購買するかどうかを判断していました。このような営業プロセスの過程では、見込み顧客発掘・獲得からアプローチの段階で、ターゲットリスト作成や電話・メール、アポイントなど手間と時間のかかる業務が発生してします。
しかし、デジタル化が進んだことにより、Web上で多くの情報収集が可能になった事で、顧客は営業と接点を持つ前に購買行動プロセスを進める事ができるようになりました。購入先の候補がある程度決まったうえで営業と接点を持ち、比較・購入する行動へと変化したのです。
この変化により、Web上に十分な情報がなければ問い合わせすら発生しない状況になり、今後ビジネスを続けていくにはWeb上に製品やサービスの情報を掲載し、問い合わせをしてもらい、営業をスタートさせる「インバウンド型」の営業スタイルが求められてきます。
デジタルを活用する事で今までの属人的な対面営業から解放され、効率的に営業活動を進めていく事ができます。デジタル化に取り組んでいる企業と、まだ何も手を付けていない企業とでは、成長スピードの差はこれからさらに広がっていくでしょう。

営業効率化のためのプロセス

営業効率化するためにはデマンドジェネレーションの考え方(図1)を理解して実践すると効果的です。デマンドジェネレーションとは見込客リストを「資産」と捉え、その創出・ 活用を行うビジネスプロセスとしての考え方であり、集客から営業にトスアップをして案件を生み出すまでの活動全般を指します。デマンドジェネレーションを構築することで、機会損失を防ぎ、営業効率を上げ売上の最大化を目指すことができるようになります。では各フェーズの概要と具体的な手法を見ていきましょう。

デマンドジェネレーションの考え方
図1 タナベコンサルティングにて作成

①リードジェネレーション

リードとは見込み客の事を指し、リードジェネレーションとは将来の顧客となるうるリードを獲得するための取り組みの事です。自社の製品やサービスを認知していない、もしくは関心の低い顧客の興味を惹き、企業の情報や連絡先などを得る事がリード獲得です。
従来の営業活動では展示会やイベントに出展し、来場者から名刺やアンケート記入などの形でリード情報を集めていましたが、デジタルを活用する事でより効率的にリードの獲得をする事ができます。

②リードナーチャリング

ナーチャリングとは育成という意味を持ち、獲得したリードの購買意欲を高めて見込み客から顧客へと育成をするフェーズになります。Web広告などを通じて獲得したリードの多くは、自社のサービスを知ったばかりなので、営業活動をしてもすぐに受注に繋がるわけではありません。ターゲット顧客の購買意欲を醸成するために適切なアプローチを実施してくことがポイントです。

③リードクオリフィケーション

育成したリードから購入の可能性が高いリードを選別する活動の事です。リードクオリフィケーションでは、ナーチャリングで購買意欲が醸成された状態の、いわゆる「ホットリード」を見極めることが目的となります。購入可能性の高い見込み顧客が選別して、営業効率化をはかり売上最大化を目指すのがこのフェーズです。

④リサイクル

リードクオリフィケーションで選別されたリードから営業がアプローチをしますが、全て受注になるわけではありません。受注に繋がらなかったリードをナーチャリングのフェーズに戻して、再度アプローチする仕組みを構築するのがリサイクルフェーズです。

営業効率化を進める具体策

①Web広告運用

インターネット上で広告を出稿して、自社のWebサイトやランディングページなどに誘導し、リードを獲得する方法です。予算に応じた展開が可能になるため、予算をかければ多くのリードを獲得できる即効性があります。
Yahoo! JAPANやGoogleなどの大手ポータルサイトのバナー広告、SNS広告やリスティング広告など種類があるため、自社のサービスに合う広告への出稿がポイントです。また、広告は費用をかけ続けなければいけない点は注意が必要です。

②Webコンテンツ

自社のWebサイトにコラムなどのコンテンツを掲載し、ユーザーを誘導してリードを獲得する方法です。想定する顧客と製品を関連付けたコンテンツを作成して興味を持ってもらい、そこから問い合わせフォームや資料請求ページなどに誘導して情報を集めていきます。
一度制作をすれば自社のサイトなので、半永久的に見込み客を獲得し続けることができます。しかし即効性は低く、ある程度の量のコンテンツが必要なので、定期的に更新していかなければいけません。また、SEO対策なども必要なので、成果として現れるまでじっくり取り組む事が重要です。

③メール配信

メールは一度に多くのリードへアプローチできる点が特徴です。また、運用するコストが低く、メールの文面を作成するだけで、実施できるため導入ハードルが低い点も魅力のひとつです。
メルマガであれば獲得したリードに対して定期的に配信することで、つながりを持ち続ける事でき、顧客との信頼関係の構築が可能になります。ポイントは製品やサービスを一方的に売り込むだけの配信にしない事です。業界の最新情報など顧客にとって役に立つコンテンツに組み込むことが重要です。
また、リードの興味・関心度、検討度に応じて段階的に配信するステップメールも可能です。あらかじめ複数のメールを準備して、スケジュールに沿って順次配信する仕組みなので、一斉配信のメルマガと異なり、ターゲティングされたリードにアプローチする事が可能になります。

④ウェビナー

ウェビナーとは、ウェブとセミナーを掛け合わせた造語の事で、ZoomやMicrosoft Teamsなどのツールを活用してオンライン上で行われるセミナーを開催する事です。
リード集客のためにウェビナーの活用もできますが、見込み客の商品やサービスへの理解を深めるためにウェビナーを活用すると、より効果的です。メールと同様、低コストで始めやすく、昨今のテレワーク普及において顧客も参加しやすくなっているのが特徴です。
内容としては商品やサービスを使用する事での成功事例やメリットの紹介、他社との差別化されているポイントなどを提供する事が可能です。チャット機能を使えば顧客との双方向のコミュニケーションも可能になります。また、録画したものを編集してアーカイブとして残しておくことで、リード獲得用のコンテンツとして蓄積する事も可能です。
例えば、先ほどのメール配信と掛け合わせて、直近で自社サイトの製品紹介や事例などのコンテンツを閲覧した見込み顧客に、商品説明や事例紹介などのウェビナーに誘導する事も可能です。

⑤スコアリング

スコアリングとは、リードのアクションや属性、興味、関心などに点数を付与していく施策になります。このスコアが高いほど、購買意欲が高いと判断され、一定の基準を満たしたリードを定期的に抽出し、営業に引き渡すというのが基本的な流れです。
アクションのスコアリングの例として、「メールを開封したら1点」「資料請求をしたら3点」「ウェビナーに参加したら5点」のようにアクションごとに点数をつけます。また、属性のスコアリングの例として「職位が部長以上なら10点」、「売上高が10億円以上なら20点」などで点数をつけて、ターゲットの属性から近いかを判断します。
スコアリングの点数の考え方として、見込み客が自社を認知してから受注に至るまでの一連の行動を正しく理解する事が重要です。どの行動を取ったら購買意欲が上がったと判断できるのかを正しく分析してスコアリングを見極め、一定のスコアに達したリードを営業にトスアップしていきます。

⑥MAツールの活用

MAはマーケティングオートメーションの略で、リードの行動や情報などを管理し、営業活動に活かすための自動化・効率化できるツールです。
前述のとおりデマンドジェネレーションを構築して実践することで、営業活動を効率化させて売上アップにつなげる事ができますが、リードの管理やナーチャリング施策の実施、スコアリングの管理といった作業をすべて人の手で行うと大変な工数がかかり、逆に非効率になってしまいます。MAツールを活用すれば、ナーチャリング施策やスコアリングを自動化することが可能で、手動よりもずっと少ない工数で運用ができます。
例えば、どの資料をダウンロードしたのか、メルマガはどのくらい開封されたのかなど、リードの行動を可視化する事ができるので、どのくらい購買意欲があるのかを管理する事ができます。また、リードの関心や購買意欲に合わせたコンテンツの自動配信をする事が可能になるので、ナーチャリング施策を実行しやすくなります。その他にもスコアリング機能や広告運用の効果測定などの機能も搭載されているので、デマンドジェネレーションにおける各フェーズの効率的な実践を支援するツールとして活用できます。

営業効率化を実現した企業事例

海運会社のA社の取り組み事例を紹介します。新規顧客の獲得は既存顧客からの紹介もしくは従来の訪問での見込み客発掘になっており、Webを活用できておらず、非効率な営業活動を行っている状態でした。当時のWebサイトは、会社案内・サービスリーフレットの内容をそのまま反映しただけで顧客視点の内容では無かったことから、Webサイトからの問い合わせ・見積り依頼は、月に数件程度で少ないとき時には0件の時もあったと言います。A社は全社戦略の中で、デジタル化推進の一環でWebサイトリニューアルを決断しました。その際にマーケティング機能を実装し、Webマーケティング強化したことで、営業効率をアップさせました。
プロジェクトチームを発足させて、Webマーケティング体制を構築しました。今までは取り組んでいなかったWeb広告やSEO対策をした事で、リードを増やしていく事に着手しました。そして、集めたリードを育成するためにコンテンツを構築していきました。ポイントとしては、顧客視点・顧客の課題軸で、見込み顧客の知りたい情報をコンテンツ化した点になります。例えば、物流業界で度々話題になる「物流の2024年問題」を切り口にダウンロード資料やコラムの作成、「リードタイムの短縮」や「物流の効率化」など見込み顧客である荷主の持つ課題や興味関心をテーマ別にコンテンツを配置した事で、Webサイト経由の問い合わせ・見積り依頼は、月間30~40件獲得するようになり、受注成約も月間1~3件獲得できるようになりました。

Webサイトを構築するだけの施策のデジタル化でとどまらずに、事業戦略を遂行するための手段としてデジタルを活用する事で、今までの属人的な営業活動から脱却して、営業効率化を成功させていきましょう。

AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
コンサルタント
八木 孝憲

理美容器具や化粧品メーカーの営業を経て、当社に入社。前職での経験を活かし、デジタルを活用したBtoB営業の売り上げ拡大や企業のブランディング戦略に業種・業界問わず携わっている。クライアントに最適なソリューションを提供すべく伴走型のコンサルティングスタイルを信条としている。

八木 孝憲
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