COLUMN

2024.02.02

経営戦略一覧!事例をまとめてご紹介

経営戦略一覧!事例をまとめてご紹介

経営戦略の考え方の重要性を説明し、経営戦略を3M(マネジメント、マネー、マン)の観点で徹底して取り組まれている企業の事例紹介・成功のポイントを解説します。

経営戦略とは?

フレームワークを交え、解説します。

まず初めに、企業経営のフレームワークとして「1T4M」の考え方を紹介します。
1T4Mとは、1T(キーテクノロジー・固有技術)と4M(マーケット・マネジメント・マネー・マン)の4つの観点で企業経営を整理するフレームワークであり、1T(固有技術)と1M(マーケット)で事業、それを3M(マネジメント・マネー・マン)の経営機能で支えるという考え方です。【図1】
1T×1Mで事業戦略("勝てる場の発見")、3Mの観点で企業のバランスの取れた成長発展のための、事業存続・利益保証条件の整備を経営戦略("勝てる条件づくり") と言います。昨今、世の中の流れ急激に変化し、将来を予測する事が難しくなっております。
自社が置かれているこのような外部競争環境の中、自社の経営資源を選択・集中・分配しながら成長を図っていく経営戦略の策定がとても重要となります。

【図1】株式会社タナベコンサルティング作成

【図1】株式会社タナベコンサルティング作成
http://www.bb-town.jp/c-report/20200916.pdf

事例企業1:株式会社KEYENCE

製造業には珍しい、ファブレス企業としての"勝てる条件づくり"とは?

1社目は、KEYENCEという企業です。センサ、測定器、画像処理機器、制御・計測機器、研究・開発用 解析機器、ビジネス情報機器を取り扱っておられます。1974年に創業し、直近期では連結ベースで売上高9224億、経常利益5128憶(2023年3月期)10,000名を超える従業員を有している超高収益・急成長企業です。
同社は、製造業には珍しいファブレス(自社工場を持たない)体制を取っており、自社開発・マーケティング・グローバルセールス(販売、サービス体制)に特化したビジネスモデルです。

同社の"勝てる条件づくり"について解説いたします。

1.マネー:自社製造拠点を持たないファブレス体制により、製造工程においてかかる固定費(工場、製造設備費用等)をかけない事で、大幅なコスト削減を可能にし、利益率向上に寄与しております。

2.マネジメント:グローバルダイレクトセールス(商品別事業部制による専門チームによる現場課題解決型コンサルティング営業、きめ細やかで迅速なフォロー)また営業から出た課題を自社開発、マーケティングの情報共有のシステム一元化を図り、常にお客様のニーズに応じた商品開発を、タイムリーに実現できているため、他社では作れない唯一無二の製品を作り続けています。

3.マン:常に、年収ランキングでは上位に名を連ねている通り、人材に対しての投資を積極的に行っており、人材を資本として考えておられます。人材育成に関する基本方針に、"積極的に「仕事を任せる」"とあるように、育成の観点で特徴的な制度を2つご紹介します。

(1)MDP(Management Development Program)
一定期間プロジェクトの責任者としての業務を任せ、次期リーダーを養成する研修制度で、対象者本人の成長のみならず、リーダー層の厚みをつけ、組織を活性化させる効果を発揮します。
(2)CDP(Career Development Program)
所属籍はそのまま、一定期間他のセクションに移って業務を経験できる制度で、専門外の多様な仕事を体験する機会を作ることで、視野が広がり、新たな能力開発促進にも繋がります。

製造業には珍しい、ファブレス企業としての

事例企業2:キュービーネットホールディングス株式会社

理美容業界にイノベーションをもたらしたQBグループの"勝てる条件づくり"とは?

2社目は、「10分1000円カット」で有名になったQBハウス(グループ)です。1996年の1号店出店以来、2023年6月末時点で国内に575店、海外に126店舗、年間1,700万人以上が利用する理美容業界の大手チェーンです。
「LESS IS MORE」という価値観を大切にし、時間・資源・手間を徹底的に「省く」事を自社の戦略として推進されている企業です。
短時間・低価格、かつ高回転率で売上を上げ、フランチャイズ体制を敷き、国内外に店舗展開しているモデル企業です。最近では実店舗さながらの装備を施した"サロンカー"で介護施設や病院に訪問し、ヘアカット・シャンプー・カラー・パーマなどのサービスを提供する「総合理美容サロン」として事業を展開し、成長を続けております。

同社の"勝てる条件づくり"について解説いたします。

1.マネー:従来の理容室・美容室からカット以外の要素(シャンプー・トリートメント・パーマ材等)を徹底的に排除し原価(仕入れ)のコストダウンを実施しました。また、提供サービスがカットに特化しているため、1日のヘアカットを行うお客様の平均人数は、一般的な理美容室8名に対し、当社は30名と一人当たり回転率が高いため、低単価でも売上を上げられるビジネスモデルになっています。

2.マネジメント:各店舗で売上目標を達成させるために、カットブースごとにターミナルという機械を設置し利用することで、カット時間を自動計算をし、従業員のパフォーマンスを計測しています。データを集積し、10分でのカットという目標に届かない従業員に対して、定期的なフィードバックを行うことで従業員の技術・サービス品質を均質化することに成功しています。

3.マン:当社では、理美容学生やヘアカット入客の経験がない方、ブランクのある方を、アシスタントとしてではなく、「ロジスカット研修生」として正社員採用しています。入社後は、店舗でのアシスタント業務を一切せずに、6か月間は全ての就業時間を研修だけに専念してもらい、朝から晩まで 1 日中みっちりヘアカットを学ぶことで、7ヶ月目にはヘアカットスタイリストとして店舗へ配属されます。給与を支給しながら、無料研修を行うことで、結果として人材の早期成長が図れています。これが、当社が展開する理美容業界の常識を覆す独自の研修制度です。

経営戦略の策定における重要なポイントを、成功事例交えて紹介しました。
成功事例から言える、企業経営における経営戦略策定のポイントは、「他社がこう取り組んでいるから、自社も同じように取り組もう」ではなく、時には業界の常識を覆すような、当社独自の経営戦略を策定する事です。
もし経営戦略の策定でお困りであれば、企業経営を成功させるために、自社の経営資源をどのように活用していくべきかを、ぜひ3M(マネー・マネジメント・マン)の観点で棚卸いただく事をお勧めいたします。

理美容業界にイノベーションをもたらしたQBグループの

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング
コンサルタント

丹波 翔太

丹波 翔太

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