CASE

髙橋金属株式会社

次世代の経営ビジョンを描く

髙橋金属様は岐阜県にある創業100年を超える商社です。最大の特徴は鉄と非鉄という似て非なる商材を取り扱う企業であることでした。これまでは非鉄を社長、鉄を専務がマネジメントする形にて経営を進められていらっしゃいましたが、今回専務への事業承継を踏まえ、両事業をどの様に伸ばし、ヒト・モノ・カネの再分配をするべきか次世代の経営ビジョンを描くタイミングを迎えていました。

経営を体系的に学び、次世代の経営人材を"10人"育成する

事前調査により、議題を絞ったディスカッションで推進

今回の長期ビジョン構築は専務を中心に鉄・非鉄の2部門に総務を加えた10人を選定致しました。年代も広く30代~50代まで幅広い形にて組むことで次世代の経営人材を育成することも狙いの一つでした。一方でメンバーの大半が"経営戦略"を体系的に学んだ事が無い状態からスタートすることになるため、一度タナベコンサルティングにて2ヶ月の調査期間を取り、議論の的を絞って考えていただく運びとしました。

髙橋金属様と相談の上、具体的にタナベコンサルティングが調査したのは下記の通りです。

1.顧客分析
2.外部環境分析
3.内部環境分析
4.財務分析
5.DX分析

その中でも、特に注力したのは顧客分析でした。タナベコンサルティングではよく顧客調査として*サーベイを行うことが多いのですが、鉄・非鉄における新たな課題を引き出すため、顧客への直接のインタビューを行い、顧客のみではなく仕入れ先も合わせてインタビューを実施致しました。インタビューを通じて業界の課題をまとめ上げ、予め考えていただく課題を決めたことでメンバーも大きな迷い無く中期経営計画の検討をはじめることが出来ました。その後はプロジェクトリーダーである専務と各回毎に細かく打ち合わせの時間をいただくことで、髙橋金属様に合った中期経営計画の策定を進めることができました。

また、顧客・仕入先へのインタビューを通じて両事業とも成熟企業であると判断したことから、中期経営計画を作成すると共に新規事業検討を行う事を事前に意思決定できたことも本プロジェクトの成功要因です。新規事業検討はこれまでのBtoB事業だけでなくBtoC向けのEC事業の構想など、従来の枠に囚われない大きな発想で考える訓練にもなったと考えています。

*サーベイ・・・ブランディングサーベイや人事サーベイ等、特定テーマにおけるアンケートを実施し、その結果を分析すること

鉄と非鉄の両事業を双方が理解・共有し、中期ビジョンを打ち出す

両事業の経営計画を細かく共有

髙橋金属様とプロジェクトを進める中で、特に心掛けていたのは、鉄・非鉄に分けて中期経営計画を作りながらも、事業計画、組織計画、財務計画とフェーズ毎に細かく共有をし、相互理解を深めることでした。例えば、*SWOT分析を行う際、自社の強み・弱みを書き出すのですが、互いの事業部共通の強みもあれば、お互いが知らない課題もありました。相互の質疑の時間も取り入れたことで少しずつではありますが、経営における両事業の距離が縮まったと考えています。

お互いを知る時間をしっかり取ったことで、鉄・非鉄それぞれではなく、"高橋金属として"の中期経営計画をつくることができました。中期経営計画の締めくくりでは、両事業のビジョンを踏まえ、全社戦略を議論し打ち出すことができました。

*SWOT分析・・・SWOT分析は、自社の事業の状況等を、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの項目で整理して、分析する方法

プロジェクト型の中期経営計画遂行

リーダー一人一人が責任を持った推進

中期経営計画では、最終的に鉄事業のプロジェクト・非鉄事業のプロジェクトに加え、両事業横断のプロジェクトの3種類のプロジェクトがそれぞれ5つ程度の計17個のプロジェクトが立ち上がり推進を始めました。

プロジェクトのイメージとして少し中身を紹介させていただきますと、鉄事業での工場設備の改善PJや非鉄事業でのミドルオフィス構築PJ等、各事業の業務に密接した内容をプロジェクトとしています。また、全社横断のものでは、新規事業に関わるプロジェクトやDXプロジェクト。更には、カーボンニュートラルへの取り組み等先進的なものもありました。

それぞれのプロジェクトに責任者を明確に決めており、スタート時は各責任者が詳細計画を立て、役員会にて一人一人が目標と期間を宣言し擦り合わせした上でプロジェクトを開始致しました。

また、スタート後のプロジェクト推進方法で拘った点はクラウド共有サービス(BOX)を活用し、常に会議の議事録や作成されている資料を役員・タナベコンサルティングにオープンにすることで動きがリアルタイムで追える環境を作ったことです。リアルタイムで資料が見ることができると、必要な資料や事例をご提供でき、行き詰った際にサポートやアドバイスも可能になります。

現在もオープンな環境の中で、リーダー一人一人が責任を持ってプロジェクトを推進いただくことで、中期経営計画の力強い推進が出来ています。

四半期ごとの定期発表による、スピード感を持って成果を出す環境づくり

プロジェクトを臨機応変に変化させる

髙橋金属様では、上記のプロジェクト推進方法に加え、四半期毎の中期経営計画発表会を仕組みとして取り入れています。方法は各回様々であり、役員向けの個別報告会形式にて厳しく言及するケースもあれば、お互いの進捗発表を各プロジェクトリーダーが聞くディスカッション形式等、進捗に応じてスタイルを変えています。

いずれも、プロジェクトリーダーが当日までにこれまでの資料をまとめ上げ、成果を発表していただくため、四半期毎に成果を出す習慣が根付いていきます。特に髙橋金属様では、期限に対して厳格な風土が根付いており、プロジェクトリーダーが責任をもって仕上げてくる姿が印象的です。

また、中期経営計画は外部環境や実際のトライアルを行うと予定と違ったということが多々あります。これはどれだけ厳密に作成してもやはり起きてしまうことであり、特に変化の早い時代の今、外部環境の変化は必ず置きます。しかし、その際にも中期経営計画があることで、骨子に沿って柔軟な対応が出来るのです。

髙橋金属様では、プロジェクトの統合や分解、名前の変更を四半期の発表を聞きながら柔軟に行っていただきました。進捗が悪いものや予定と違ったものはスケジュールを巻きなおしたり、場合によっては廃止することもあります。反対に早期に習慣化したことからプロジェクトを前倒しで達成とすることもあります。この柔軟な対応が出来る事も髙橋金属様の強みだと考えます。

以上、中期経営計画の策定~PDCAによる推進についてお話させていただきましたが、髙橋金属様の素晴らしい点はやはり一人一人の責任を持った推進にあると考えます。定性面の推進だけでなく、中期経営計画の1年目は計画数値を達成し、定量面でも着実に推進しております。そして何よりも、中期経営計画を通じてプロジェクトを担える次世代の経営人材を多く育成できたことが、一番の成果ではないかと考えております。

会社プロフィール

髙橋金属株式会社

[ 所在地 ]
岐阜県岐阜市柳津町流通センター1-12-4

所在地 岐阜県岐阜市柳津町流通センター1-12-4
設立 昭和27年
代表者 代表取締役 高橋伸治
売上高 82億円(2021年6月)
従業員数 63人(2021年9月)

コンサルタント紹介

山本 剛史
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部山本 剛史
村上 幸一
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部村上 幸一
高島 健二
タナベコンサルティング
上席執行役員
九州本部長高島 健二
土井 大輔
タナベコンサルティング
執行役員
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部土井 大輔

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タナベコンサルティンググループは
「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
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66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、
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コンサルティング実績

創業66
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