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2025.03.21

海外進出における基本的なステップとは?
~日本企業の海外進出:成功への道筋と戦略的アプローチ~

目次

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海外進出における基本的なステップとは?~日本企業の海外進出:成功への道筋と戦略的アプローチ~

はじめに

グローバル化が加速する今日の経済環境において、日本企業の海外進出は、グローバル化が進む現代のビジネス環境において重要な戦略となっています。本記事では、海外進出の重要性から具体的なステップ、そして今後の展望までを詳しく解説します。

海外進出の重要性と市場の可能性

グローバル化が加速する現代のビジネス環境において、日本企業の海外進出は単なる選択肢ではなく、持続的成長のための必須戦略となっています。国内市場の成熟化と人口減少に直面する日本企業にとって、海外市場は新たな成長エンジンとなる可能性を秘めています。

特に、東南アジアやアフリカなどの新興国では、人口増加と経済発展が著しく、購買力の高い中間層が拡大しています。例えば、インドネシアでは2025年までに中間層が1億人を超えると予測されており、消費市場としての魅力が高まっています。また、ベトナムのIT産業は年率10%以上で成長しており、日本のテクノロジー企業にとって有望な進出先となっています。

海外進出のメリット、およびデメリット

メリット

(1)市場拡大

新興国を中心に、巨大な潜在顧客層にアクセスできます。例えば、インドの人口は14億人を超え、その巨大市場は日本企業に無限の可能性を提供しています。

(2)コスト最適化

生産拠点を労働コストの低い国に移転することで、競争力を高められます。例えば、ベトナムの製造業における平均賃金は日本の約1/10であり、大幅なコスト削減が可能です。

(3)イノベーション促進

異文化環境での事業展開は、新たな発想や技術革新を生み出す触媒となります。例えば、インドでの携帯電話決済システムの普及は、日本企業のフィンテック戦略に新たな視点をもたらしています。

(4)リスク分散

地理的に分散した事業展開は、自然災害や政治リスクの影響を軽減します。2011年の東日本大震災後、多くの日本企業がサプライチェーンの多様化を進めたことは好例です。

(5)人材獲得

グローバル人材の確保により、組織の多様性と創造性が向上します。シンガポールやインドのIT人材を採用することで、デジタル変革を加速させている日本企業も増えています。

デメリット

(1)文化的障壁

言語や商習慣の違いが、ビジネス展開の障害となる可能性があります。例えば、中東諸国での商談では、関係構築に多くの時間を要することがあります。

(2)法規制の複雑さ

進出国特有の法律や規制への対応が必要です。インドネシアの外資規制や中国のデータセキュリティ法など、各国の法制度を十分に理解する必要があります。

(3)政治的リスク

突然の政策変更や政治不安が事業に影響を与える可能性があります。例えば、2021年のミャンマーでのクーデターは、現地進出企業に大きな影響を与えました。

(4)為替リスク

通貨変動が収益に大きく影響する可能性があります。2015年の中国人民元切り下げは、多くの日本企業の業績に影響を与えました。

(5)競争激化

現地企業や他の多国籍企業との競争が激しくなる可能性があります。例えば、東南アジアのeコマース市場では、地場企業と欧米企業が激しい競争を繰り広げています。

海外進出のメリット、およびデメリット

海外進出の基本的なステップ

(1)市場調査と戦略立案

進出候補国の経済指標、人口動態、競合状況を徹底的に分析します。
SWOT分析を用いて自社の強みと市場機会を明確化し、海外進出戦略を策定します。
例:日本のお菓子メーカーが東南アジア進出を検討する際、各国の食文化や流通チャネルを詳細に調査し、適切な商品開発と販売戦略を立案します。

(2)現地パートナーの選定

信頼できる現地パートナーを見つけることが成功の鍵となります。
デューデリジェンスを通じて、パートナー候補の財務状況や評判を慎重に確認します。
例:日本の自動車部品メーカーがインドに進出する際、現地の大手自動車メーカーとの合弁会社設立を通じて、市場参入のスピードを加速させました。

(3)法人設立と許認可取得

進出形態(支店、子会社、合弁会社など)を決定し、必要な手続きを行います。
業種別の許認可や登録手続きを確実に実施します。
例:シンガポールでは、オンラインでの法人設立が可能であり、最短1日で完了する場合もあります。一方、インドネシアでは複数の許認可が必要で、数ヶ月を要することがあります。

(4)人材採用と育成

現地の労働法を遵守しつつ、優秀な人材を確保します。
日本本社と現地法人間の円滑なコミュニケーションを促進するための研修プログラムを実施します。
例:ベトナムに進出した日本のIT企業が、現地の大学と提携し、インターンシッププログラムを通じて優秀な人材を早期に確保する取り組みを行っています。

(5)オペレーション構築

現地の商習慣に適応しつつ、日本品質を維持するためのプロセスを確立します。
ITシステムの導入やデジタル化を通じて、効率的な業務運営を実現します。
例:タイに進出した日本の製造業が、IoTを活用した生産管理システムを導入し、生産性向上と品質管理の強化を実現しました。

(6)マーケティングと販売戦略の実行

現地消費者の嗜好や行動パターンを分析し、適切なマーケティング戦略を立案します。
デジタルマーケティングを活用し、効率的な顧客獲得を図ります。
例:インドネシアに進出した日本の化粧品ブランドが、現地のインフルエンサーを活用したSNSマーケティングを展開し、若年層の認知度向上に成功しました。

海外進出の基本的なステップ

海外進出における今後の展望

(1)デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速

コロナ禍を契機に、オンラインビジネスモデルの重要性が一層高まっており、AIやIoTなどの先端技術を活用した新サービスの開発が進むことが予想されます。
例:日本の小売企業が東南アジアでオムニチャネル戦略を展開し、実店舗とeコマースの融合を図っています。

(2)サステナビリティへの取り組み強化

環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮が、グローバルビジネスの必須要件となっています。そのため、再生可能エネルギーの活用や循環型ビジネスモデルの構築が進むことが予想されます。
例:日本の自動車メーカーが東南アジアで電気自動車の生産・販売を強化し、現地政府のグリーン政策に貢献しています。

(3)新興国市場でのイノベーション

「リバース・イノベーション」の概念が注目され、新興国発の革新的製品やサービスが増加することが予測されます。また、進出国現地のニーズに合わせた「フルーガル・イノベーション」も重要になります。
例:インドで開発された低価格の携帯型心電計が、グローバル市場で注目を集めています。

(4)地政学リスクへの対応

米中対立などの地政学的緊張が続く中、リスク分散型の事業展開が求められます。また、サプライチェーンの多様化や、地域別の独立した事業運営体制の構築が進んでいくと予想されます。
例:電子部品メーカーが中国依存からの脱却を図り、ベトナムやインドに生産拠点を分散させています。

(5)オープンイノベーションの促進

スタートアップとの協業や、異業種間の連携が活発化しており、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じた投資も増加すると予想されます。
例:日本の大手金融機関がシンガポールのフィンテックスタートアップに出資し、新サービス開発を加速させています。

海外進出における今後の展望

まとめ

海外進出は、日本企業にとって大きな成長機会を提供する一方で、多くの課題も存在します。成功の鍵は、以下の点にあります。

(1)徹底した海外市場調査と戦略立案

進出先の市場特性や競合状況を詳細に分析し、自社の強みを活かせる戦略を立案することが重要です。

(2)現地化とグローバル標準の両立

現地のニーズに合わせた製品・サービスの開発と、グローバルな品質基準の維持を両立させることが求められます。

(3)人材育成とダイバーシティの推進

現地人材の登用と育成、そしてグローバル人材の確保を通じて、多様性のある組織づくりを進めることが重要です。

(4)テクノロジーの積極活用

デジタル技術を活用し、業務効率化とイノベーション創出を図ることが競争力の維持に不可欠です。

(5)リスク管理の徹底

政治・経済・自然災害などのリスクを常に把握し、適切な対応策を準備することが重要です。

(6)長期的視点の保持

短期的な利益追求ではなく、持続可能な成長を目指す長期的な視点が求められます。

海外進出は確かに多くの課題を伴いますが、適切な準備と戦略、そして柔軟な対応力があれば、大きな成功につながる可能性があります。日本企業の皆様には、グローバル市場での成長機会を積極的に探求し、世界に向けて日本の優れた技術やサービスを展開していくことを期待しています。
グローバル化が進む現代において、海外進出は日本企業の成長と競争力維持のための重要な戦略です。綿密な準備と現地への適応、そして長期的視点を持って取り組むことで、新たな成功の扉を開くことができるでしょう。

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グローウィン・パートナーズ株式会社は、コーポレート機能の変革を通じて企業のイノベーションを創造する「経営参謀のプロフェッショナルチーム」です。大手監査法人出身の公認会計士、大手コンサルティングファーム出身者、上場企業の財務経理経験者など、多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルが、上場企業を中心とした1,000社以上のバックオフィス支援や、700件以上のM&A案件を手掛けて参りました。戦略の実行・実現から日々のオペレーションまで、企業の経営課題(マネジメントテーマ)を解決するために、徹底したクライアント視点と真のプロフェッショナリズムの両輪で、クライアントを成長(Growth)と成功(Win)に導きます。

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