事業を継続していくなかで、すべての企業に必ず訪れる「周年」

2022年に周年(50周年および100年単位)を迎えた企業は国内で2万8,652社あると言われていますが(※1)、約178万社の企業が存在している(※2)ことから考えると、周年がいかに貴重なタイミングであるかが分かります。
かつて周年と言えば、式典や記念品贈呈などの定型的な行事をイメージさせるものでしたが、現在、周年をきっかけに自社のブランド価値の向上やステージアップに成功している企業が増えつつあります。
今回、周年をきっかけにブランド価値を向上させ、成果を出されている企業様の事例をご紹介します。
※1 東京商工リサーチ「老舗企業」
※2 総務省統計局「経済センサス」
「3つのコンセプト」で多くの反響と共感を呼んだ、50周年企画
洋菓子の製造販売を手がけるA社。A社の代名詞とも言えるロングセラー商品は、中高年を中心に根強い人気を誇っています。
同社は50周年を迎える際、この節目を顧客へ感謝の想いを伝える機会と定義し、
1.顧客と自社(ブランド)をつなぐ
2.美味しさと笑顔をつなぐ
3.過去と今をつなぐ
の3つのコンセプトを掲げたうえで、取り組みの一つとして限定商品を販売。購入者全員にプレミアムギフトをプレゼントしました。
プレミアムギフトは同社のロングセラー商品を模しており、アイテムによっては菓子の製造工程でつく焼き色を手作業で再現する徹底ぶりで、手にした顧客にそれまで商品と過ごしてきた時間を振り返ってもらい、これからも洋菓子と言えば同社を一番に思い出してもらうためのインパクト、工夫が溢れる仕上がりとなりました。
この企画は瞬く間にSNSで多くの反響を呼び、従来の顧客との接点強化にとどまらず、十分にリーチ出来ていなかった若年層に同社と商品を広く訴求するきっかけとなりました。
また、同社初の取り組みとしてオリジナル文具セットの販売にも挑戦しており、こちらもロングセラー商品の過去のパッケージをアレンジしたデザインを施すなど、プレミアムギフト同様に細部にまでこだわりを詰め込みました。
結果、即日完売するほどの人気を集め、再販後も約2週間での完売となりました。
「周年」をきっかけとしたブランド価値の向上

コロナ禍や、それによって加速したデジタル化を受けて、各企業はこれまでになく変化の激しい環境下に置かれています。
こうした状況下で価格競争などの消耗戦に陥ることなく顧客に選ばれるためには、一度自社の強みを見つめ直し、メッセージやストーリーを顧客と再共有することが欠かせません。
50年の節目に、歴史と代表的な商品の特長を振り返り、いまのニーズとマッチさせたことで、ブランドの価値を向上させることに成功したA社は、まさにその好事例と言えます。
周年を、単なる「記念イヤー」で終わらせず、収益性や生産性、成長性などの底上げに取り組み、自社のブランド価値を大きく高めるタイミングと捉えてみてはいかがでしょうか。