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今週のひとこと

マーケットのニーズと大きさを見抜き、

それを満たす。

そこに事業は存在する。

☆ 質の高い見込み客情報を獲得するには?!

 企業のマーケティングにおいて、非常に重要なプロセスである「リード(見込み客情報)獲得」。そのリード獲得の代表的な施策としては、イベント出展やダイレクトメール送付などのアウトバウンド型や、Webサイトやセミナーなどを通して、有益な情報を継続的に発信することで、見込み客の側から自社に問い合わせをしてくるような仕組みをつくるインバウンド型があります。

 ターゲットに対して、従来から実施されてきたアウトバウンド型での顧客へのアプローチ、見込み客創出に加えて、見込み客との接点の増加や、信頼の醸成などを狙いインバウンド型のマーケティングを取り入れる企業が増えています。
 インバウンド型の代表格であるセミナーですが、興味関心がより高い層を獲得するための有効な手段として実施するケースが多くなっています。セミナーではターゲットを絞った形でのコンテンツ発信が多いため、見込み客の数は少なくなる可能性もありますが、参加者がそのコンテンツに興味を持っているということは明確です。
 たとえ、新商品・サービスの発表といった無料のセミナーであっても、そこに参加される企業については、ターゲットが絞られていることによって、あらかじめ主催者やスポンサーにとって都合のよい条件で参加者をフィルターにかけて集客することができますので、自ずと高品質なリード顧客となります。

 アウトバウンド型とインバウンド型、どちらが重要というわけではなく、見込み客との最適なコミュニケーションとは何かを考え、両方の良いところを組み合わせていくことが大切です。
 筆者自身、アウトバウンド型施策とインバウンド型施策を複合させたリード顧客獲得のためのコンサルティングや、通常の営業活動に加えて無料セミナーなども実践しており、そこからお客様へ提案する案件が増えています。
 顧客とのコミュニケーションの取り方を再設計し、最適なリード獲得戦略を検討されてみてはいかがでしょうか。

SPコンサルティング本部
部長
庄田 順一

"刺さる"プロモーション研究会

刺さるプロモーション研究会

ご参加の翌日には、ノウハウ・手法の自身の理解・判断ができ、社内に担当人材が育つカリキュラム

販促・プロモーションの概要・手法・考え方を学び、最先端プロモーション事例や現状成果を上げ続けている最新ノウハウを現場に落とし込みやすい形で提供いたします。自社のプロモーション施策における、これから打つべき手が見えるはずです。

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"優良顧客"は誰なのか


昔の米穀店は、顧客の米びつを「管理」していた。顧客の家族構成と購買頻度から、前回注文日の何日後に米びつが空になるかを予測。コメが底を突く頃合いを見て訪問し注文を取っていた。顧客の側から注文させない(他の米穀店で買われるリスクを防ぐ)ためである。注文が来るまで待つ、いわゆる「熟柿戦略」(柿が熟して落ちるのを待つ)をとり続けると、せっかく育てた柿を横取りされる「さるかに合戦」のカニになってしまう。

従って、顧客のニーズが生じるタイミングを図り、効率よく販売することが重要となる。それを探る手法として「RFM分析」がある。これは顧客の購買履歴から「直近購買日」(Recency)、「購買頻度」(Frequency)、「購買額」(Monetary)という3つで分類し、顧客ニーズとそれが発生するタイミングを分析する。

ただ多くの企業は、そもそも注力すべき優良客が誰なのかを把握できていない。また顧客のデータベースも更新されず、販売履歴はあるが「いつ?」「どんな機会で?」といった顧客インサイト(本音)を考えるきっかけとなる情報を、定期的に見ていないことが多い。

そこで、自社への貢献度が高い優良客を、RFM分析によって整理する必要がある。注意したいのが、購買額の大小で優良客を判断しないことだ。例えば、某メーカーが過去5年間に自社製品を買った顧客のうち、購買額が多い上位20%の"優良客"を抽出し、新製品の案内DMを送った。しかし、反応がほとんどなかったという。購買額(M)のみに着目し、直近購買日(R)や購買頻度(F)を無視したために、せっかくの販促費が無駄になってしまった。

Mがいくら多くても、RとFが低い(例:直近購買日が2年前で1回しか買っていない)顧客は、すでに離反客となっている可能性が高い。なのに「購買額が多い=優良客」と安易に考える企業は多い。単発の大口客だけを丁重に扱い、1回の取引規模は小さくても「最近買った」「何回も買う」優良客は、小数点以下の端数のように切り捨ててしまう例も見られる。

RFMがそろって高い、あるいはMが低くてもR&Fは高い貢献客を大事にしたい。顧客の優良度合いを、購買額だけで判断してはいけない。R&Fが高い顧客は自社のファンになっている可能性が高く、何かしらの価値を認めていただいているのだから。


タナベ経営 SP コンサルティング本部 副本部長 足田 悟史 Satoshi Ashida

■筆者プロフィール
タナベ経営
SP コンサルティング本部
副本部長
足田 悟史 Satoshi Ashida

多業種での営業支援策企画、販促ツールディレクション、インナーブランディング実行支援を担当。マーケット・ターゲット・コストのバランスを見て「クライアントの最大限のポテンシャルを引き出す」ことを信条としてコンサルティングを展開中。

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ナカジマアカデミーで企業理念が浸透
ナカジマグループ《後編》

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動画だと場所や時間を選ばず繰り返し視聴できる


ナカジマアカデミーで企業理念が浸透

「3年で薬局長を育てる」ナカジマアカデミー始動

ナカジマグループでは一人一人のスキルを上げる教育方針を掲げ、独自の教育プログラムを充実させている。全店舗から薬剤師を集め、各店舗の発表や特別講演を実施する社内学術研究会、疾患別勉強会などはその一例だ。

これらを通じ、薬剤師としての専門能力を身に付けることができる。しかし、一方で今後を見据えたとき、「マネジメントやリーダーシップなどのスキルを持つゼネラリストの育成が重要」(ナカジマ薬局常務取締役薬局事業本部長・中島史雄氏)。何より、創業40年が経過し会社の規模も拡大する中、「患者様中心主義」という企業理念を全社員に再度徹底する必要性が生じていた。

そうした中、タナベ経営から企業内大学(アカデミー)設立の提案を受けた。そこで検討と準備を重ね、2017年10月から「ナカジマアカデミー」を開校したのだった。

ナカジマアカデミーは、「3年で薬局長を育てる」ことを目標に、入社1~3年目の社員を主対象に実施(他にも各階層ごとに視聴カリキュラムを設定)。受講することで「患者様中心主義」を体得し、薬局長として活躍できるようにカリキュラムを体系化している。

研修は、集合研修(リアル)とWeb動画による研修(デジタル)で構成される。集合研修は階層ごとに分かれ、チームワーク・コーチング・問題解決(アドバンスコース)、薬局長の役割と責任・クレーム対応ケーススタディー(リーダーシップコース)などを行う。

一方、動画研修では企業理念や創業物語、グループが目指すものについて収録した講義を、パソコンやタブレット端末で視聴。動画本数は45本に及ぶ。

動画だと、時間や場所を選ばず効率的に受講できる。何度も繰り返し視聴でき、指導者によるばらつきも生じない。また、業務中に視聴しやすいよう、全ての動画を10分以内に収めている。

中島久司社長は「企業規模が拡大する中、経営理念や経営者としての思いを全社員にどう伝え、浸透させればよいのか悩んでいた」と打ち明けるが、そうした懸念は動画にすることで解消されたという。

新入社員や中途入社社員の教育ツールとしても効果は高い。「自分の勤める会社だが、初めて知ったこともあった」「社長の熱い思いが聞けて感動した」など、動画は社員からも好評で、会社への愛着を深める機会にもなっている。

社員の受講状況の進捗を管理できる点も大きなメリットになる。管理画面を見ると、誰がどこまで学んでいるかがひと目で分かり、「学習状況の見える化」が図れるのだ。

受講する側だけではなく、教える側の教育にもつながるという。アカデミーの講師は社員が務めるが、講師社員は話す内容を事前に考えてレジュメを作り、練習をして動画収録に臨む。こうした経験を通じて、人前で話すスキルが身に付き、自分の知識を整理する機会にもなる。

アカデミーを通じ、「患者様中心主義」という企業理念は、社員一人一人へ今まで以上に浸透しつつある。一方、「動画で伝え切れない部分について、直接話して伝えたい、社員の質問や疑問に答えたい思いが強まった」と中島社長。そのため、2018年は中島社長が自ら店舗を回り、社員と対話する機会を増やすという。

また、今後は管理者になった後の薬剤師の教育カリキュラムの充実や、薬剤師以外の職種へのアカデミー受講対象拡大などを実施したい考えだという。

人材、店舗のレベルを上げオンリーワンの存在へ

調剤薬局業界を取り巻く現状は厳しい。医薬分業の普及に伴う市場の成熟、医療費削減政策などによる収益減、大手や異業種参入による競争激化、慢性的な薬剤師不足や後継者難などの逆風にさらされ、全国に約5万8000店舗ある薬局は今後、淘汰が進んでいくとみられている。

さらに、将来はロボットやAI(人工知能)による医薬品調剤の普及も予測される。機械が調剤を行う時代になったとき、「薬剤師は人にしかできないことをやるべき」と中島社長。

その1つが在宅調剤だ。今後は高齢化が進み、施設に入れない高齢者の増加が予測される。一方、自宅で最期を迎えたいという高齢者は多く、在宅医療のニーズはますます高まっていくだろう。

こうした中、ナカジマ薬局は薬剤師が在宅訪問し、薬を届ける在宅調剤に取り組んでいる。医療・介護スタッフと連携し、患者の自宅で薬の効果・副作用の説明、残薬の確認・管理支援などを行いながら、在宅医療をサポートしているのだ。

また、「未病」への取り組みにも力を入れる。患者の症状に合わせた栄養補助食品の提案、生活改善指導、医療機関の紹介、地域での健康講座実施など、病院へ行く前段階での情報提供やアドバイスに努める。

患者中心の取り組みを重ね、新たな取り組みに挑戦するナカジマグループ。中島社長は、こう続ける。「当社にはお金よりももっと大事な、"いい人材"がいる。患者さんに寄り添える"いい人材"をより多く育て、1店舗ごとのレベルを上げることで、それぞれの地域でオンリーワンの存在になっていきたい」

PROFILE

  • ㈱ナカジマ薬局
  • 所在地 :〒060-0010 北海道札幌市中央区北10条西24-2-15
  • TEL : 011-633-2345
  • 設立:1977年
  • 資本金:3000万円
  • 売上高:155億円(グループ全体、2016年9月期)
  • 従業員数:576人(グループ全体、2018年3月現在)
  • 事業内容:保険調剤薬局、医薬品小売販売事業、在宅支援事業
  • http://www.nakajima-phar.co.jp/

 タナベ経営より  

ナカジマグループは、「患者様中心主義」を経営理念に掲げ、常に業界の一歩先を行く取り組みを行っている。また、2017年にはナカジマアカデミーを設立。「一人一人の成長が患者様中心主義の実践、ナカジマグループの成長へとつながる」という信念の下、次世代を見据えた人材育成に注力。教育の機会を広げ、会社全体で学ぶ風土づくりを推進しているのだ。人材成長を軸に、さらなる進化を遂げようとしているナカジマグループの今後が楽しみである。

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経営コンサルティング本部 北海道支社長 笠島 雅人(左)
経営コンサルティング本部 部長代理 チーフコンサルタント 大森 実(中)
経営コンサルティング本部 コンサルタント 堀部 諒太(右)

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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所