CASE

キンキ道路株式会社

安定した事業基盤をコアに
更なる成長を目指した事業の多角化10年ビジョン

大阪に本社を構えるキンキ道路。同社は橋梁施工をコア事業とする建設会社です。
同社は大手顧客との安定した受注があり、安定した業績基盤を持っております。顧客におけるインストアシェアも高く、高い技術と信用で長年事業展開を行ってこられました。会社の未来図に関して社長の頭の中には有りましたが、明文化はされておらず、良い会社を創るために、組織共通の方向性を示す長期ビジョン構築を実施しました。

2030を目指した10年構想

未来像の共有化による事業推進力強化

同社は、高い施工品質により、顧客信用度も高く、安定した業績基盤を構築できておりました。一方、これまでの安定した事業展開に加えて、更なる成長を目指す上では、これまでとは異なる新たな戦略判断を加えた成長シナリオを画策していくことが必要でした。

長期ビジョンを構築する上で重要な要素の一つは、時間軸で将来図を描くことであります。つまり、ある時点における会社のあるべき姿を明確に描くということです。外部環境は不確実性が高く、その時点で描く将来象は変動することは確かです。一方、長期ビジョン構築の最大のメリットはトップ、会社が目指す方向性を明確にし、社員と共有することで事業推進力を高めることにあります。

同社の場合、"10年後"をキーワードに、10年後にどのようなミッションを軸に事業ポートフォリオを実現していくのかを描くことがポイントでした。社長の頭の中にはイメージがありましたが、明文化されていない状況であったため、ゴールと方向性を描くことが重要なポイントとなりました。
同社の場合は、10年間のプロセスを3年×3ステージで描くことで、社長が考える成長の方向性の解像度が高くなったこと、現時点でのギャップも明確になり、役員を含めた深い成長シナリオを描くことが出来ました。

新たな事業ポートフォリオの設計

従来の建設業モデルからの脱皮

"安定的な成長"から"戦略的な成長"へ、更なる成長(顧客提供価値の最大化)を目指すために、積極的な事業展開を2つの軸で構想しました。

1つ目は既存のコア技術をベースとした事業構想、2つ目は新たな価値創造構想です。2つ目の新たな価値創造構想が同社のこれまでの"安定的な成長"から"戦略的な成長"の位置づけになります。

新たな価値創造構想とは、環境・人(現場・社員)の困りごとを解決するというミッションを軸にした事業構想です。
これまでの施工管理を中心とした事業展開から施工管理をする"環境や人材"に対していかにソリューションを提供していくか、を事業ミッションにした事業構想でした。周知の通り、建設業界では少子高齢化を背景に技術者不足が深刻化しており、また、2024年には働き方カイカク法案が施行される状況です。また、社会的には環境問題や社会問題に感度が高くなっており、ESGやSDGsへの注目度が高い状況でした。
その中で、同社は自社の環境や人の改善だけでは無く、ステークホルダーへ価値を波及させることを事業構想として掲げました。
この事業構想のポイントは、ミッション性の高さにあります。会社として今後10年で何を成し遂げたいか、存在意義は何かを何度も検討しました。市場トレンドだけで事業判断をすると、推進ハードルが高くなりがちです。組織のミッションコミットメントを上げないと、事業は推進されません。そう言った意味でも、度重なるディスカッションが重要でありました。

事業ポートフォリオの実現に向けた策定プロセス

組織のミッションコミットメントを上げる

新たな事業領域への展開を構想する中で、タナベコンサルティングが重要視したことは事業構想案に対する"実現可能性"だけの評価では無く、提供価値へのコミットメントの高さです。組織のリーダーが、心の底から実現したいと思えるかどうかです。これは、企業や事業におけるミッションと同義と言えます。
VUCA時代(変動性・不確実性・複雑性・曖昧さ)の中で、事業を推進するためには確実性の高いビジネスモデルや事業構想よりミッションコミットメントに対する情熱が重要と言えます。ミッションはVUCA時代の中での方針であり、価値判断基準になります。
同社の場合、建設業という業態からイノベーティブな事業カイカクを目指していることを考えると、ミッションへの高いコミットメントが必要でした。(実現可能性を全く評価しない訳では無く、何を中心に未来を語るかが重要)
同社の場合は、取締役A氏が"製造+施工"モデルを実現していくことに非常に高い情熱を持っていました。
既存顧客のメンテナンス人員の減少、ある部品の生産事業者の減少、その事による保守メンテナンスの持続性が失われることが将来的に課題になるというインサイトを仮説立てしました。長期ビジョンの策定後に、実際に顧客から課題提案に対する感謝をいただいており、事業開発に向けて情熱的に推進しています。

将来のことは誰にも分かりませんが、身近な環境のことは良く分かります。また社内のリソースや資源は、社内だけでは見えない・評価できない点も多々あります。タナベコンサルティングと一緒にディスカッションを重ね丁寧に自社のリソース・資源を整理していき、新たな事業ポートフォリオを描くことが出来ました。

事業ポートフォリオの実現

M&Aとアライアンスという戦略オプション

同社のもう一つの挑戦は、M&Aという選択肢を構想に入れることでした。
外部環境の変化が激しい中、自社内のリソースだけでの実行推進をイメージすると、外部環境の変化スピードと自社の推進スピードの乖離が頭をよぎります。そこで、M&Aをうまく活用することも長期ビジョン構築において、重要な1つの選択肢です。

M&Aという選択肢を視野に入れ事業構想を進めることで、実現性をより解像度高くイメージできます。

ビジョン構築とM&Aを同時に検討するメリットは2つあります。
1つ目は、将来の事業ポートフォリオの実現に対して、不足を補うイメージができる。
2つ目は、企業の全体戦略の中でM&Aを検討するため、買収後の大きなミスマッチを軽減できる。

タナベコンサルティングのM&A専門部門の担当者から実際の譲渡希望企業の状況をビジョン構築時にお見せしながら進めてまいりました。その際に、具体的な企業イメージが持て、事業ポートフォリオの実現をイメージすることができました。

会社プロフィール

キンキ道路株式会社

[ 所在地 ]
大阪市北区南森町2丁目4番5号

所在地 大阪市北区南森町2丁目4番5号
設立 1967年7月4日
代表者 甲藤 聖二
売上高 40億円(2021年3月)
従業員数 82人(2021年9月)

コンサルタント紹介

山本 剛史
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部山本 剛史
村上 幸一
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部村上 幸一
高島 健二
タナベコンサルティング
上席執行役員
九州本部長高島 健二
土井 大輔
タナベコンサルティング
執行役員
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部土井 大輔

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「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
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