CASE

住吉工業株式会社

長期ビジョン実現に向け、
グループシナジーを発揮する中期経営計画の策定

地域の安心・安全な社会基盤の整備に貢献する住吉グループ。
2030年のあるべき姿として社長が描く長期ビジョンの実現に向けて、グループ4社がシナジーを発揮するための中期経営計画をバックキャスティング思考で策定しました。

住吉グループの概要と2030未来ビジョン

地域の街づくりをワンストップで支える住吉グループの目指す未来像

住吉グループは山口県下関市を本拠地とし、土木・建築・砕石から輸送・リサイクル・エネルギー・不動産まで、街づくりに関する様々な事業を展開する4社のグループ企業です。
創業から60年以上「安全と品質」を企業経営の絶対の使命(ミッション)とし、地域の安心・安全な社会基盤の整備に貢献してこられました。県内でも随一の実績・工事量、建設重機・建設資格保有者を誇ります。

現社長は2016年に父親である現会長からグループ経営のかじ取りを任され、社長に就任されました。その後、これまで培った経験と技術、柔軟な発想とネットワークを駆使し、2030年に実現したいグループの姿を長期ビジョンとして掲げられました。
そこには、

●未来を創っていく子供たちのための「美しい街づくり」をワンストップで支える
●自然災害への対策や環境負荷軽減を担い、安心・安全な街づくりに貢献する
●地域ナンバーワン企業から全国の地域発展に貢献する企業へと進化・成長する

という社長の強い思いと意志がまとめられており、年度方針発表会や、創業記念式典、新入社員の入社時といった節目節目で、社長自らグループの全社員に伝えられていました。

長期ビジョンを実現するためのプロセス
「3年×3つの中期ビジョン」

バックキャスティングで明確化した事業構造と組織・経営システムにおける課題

2020年を迎え、社長は10年後の長期ビジョンを実現するためのプロセスを、3年×3つの中期ビジョンで整理した「ロードマップ2030」を策定し、社員に発信されました。
そこにはグループのバリューチェーン全体の価値を最大化するための投資やM&A、デジタル化推進の方向性が示されていましたが、コロナショック、生産年齢人口の減少による人手不足・技術者不足といったVUCA時代(変動性・不確実性・複雑性・曖昧さ)の中で、グループ各社の役員や幹部の一部からは実現不安視する声が聞かれました。

そこでタナベコンサルティングは、長期ビジョン実現に向けた中期ビジョンを具体的な「中期経営計画」として策定することを提案し、支援させていただきました。
まず、タナベコンサルティングメンバーによるグループ4社の事業構造分析と組織・経営システム分析を実施しました。そこから見えた主な課題点は以下の通りです。

1.事業構造分析

(1)過去4年間の実績を分析した結果、主力事業である土木事業は再生可能エネルギー関連の大型工事受注により大きく業績を伸ばしていたが、その他事業は概ね横ばいと業績が伸び悩んでいる。

(2)会社単位で営業活動やマネジメントを行っているため、グループ企業間のシナジーを発揮し「街づくりに貢献する」というビジョン実現に向けた営業戦略の策定や計画受注ができていない。

(3)重点戦略である①新規エリア開拓、②土地開発・街づくり、③新規事業開発・M&Aの実現に向けた計画が具体性に欠ける。

2.組織・経営システム分析

(1)現役員・経営幹部は会長を支えた50代・60代の社員が中心で、次世代の役員・経営幹部候補は現場でのプレイヤー業務が多く、そのマインドセットの変革や育成が遅れている。

(2)中堅・若手社員の離職が続いており、社員の高齢化・採用コストの増加・技術承継の遅れが懸念される。

(3)グループ全体のビジョンマネジメント機能・ガバナンス機能・未来創造機能が未整備である。

中期3年間の事業戦略の明確化
事業ドメインの再設定と事業ポートフォリオの組み換え

未来創造機能「経営企画室」の新設によるビジョンマネジメントの推進

事業構造上の課題解決に向け、まず事業ドメインを再設定しました。これまではグループ会社単位で方針や計画を作成していたため、事業ポートフォリオを組み換え、その実現に向けた事業ドメイン別の戦略と数値計画・アクションプランを策定しました。

次にグループのビジョンや中期経営計画の進捗管理や計画受注の判断、新たな事業開発を行う未来創造機能として社長直轄の部署「経営企画室」を新設しました。次代経営幹部候補から担当者を選定し、以下の機能を今後整備する計画で推進しています。

1.ビジョンマネジメント機能

経営陣に対する経営実績資料の提供や、長期ビジョン・中期経営計画の策定時における事務局的な役割、営業戦略の構築、計画や予算の進捗状況の確認・判断

2.社内改革機能

業務プロセスの変更や組織変革・再編など、全社的な改革における中心的な推進機能

3.ブランディング機能

企業ブランドを発信する「アウターブランディング」と、社内における「インナーブランディング」、ステークホルダーへの情報発信機能

4.IT戦略機能

情報系システムを活用した戦略的機能を発揮する。具体的には、顧客情報の管理と社内情報ネットワークの構築、Web を活用したマーケティング、顧客とのコミュニケーションネットワークの構築など

5.事業開発機能

長期ビジョン実現に向け、多くのソリューションを創出し、それを多角化していくことでワンストップソリューションモデルを実現するために、事業開発を専任で行うインキュベート機能

6.M&A機能

成長投資としてのM&Aを推進する際の情報収集や、クローズドで進める交渉、デューデリジェンス(経営状況・財務状況調査)による判断提供など

組織・人材戦略の明確化
事業ポートフォリオを実現する人材ポートフォリオの策定

「組織活性化プロジェクト」による採用・育成・評価の仕組みづくり

組織・経営システムの課題解決に向けては、まず事業ポートフォリオを実現するために、どのようなスキルや能力を保有する人材がどの程度必要なのかを「人材ポートフォリオ」として整理し、以下の取り組みを行いました。

1.長期ビジョンと事業戦略を実現する組織設計

10年後の組織図と人材カレンダーを作成しました。組織の役割・権限の明確化と人材の最適配置に向けた計画を作成し推進しています。

2.会議体系の再設計と決裁権限基準の明確化

中期経営計画を実現するために必要な会議の不足や重複がないか検討し、会議体系を再設計しました。また円滑でスピーディーな意思決定ができるよう、決裁権限基準を明確化しました。

3.人材ビジョンの明確化と人事制度・採用戦略の再構築

長期ビジョンを実現するグループ社員のあるべき姿を「人材ビジョン」として明確化しました。現在はその実現に向けて、新人事制度設計、採用戦略・人材育成の見直し、女性活躍推進といった取り組みを推進しています。

このように、住吉グループでは社長が描く長期ビジョンの実現に向け、バックキャスティングで具体的な中期経営計画を策定されました。社員の方々も目指す姿と自身のやるべきことが明確になり、一体感を醸成することができたと言えます。

会社プロフィール

住吉工業株式会社

[ 所在地 ]
山口県

所在地 山口県
設立 1956年10月13日
代表者 代表取締役社長 中村 成志
売上規模 130億円(グループ計)
従業員数 220名(グループ計)

コンサルタント紹介

山本 剛史
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部山本 剛史
村上 幸一
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部村上 幸一
高島 健二
タナベコンサルティング
上席執行役員
九州本部長高島 健二
土井 大輔
タナベコンサルティング
執行役員
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部土井 大輔

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ABOUT

タナベコンサルティンググループは
「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
志を掲げた1957年の創業以来、
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、
17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。

企業を救い、元気にする。
私たちが皆さまに提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

コンサルティング実績

創業66
200業種
17,000社以上
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