CASE
事例
塩谷建設株式会社
経営のバックボーンの確立と実行
塩谷建設株式会社様は富山県で建築・土木、不動産・住宅、コケ緑化、ウォータージェットという 4つの中核事業をベースに総合建築業として発展されてこられました。今では、富山県のみならず、東京、新潟、長野に支店を置き、全国に信用を築く、富山県のリーディングカンパニーの一つです。
四半期レビューの実装
同社は1954年の創業以来、数多くの施工実績と高い品質により、長きにわたり顧客の信用を得てこられ、安定した業績基盤を築いてこられました。
また、それを支えてきた現場の施工管理能力も非常に高いものを持っております。しかしながら、自ら計画を練る力は弱く、年間の目標はあるものの「どうやって目標を達成していくのか」を組み立てられず、「一年間頑張った結果、こうなりました」という結果管理の繰り返しでした。
そこで、建築部や土木部、営業部、ウォータージェット部、総務部等、全部門長を対象に年間計画を立案し、四半期ごとに、成果、反省、次四半期の対策をチェックする「四半期レビュー」を実装しました。
実装に当たり、まず着手したのがフォームの作成です。拘ったのが誰にもわかりやすく、どの部署も共通で使えるシンプルなフォームです。
年一回の目標立案は重点目標、目標達成の施策、具体策、というロジックが組みやすい3階層にしました。
四半期のレビューの際には結果、反省、対策という普遍的なもののみにしています。
このフォームに関しては四半期のレビューを行って6年目に入りますが、開始時から変えておりません。施策がうまくいかないことをフォームのせいにし、毎年フォームを改良し、浸透しない計画書をよく目にしますが、多少不完全でもフォームを変えないことにより、昨年の反省がダイレクトに生かされ、"中身"が成長していきます。
四半期のレビューも6年目を迎え、リーダーが大きく成長しています。
やり始めのころは具体策も具体的でなく"心がける""気を付ける"等"気持ち"で何とかしようという目標が散見されていました。
初期の四半期のレビューでの役員の仕事は部門長の"気持ち"を汲み取り、どう具体策に落とし込むかというものでした。数年かけどの部署も具体策を"数字"で表すことができるようになり、目標まで論理的に組み立てられるようになりました。
また、役員とのやり取りを通じて価値判断基準の統一もはかれました。
価値判断基準の統一により当初は3日間かけて行っていた四半期のレビューも今では1日にまとめて実施しています。また、最近では全社を上げて資格取得が推進されたり、内部管理部門では率先してRPA(ソフトウエア型ロボット)を導入し、健康経営の推進にも動き出したりと、社内のリーダーシップが生まれています。
我が社らしい経営理念と社員に届く行動指針の立案
四半期のレビューも定着してきたころ、更なる事業展開や塩谷社長の思いである「建築業だけど建築業らしくない」を体現するために、新たな経営理念の必要性がありました。
"顧客についての想い""社員についての想い""地域社会に対する思い"を3つの軸に社長の想いを整理し、
塩谷建設らしい建設業に縛られない「未来の元気を創造する」という経営理念が誕生しました。
また、新しくできた経営理念のもと、社員にも具体的でわかりやすい行動指針の策定を、次世代幹部と行いました。経営理念策定の際に出た重要キーワードを元に、我々はどのような行動を取ることで「未来の元気を創造」できるのかに拘り、6つの行動指針を策定しました。
1.人として正しい判断をします
2.唯一無二の価値に挑み続けます
3.当事者意識を持ち迅速に行動します
4.常にコスト意識を持ちます
5.提案を持って批判します
6.感謝と笑顔を忘れません
部門の夢を叶える中期経営計画 REBORN200
経営理念、行動指針の策定後すぐに中期経営計画の策定に取り掛かりました。
毎年3年で数字のみの計画だったものを、今回は6年分定性的な目標も踏まえ策定しました。
まず、重要なのが6年後のあるべき姿です。塩谷社長と役員陣とのディスカッションを通じ
1.富山県で頭一つ抜けている存在になる
2.優秀な学生が入りたくなるような魅力的な会社になる
3.優秀人材が内製化されている
4.売上高200億円
5.建設業の概念を壊し、"元気"を造る会社にする
このように、全体の方向性が決まりました。
その後各部門ごとの中期経営計画の策定になるのですが、今回ここで最も大切にしたのは「社員の夢」でした。
上記5つの達成の過程で社員の夢の実現をしたいと考え、部門中期経営計画策定の際には自由に"自部門の夢"を描いてもらいました。
建築事業部は「AIを活用した現場管理と業務体制」、土木事業部は「国益を担うような大型物件の受注」、ウォータージェット事業部は「ハンドガンのはつり技能で日本一」、総務部は「RPA活用による業務の効率化」、営業部は「未開発営業エリアへの進出」、グループ企業の塩谷商事は「新規事業2件の立ち上げ」、大成ハウジング加越は「オーナー満足度北陸No1」などわかりやすく魅力的な夢がそろいました。
その夢を6年でどう実現するかバックキャストで1年ごとの計画を立案しました。
そのことにより行動指針の1つに掲げる「当事者意識」を体現し、自分で描いた夢を自らの手で達成していくプロセスが完成しました。
また、中期経営計画は「時計の針を過去に戻すのではなく、未来に向かって新たな歴史を創り出していく」という意味を込め、「REBORN200」としました。
創業100周年に向けて
こうして経営理念、行動指針、中期経営計画、年度計画立案、四半期のレビューと、ぶれないバックボーンシステムが確立されました。この社員の夢とPDCAを回すシステムの確立により、現在はREBORN200の達成に一歩ずつ確実に近づいています。
また、現在今から約30年後の創業100年に向けて、20代を中心とした超長期ビジョンの策定を計画しております。
これは社長の「今の20代が30年後の塩谷建設の中心となっている。そのメンバーが目指したい会社を作っていきたい」という思いから、計画されています。
さらなる成長発展だけでなく、無限に広がる社員の夢と唯一無二の企業価値の実現、それにより創造される未来の元気に大きな期待を寄せざる得ません。
会社プロフィール
塩谷建設株式会社
[ 所在地 ]
富山県高岡市石瀬6-1
所在地 | 富山県高岡市石瀬6-1 |
---|---|
設立 | 1954年9月29日 |
代表者 | 代表取締役社長 塩谷 洋平 |
売上規模 | 88億3,235万円(2021年3月) |
従業員数 | 191名 |
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- タナベコンサルティング
執行役員
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