CASE

A社 情報通信業

急変する外部環境に適応すべく、わが社の新たな方向性を策定

新型コロナウイルス感染症の流行やロシアによるウクライナ侵攻、加速する国内少子高齢化など、企業を取り巻く外部環境は急速に変化しており、未曽有の事態となっていることは明らかです。「企業は環境適応業」ーすなわち、急速に変化する外部環境に順応し企業もアップデートしていくことが求められる中で、A社では「将来の目指すべき・あるべき姿」を策定した上で、そのマイルストーンとして直近3カ年の中期経営計画を策定しました。

クライアント企業(A社)の概要と課題

地方自治体向けソフトウェアの販売およびシステム開発・導入支援・保守サービス

自治体情報システム標準化への急速対応とリソース不足問題に直面

A社は地方自治体向けのソフトウェア販売およびシステムの開発から導入、保守メンテナンスサービスまでを手掛ける情報通信業を行っている会社であり、地域ではトップシェアを誇るファーストコールカンパニーです。

そんな当社を取り巻く外部環境の変化の中でも特に影響が大きかったのは自治体情報システム標準化への対応と、減少していくIT人材(リソース不足)問題です。

まず、1つ目の自治体情報システム標準化への対応についてですが、現在総務省・デジタル庁などが中心となって「デジタル社会に必要な共通機能の整備・普及」という政策を進めています。これは、「誰一人取り残されないデジタル社会」の実現のために推進されている取り組みです。
これまでのシステムは各地方公共団体で個別にカスタマイズ・活用されていましたが、そのような状況の中で生じた新型コロナウイルス感染症への対応で様々な課題が明らかになりました。
具体的には、国や地方公共団体の基幹業務システムがバラバラで十分に連携体制が取れていない、マイナンバーなどのデジタル基盤に関する制度や手続きの管掌が複数の省庁に分散しているなどが挙げられます。
こうした事態を受けて、総務省・デジタル庁では、自治体情報システム標準化実現の時間的なゴールを設定した上でその要件や法律の整備を行っており、掲げる「デジタル・ガバメント実行計画」では、2025年度中に約1,700の地方公共団体すべてがシステム移行を完了することを義務づけています。
2025年度までという短期間の中でA社は情報システムの標準化対応を迫られる状況となり、ここで対応しきれないと競合他社にクライアントを取られてしまうリスクが生じていました。

2つ目の減少していくIT人材(リソース不足)の問題についてですが、AIやIoTのほか、インターネットを介したサービスの拡大に伴い、IT業界の市場は急成長を遂げています。その提供されるサービスに比例して、必要とされるエンジニアも多くなり、人材不足が加速しています。
当社も同様で、顧客からのDXニーズはあるもののIT人材の不足が理由で既存社員への負荷が大きくなっていたり、機会損失に繋がってしまったりと頭を抱える問題でした。

このような経営環境の中で、環境変化に対応しつつ持続的な成長を遂げるためには、中長期的なあるべき姿とアクションプランを定める必要があるとの判断で今回の中期経営計画の策定に至りました。

コンサルタントの知見を活かした客観的・論理的な現状分析を実施

インタビュー・データ分析を通じ、課題と戦略の方向性を洗い出し

まずはA社の役員・部門責任者・担当者へのヒアリング、A社蓄積データ分析により内部現状を定性的・定量的に把握し、加えてA社を取り巻く外部環境を分析も含めた上で自社の抱える課題を洗い出しました。
そこから、次期経営幹部を担うメンバーを中心にプロジェクトを発足し、自社のマーケット・ビジネスモデル・ポジショニングを分析した上で、わが社の提供すべき価値と実現すべきビジネスモデル、戦略の方向性を検討していきました。

現状認識におけるポイントは、真の事実を正しく押さえる事です。
「自社の主力商品が提供する価値は何なのか、真の顧客は誰なのか、人づくりの原点は何か、地域社会に対する責任は何なのか、創業(伝統の精神は何なのか)」という押さえるべき事実のポイントを明確化し、役員を含めたプロジェクトメンバーを中心として整理を行いました。社員の方々へのヒアリングやデータ分析に加え、時間をかけて自社の基盤となる原点について掘り下げることで方向性にずれがないよう現状分析を行ったことが重要なポイントです。

中期経営計画を策定する際のフローとポイント

VUCAの時代、長期的なビジョンからバックキャストで計画策定

前述の現状認識に基づき、まず初めに自社の長期的なあるべき姿を策定しました。VUCAの時代、外部環境の変化が急速である環境下では短期・中期的なビジョン・計画は当てにならないケースが多いためです。
長期的なビジョン策定にいたっても、現状認識で実施したのと同様、自社の創業の精神・経営理念を軸としてミッションを再定義し、会社としての方向性を誤らないように丁寧に策定を行いました。そして、長期ビジョンを定めた上で、3年後のビジョン(定性・定量)を定め、中期経営計画、そしてアクションプランの作成を進めていきました。

具体的な流れとしては、まず初めに3年後の定性的・定量的なビジョンを達成するためにはどのようなビジネスモデルを描くべきか、すなわち「ナンバーワンブランドモデル」を確立するためには何が必要かを検討しました。アンゾフのマトリクスに沿って「既存の顧客に対する価値提供」と「新たな市場・顧客に対する価値提供」は何になるかを明確にし、目指すべきビジネスモデルと事業ポートフォリオを設計しました。
そしてそこから、戦略の数値基準(財務諸表で見た時に各項目の数字をどれくらい改善していくか)を定め、高収益を実現するビジネスモデルに向けて必要な環境整備の項目の洗い出しを行っていきました。
ここでのポイントは正しく優先順位付けを行い、スケジュール感を明確にすることです。整備に向け必要な項目・具体的な施策を棚卸した後に、あれもこれもいきなりは着手できませんし、計画的に進めなければ中途半端な改善活動で終了してしまいます。
A社では改善すべき項目を明確にしたのち、「すぐに着手すること」「1年以内に着手すること」「3~5年以内に着手すること」という3つの項目で分類を行い改善を進めていくとともに、定期的な活動の振り返りと実行スケジュールの再確認・調整を行うことで柔軟な改善活動を進めています。

プロジェクト型で中期経営計画を策定することのメリット

今回のA社では現状認識→長期ビジョン策定→中期経営計画とアクションプランの策定という流れで進めてきましたが、いずれも役員~次世代の経営幹部候補まで階層をまたがったプロジェクト型で進めていきました。これまでは役員陣のみで検討しトップダウン型で中期経営計画の策定を行っていたため、分析・計画内容のマンネリ化が生じたり、現場への浸透度合い・社員の意識が高まらないという課題もありました。
トップダウン型で計画・アクションプランを「共有する」だけではなく、今回のような形で中期経営計画・アクションプランの策定を行うことで、プロジェクトに参加したメンバーはもちろん、現場におけるメンバーについても当事者意識が高まり経営計画に沿った改善活動に対しての熱量も上がっています。
これは計画・アクションプランの完成という成果の他に、企業としてPDCAを回すことが出来る「自立自走できる組織」という組織の成長にも繋げることができます。

会社プロフィール

A社 情報通信業

売上高 100億~300億
従業員数 約500名

コンサルタント紹介

山本 剛史
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部山本 剛史
村上 幸一
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部村上 幸一
高島 健二
タナベコンサルティング
上席執行役員
九州本部長高島 健二
土井 大輔
タナベコンサルティング
執行役員
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部土井 大輔

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タナベコンサルティンググループは
「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
志を掲げた1957年の創業以来、
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、
17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。

企業を救い、元気にする。
私たちが皆さまに提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

コンサルティング実績

創業66
200業種
17,000社以上