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2025.12.25

パーパスとは?経営理念との違いや活用方法を徹底解説

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パーパスとは?経営理念との違いや活用方法を徹底解説

パーパスは、企業の貢献価値・存在理由を明確にする重要な概念です。経営理念やミッション、ビジョンといった他の要素と連携させることで、企業の方向性に一貫性を持たせることができます。また、パーパスを経営戦略に組み込むことで、社会的課題の解決に貢献しながら、顧客や従業員、ステークホルダーとの信頼関係を築くことが出来ます。
これからの時代、パーパスを持たない企業は競争力を失うリスクが高まるでしょうか。自社のパーパスを見直し経営の中心に据える、その検討機会となれましたら幸いです。

パーパスとは何か

(1)パーパスの定義

近年、ビジネスの世界で「パーパス(Purpose)」という言葉が注目を集めています。パーパスとは、企業が存在する根本的な「貢献価値」を指します。単なる利益追求を超え、社会や顧客に対してどのような価値を提供し、どのような影響を与えるのかを明確にするものです。言い換えれば、パーパスは企業の「存在理由」そのものと言えるでしょう。
ある生活消費材メーカーでは「すべての人々の暮らしをより良く、より美しく」というパーパスを掲げ、企業活動のあらゆる側面において実現すべき指針としています。このように、パーパスとは単なるスローガンではなく、企業の方向性を示す羅針盤・従業員やステークホルダーの価値観を一体化する基盤となるのです。

(2)パーパスと経営理念の違い

時代や環境が変わっても変わらない自社の価値観、それが「経営理念」です。一方、経営理念にもとづいて社会に対してどのように貢献するのかを定義したものが「パーパス」です。環境が変われば求められるものも変わります。先行き不透明な現代だからこそ、社会ニーズ、顧客ニーズを読み取り、経営理念にもとづき「わが社らしく」貢献していく指針が必要となるのです。
具体的には、経営理念は企業の内側に向けたメッセージであり、従業員や経営陣が共有する価値観や行動指針を示します。一方、パーパスは企業の外側、つまり社会や顧客に向けたメッセージであり、企業が社会にどのような影響を与えるのかを明確にします。
例えば、ある食品メーカーの経営理念は「おいしさと健康を通じて、世界中の人々に喜びを届ける」であるのに対してパーパスは「食文化を通じて世界の人々の健康に貢献する」となっています。このように、経営理念とパーパスは補完的な関係にあり、両者を明確に区別することで、企業の方向性がより一貫性を持つようになります。

パーパスとは何か

パーパスと関連する概念

(1)パーパスとミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の関係

パーパスを理解するためには、ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)との関係性を整理することが有効です。これらは企業のアイデンティティを構成する要素であり、それぞれが異なる役割を持っています。

① パーパス(Purpose):企業の存在理由や社会的意義を示す。
② ミッション(Mission):企業が達成すべき具体的な目標や使命を示す。
③ ビジョン(Vision):企業が目指す将来像やありたい姿を描く。
④ バリュー(Value):企業が実行するべき価値観・行動原則。

これらの要素は、ピラミッドのような構造を持つと考えると分かりやすいでしょう。最上位に位置するのがパーパスであり、その下にミッション、ビジョン、バリューが続きます。
パーパスが企業の「存在理由」を示すのに対し、ミッションやビジョンはその存在理由を実現するための具体的な方向性を示します。

パーパスと関連する概念

パーパスが重視される背景

近年、パーパスが注目される背景には、社会的価値への関心の高まりがあります。これによって、自社の貢献価値の明示が企業に求められるようになりました。また、商品価値での差別化が難しくなった今、企業の在り方(パーパス)がブランディングの鍵となる側面もあり、パーパス経営への関心が高まっています。

(1)サスティナビリティ意識の高まり

社会が企業を評価する対象が、経済的価値から社会的価値へ移行するのに伴い、自社が社会に対してどのように貢献するのかをステークホルダーに示す必要性が増しています。

(2)商品ではなく企業姿勢で選ばれる時代へ

あらゆるモノが充足し、商品価値のみによる差別化が困難になるのに伴い、企業の在り方(パーパス)そのものによるブランディングの必要性が増しています。

(3)人材の確保とエンゲージメント

世界の従業員エンゲージメント(仕事への意欲、組織への貢献意欲など)調査より、2023年時点で「仕事に意欲的、積極的に取り組む人」の割合が日本は6%にとどまり、世界最低水準にあります。
優秀な人材を確保するためには、企業の存在意義や社会的意義を明確にすることが重要です。従業員は単なる給与や福利厚生だけでなく、自分の仕事が社会にどのような影響を与えるのかを重視するようになっています。パーパスは、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高める重要な要素となります。

パーパスが重視される背景

パーパスを活かした経営戦略

パーパスを単なる理念として掲げるだけではなく、実際の経営戦略に落とし込むことが重要です。以下に、パーパスを活かした具体的なアプローチをいくつか紹介します。

(1)製品・サービスの開発

パーパスを基軸にした製品やサービスの開発は、企業の競争力を高める重要な手段です。
製品やサービスを通じて、社会的課題の解決や顧客の共感を創出します。

(2)サプライチェーンの見直し

パーパス実現のためには、サプライチェーン全体の見直しも重要です。環境負荷の低減(CO2排出削減、廃棄物削減)やエシカル調達等の取り組みによって、企業は社会的責任を遂行します。

(3)社内文化の醸成

パーパスを従業員に浸透させるためには、社内文化の醸成が欠かせません。定期的な研修やワークショップを通じて、従業員がパーパスを理解し、それに基づいた行動を主体的に起こせることが重要です。

(4)ステークホルダーとの連携

パーパスを実現するためには、顧客、取引先、地域社会など、さまざまなステークホルダーとの連携が必要です。共通の目標を持つパートナーシップを構築することで、より大きな社会的インパクトを生み出すことができます。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング
コンサルタント

鳴海 啓太

ノベルティ・SPツールの法人営業を経験し、その後、創業100年を越える京都の老舗菓子製造メーカーで生産管理・商品企画・店舗企画・法人営業に従事。幅広い業務経験を強みとし、顧客目線を大切にしながら、クライアントサクセスに向けて妥協のない取り組みを続けている。

鳴海 啓太

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