人事コラム
人材育成

建設業における若手・人材育成の重要性と育成方法

建設業における人材育成のポイントや考え方・手法を解説

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建設業における若手・人材育成の重要性と育成方法

「人がいない」状況は今後もしばらく続くため、今すぐ行動を!

建設業を取り巻く環境の整理

建設業を取り巻く環境の整理

中小企業庁の発表によれば、2022年の建設業の倒産件数は1,194件となっており、前年の1,065件に対して12%増となっています。なお、2021年までは減少傾向でした。

この背景には、上記のようにコロナ禍による受注件数の低下に加えて、ウクライナ情勢によるエネルギー価格の上昇や近年の円安の影響により建設資材が高騰した結果、高コストになっている点が挙げられます。発注者への価格転嫁はしづらいため利益を圧迫し、倒産に繋がっているといえます。

中小企業の建設業は非常に厳しい状況なので早急に改善に向けたアクションを検討する必要があります。

建設業界の押さえるべき育成の方向性

建設業界の押さえるべき育成の方向性

建設業界は様々な技術革新やサステナブル、カーボンニュートラルなど社会的な変化に非常に敏感な業界であるといわれています。
技術革新と持続可能性に対応しつつ、労働力の多様化や安全性の向上を目指すことが重要です。

1. DXと技術革新
建設業における技術革新、DX化は非常に早いスピードで推移しています。BIMの利用を促進し、設計、施工、管理の一括管理やリモートでのサポートはもちろんドローンによる現場管理や測量、ロボットを使った自動化、センサーやデータ収集装置を活用など建設現場のデータ分析と効率化はもやはスタンダードな考え方です。

2. 持続可能な建設技術
環境への配慮、省エネルギー技術の習得などは日々奨励されてきました。また現場にもソーラーパネルや風力発電などの再生可能エネルギーを建物に組み込む動きも活発です。

3. 管理能力の向上
ひと昔前は現場作業だけできればいいという風潮もありましたが今はコミュニケーションや報連相など情報を正しく伝え、それを利活用できる人材が重宝されています。資格を有している、現場経験が豊富という状況は一定の価値は発揮するもののそればかりでは育成に成功したとは言い切れないでしょう。技術・メンタルの両軸からのアプローチで様々な能力を持った人材を育成しましょう。

若手の活躍に必要な5つのポイント

若手の活躍に必要な5つのポイント

建設業界において若手社員が活躍するためには以下の要素を整理する必要があります。

1. 有資格者の目標設定
建築士や電気工事士などの有資格者はどの会社も不足しており、公共工事の受発注のためにも一定数確保しておきたいものです。
離職防止や成長してもらうためにも役割や期待される成果を理解してそれに向かって努力できる土台を会社が整えてあげることが必要です。

2. 適切なサポートと指導・教育体系の構築
現場に配属されると若手社員よりも年上の作業員に指示を出したりするケースを多くなります。指示の出し方や作業員への指導など最初は先輩社員がお手本となって見てくれると思いますが、そのあとは任せっきりという会社も多いようです。
定期的な面談やコミュニケーションを通してお手本を1回見せたからOKという姿勢ではなく、適切なサポートや教育体系を構築しましょう。

3. 安全指導・教育の重要性
建設業において安全管理に関する事項を押さえておくことは必須事項です。作業効率や納期を順守するあまり、安全管理配慮が疎かになっている現場はかなり危険です。
今一度安全管理の徹底は現場における第一優先事項であることを強く伝えましょう。その背中を見て育った後輩・部下も必ず安全第一に考えて行動することでしょう。

4. 技術伝承
建設業における課題の一つに高齢化や若年層(担い手)の減少が上げられます。高い技術を持っている人の引退で会社が大きく傾くという状況も多々耳にします。技術を伝承や次世代に引き継ぐことを早急に進め、動画で残したり、勉強会を実施する「企業内大学」を作るなど具体的に何をするのかということが求められます。

5. 女性活躍や外国人労働者の受け入れ
労働環境の整備や福利厚生の充実などで大手企業のみならず、中小企業にも建設業における女性の地位向上が諮られてきました。どの会社も女性に対してのサポートの充実を謳っており、今や当たり前の状況で掲げていない会社は自然と淘汰されている状況にあります。
また、外国人労働者も戦力と考える動きがかなり広まってきました。定期的な採用などパイプを持ち続けるなど受け入れ体制をどれだけ整えるかが今度の成長という観点に必須な要素になってきました。

まとめ

建設業は今、過渡期を迎えています。
AI、自動化技術、DX、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、プレファブリケーションなどキーワードを上げだすときりがない状況で各担当者や責任者も何から手を付けていいのか分からない状態の会社が多いです。そんな中で今後を担うべき若手人材には変化に柔軟に対応できる人材はもちろんですが、一番のテーマは「今の会社でのキャリアをどのように描けるかを示す」ことです。
建設業界は売り手市場で経験やノウハウはどこの会社でも業界が多少異なっても生きた知識・経験になります。そんなどこでも働ける時代だからこそ今の会社でどれだけ長く務めてもらい、成長を促すことができるかが企業に求められており、スピード感をもって取り組んでいる会社が最終的に業績にも連動していると言えます。さらなる不断の進化と適応を求められるでしょう。

この課題を解決したコンサルタント

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